そもそも中小企業に福利厚生は必要?
福利厚生の主な目的は、就業・生活環境を整えることで従業員に自社で働くメリットを実感してもらい、離職を防ぐことです。また福利厚生の充実は、新たな人材の確保にも役立ちます。
中小企業の割合が99.7%の日本では、人手不足が慢性化しているとされています。東京商工会議所ならびに日本商工会議所が2024年に行った「中小企業の人手不足、賃金・最低賃金に関する調査」 では、人手不足と回答した企業が65.6%にも上りました。
参考:日本商工会議所「中小企業の人手不足、賃金・最低賃金に関する調査」
昭和・平成から令和へと時代が移り変わるにつれて、業務内容や給与だけではなく「いかに満足できる人生が送れるか」という点を重要視する求職者は増加しています。つまり、人手不足が慢性化しつつある日本社会において他社よりも採用面で優位に立ち、優秀な人材を確保するためには福利厚生の充実が不可欠と言えるでしょう。
福利厚生の導入で得られる4つのメリット
福利厚生を充実させるとさまざまなメリットが生じます。以下の4つのポイントで中小企業が得られるメリットを紹介します。
従業員の満足度が向上する
福利厚生が充実していると従業員満足度が向上し、定着率やモチベーションアップが期待できます。
モチベーションの高い状態で仕事に取り組むことで、集中力も増し、より高い成果を上げることも可能だといえるでしょう。さらに、従業員自身の自己肯定感の高まりにも影響を与え、結果的には会社へのエンゲージメント(組織への愛着心)向上にもつながります。
採用力が向上する
求職者が職場を決める際の重要な要素のひとつに福利厚生があります。
株式会社マイナビが行った新卒者3,895名へのアンケートでは、勤務地・仕事内容・給料などの情報と比べて福利厚生は6.4%の新卒者が「勤務地・仕事内容・給料よりも関心がある」、63.4%の新卒者が「同程度関心がある」と回答していることからも若い世代が福利厚生に高い関心を持っていることが分かります。
福利厚生への関心度
参考:「マイナビ 2024年卒大学生 活動実態調査(4月)」を発表 – 株式会社マイナビ (mynavi.jp)
さらに、福利厚生に資金をまわせるということは経営基盤が安定していることの証でもあります。健康経営・従業員重視の経営スタンスは会社の好感度を高めるとともに、ひいては経営者の評価も高めるでしょう。
手間やコストをあまり掛けずに取り組めるものもある
福利厚生を充実させることのメリットが分かっていても、人的リソースやコストを考え福利厚生の導入に二の足を踏む担当者の方も多いのではないでしょうか。
しかし福利厚生には手間やコストをあまり掛けずに取り組めるものも多く存在します。たとえば、福利厚生代行サービスを利用すると担当者の手間を軽減しつつ、福利厚生の充実を図ることができます。
また、コストを掛けずに取り組める福利厚生としては休暇制度などがあります。最近では好きなアーティストなどのコンサートやイベントに参加するための活動をする「推し活休暇」や、「二日酔い休暇」「失恋休暇」などユニークな休暇制度を取り入れる企業もあります。
関連記事:人気福利厚生ランキング|性別・年代別おすすめサービスと事例紹介|RIZAP 健康経営コラム
法人税の節約が期待できる
福利厚生にかかる費用は非課税になる場合があります。ただし以下の条件を満たしていなくてはなりません。
法人契約を行ったものでそのサービスを全従業員が利用できる必要があります。役員など特定の人物のみ利用できるといった場合は経費として認められないため注意が必要です。
利用規約を作成して従業員に周知することも必要です。規約に組み込んでおくことで福利厚生として明確な目的をもって取り組んでいることを示すことができます。経費として税務署に認められる条件などを確認しましょう。
また、福利厚生費として計上できるものとしては、健康診断費用、通勤費、社宅・家賃補助費など多数あります。社員旅行や忘年会・新年会も一定の条件下で福利厚生費として認められます。
(※一般的な福利厚生の解釈に基づく情報です。職種や業務内容等により異なる場合があります。詳細は税理士等にご確認ください。)
【課題別】中小企業におすすめの福利厚生5選
福利厚生には、自社で制度を作る方法と、福利厚生代行サービスを利用する方法があります。
従業員が快適に働き、より良いパフォーマンスを発揮するために重要な福利厚生ですが、すべての運用を自社で行うには多大な時間と人的コストをかけなければならない場合があり、それを負担に感じる中小企業が多いとされています。
ここでは、福利厚生にまつわる煩雑な業務をまとめて委託できる福利厚生代行サービスについて紹介します。自社の課題解決に合ったサービスを見つけてみてください。
従業員の健康増進におすすめの福利厚生
どれほど優秀な人材でも健康を崩してしまえば、十全な働きは期待できません。従業員の心身の健康状態を良好に保つことは生産性や、離職率低下が期待できるため、ぜひ取り入れたいメニューです。
従業員の健康増進におすすめの福利厚生は、スポーツジムの法人契約です。運動不足の解消のためにジムに通う従業員は積極的な一部の社員にとどまることが多いですが、福利厚生としてお得に通える環境整備を行うことで、運動習慣の定着や健康への関心を持ってもらうことにつながります。
昨今、プールや筋肉トレーニング器具、スタジオなどを兼ね備えた一般的な大型ジムだけでなく、コンパクトな面積で24時間気軽に通えるジムも増えています。会社の近くや家の近くにコンビニ感覚で通える手軽さから企業が従業員の健康増進のために契約するケースが増えています。
chocoZAPステーション
chocoZAPステーションは特に健康増進に力を入れたい企業におすすめの福利厚生代行サービスです。chocoZAPステーションはchocoZAPをはじめ、RIZAP関連の8ブランド(RIZAP ENGLISHやRIZAP GOLFなど)を特典的にご利用いただくことができます。入会人数に応じて料金がお得になる人数割プランでは月額1,100円〜2,700円(従業員1人あたり)から利用可能です。
- chocoZAPだけでなく、RIZAPブランドもお得に利用可能
- chocoZAPは24時間利用可能(※一部、テナント規制により 24時間営業ではない店舗・休館日がある店舗もございます)
- 各種トレーニングマシンだけでなくセルフエステやセルフ脱毛などのサービス利用可能
- 体組成計やヘルスウォッチとアプリ連携で体や運動の状況が可視化
- 人数割プランでは、chocoZAPに通いたいすべての従業員が無料で利用可能
- 店舗数1,700店舗以上(2024年10月時点)
chocoZAPステーション資料(無料)のダウンロードはこちら
従業員の満足度向上におすすめの福利厚生
できれば従業員一人一人の要望を聞いて福利厚生を導入していきたいものですが、すべての従業員のニーズを満たすのは難しいでしょう。そうすると福利厚生の恩恵を受けられる従業員と、自分に合った福利厚生がない従業員とに別れてしまいます。
従業員の満足度向上のための福利厚生が、逆に従業員間の不公平感を生み出してしまいかねません。不満は仕事への意欲を削ぎ、生産性の低下につながる可能性があります。
従業員の満足度向上におすすめの福利厚生は、旅行やレジャー、育児や介護など幅広い分野の特典や割引が受けられるサービスです。
従業員一人につき月額数百円程度の低コストで福利厚生を整備できます。また、プラン内容も準備されたものから選ぶだけなので、スピーディーに福利厚生を実現することが可能です。
福利厚生倶楽部
引用元:株式会社リロクラブ 福利厚生倶楽部
福利厚生倶楽部は、“中小企業にも大企業並みの福利厚生を”をモットーに株式会社リロクラブが運営する福利厚生アウトソーシングサービスで、地域密着型の安価なサービスが特長です。ワークライフバランスの支援、自己啓発の支援、健康増進の支援など、多彩なサービス内容がそろっています。月額料金は従業員1人当たり最低800円から利用できます。
- 契約社数18,200で業界シェアNo.1※
- 契約社の73.5%が従業員数100名未満の中小企業
- 全国の事業拠点で、各地域に密着した豊富な福利厚生サービスを提供
- 提供サービス約10万種類
- 7言語に対応
※ ㈱労務研究所発行「旬刊福利厚生」 2022.06月下旬号掲載データより株式会社リロクラブにて算出
参照元:株式会社リロクラブ 福利厚生倶楽部
採用力向上におすすめの福利厚生
採用力向上におすすめの福利厚生は、食事補助に関する福利厚生です。
食事に関する補助は、大抵の人が恩恵にあずかれるものであり、食費の軽減や健康維持などにもつながるため従業員から好まれやすい福利厚生です。
消費者庁が発表した「令和4年版消費者白書 」によると、「現在意識的にお金をかけているもの」という質問に20代の50%が「食べること」と回答しています。
食事支援の福利厚生はどの世代にも喜ばれやすいですが、特に若い世代の関心を引くことが期待できるので採用力の向上に寄与するでしょう。
参考:第1部 第2章 第2節 (1)若者の消費行動 | 消費者庁 (caa.go.jp)
チケットレストラン
引用元:チケットレストラン
株式会社エデンレッドジャパンが運営するチケットレストランは、全国250,000店以上の飲食店やコンビニで利用できる福利厚生の食事補助サービスです。
- 導入実績2000社以上、利用人数15万人以上
- 全国250,000店以上の飲食店やコンビニで利用可能
- 全社員に食事補助、誰もが平等に利用可能
- 職種や地域問わず平等に利用可能
- 1人から導入OK
参照元:チケットレストラン
導入の手間やコストを抑えたおすすめの福利厚生
福利厚生サービスを調べていく中で、魅力的なサービスが多く見つかるでしょう。しかし、新しい福利厚生サービスを導入するためには、書類の作成・申請、利用機関とのやり取りなど手間が発生します。また、導入後も定期的に利用率をチェックしたり、管理・運用やランニングコストも考える必要があります。
限られた人的リソースと予算の中で、福利厚生の充実が図りたい場合には導入後の管理・運用まで含まれたサービスがおすすめです。
さらにランニングコストを抑えたサービスであれば、手軽に福利厚生を整備することができるでしょう。
オフィスグリコ
引用元:オフィスグリコ
グリコチャネルクリエイト株式会社が運営するオフィスグリコは、オフィスに専用のボックスや冷凍冷蔵庫を設置し、従業員が好みの菓子類を購入できる置き菓子サービスです。
- 数名規模から利用可能
- スペースや用途に合わせて設置機材を選択可能
- 設置費用、ランニングコスト0円
- 沖縄・離島を除く全国で利用可能
- 災害時の非常食として代用可能
- 運用はサービススタッフが行うため担当者の手間がかからない
参照元:オフィスグリコ
引用元:OFFICE DE YASAI
株式会社KOMPEITOが運営するOFFICE DE YASAIは、野菜を中心とした健康的な食を届けるサービス「オフィスでやさい」と管理栄養士が監修した無添加や国産食材にこだわったお惣菜を届けるサービス「オフィスでごはん」の2つのプランがあります。
- 常時5名以上在籍している事業所であれば利用可能
- サービス開始から5年で10,000拠点以上の導入実績
- サービス継続率は98.4%
- 従業員は1つ100円~手軽に購入可能
- 冷蔵庫レンタル、送料、備品が無料
- 配達員が商品の管理を行うため担当者の手間がかからない
参照元:OFFICE DE YASAI
導入から運用までの注意点と解消する方法
福利厚生サービスの導入の際には、押さえておきたいポイントがあります。
自社の従業員や企業にとって満足度の高い福利厚生サービスとなるよう、以下で述べる点には注意しましょう。
福利厚生の目的を明確にする
目的をはっきりと示さずにピックアップすると、必要でないものを選んでしまったり、後々プランを追加しなければならなくなったりと、手間も費用も余計にかかってしまう恐れがあります。
例えば、採用強化や従業員満足度の向上、生産性の向上など「何のために導入するのか」という点を明確にすると、必要な予算内で満足できるサービスを導入できます。
従業員のニーズを確認する
福利厚生にはさまざまなプランやサービスがあり、他社の導入事例を見ていると、良さそうなものが数多く見つかるでしょう。しかし、前述の通り、従業員のニーズは企業によってそれぞれです。そのため、他企業で喜ばれたものが必ずしも自社で歓迎されるとは限りません。
実際に働く従業員の声を聞くことで、「自社に必要なものは何か」を見極めることができます。
従業員のニーズを把握するためには、導入前にはアンケートやヒアリングを実施し、意見を収集しましょう。
目的とニーズを達成するためのサービスを導入する
サービス内容や運用方法、料金体系などはさまざまです。自社に合ったサービスを選ぶには「目的を達成し、従業員のニーズを満たすものはどれか」という視点で選定することが大切です。目的とニーズを明確にし、それらを達成できるサービスは何かを検討しましょう。
定期的な見直しをする
特に注意すべきは、サービスの利用率です。数値が高いことは、満足のいくサービスが提供できていることを意味するため、問題ないでしょう。しかし、低い場合は再度ヒアリングを行うなどしてニーズをブラッシュアップすることが重要です。
より良い制度にするための改善策を講じ続けることで、従業員の満足度の向上を図れます。
サービス導入後も、従業員のライフスタイルや価値観は移り変わります。そのため、定期的に今のニーズにマッチしているかをチェックし、必要に応じてプランを見直しましょう。
福利厚生の導入で課題解決した事例
福利厚生の導入によって課題解決した事例をご紹介します。
chocoZAP導入後、従業員の健康への意識が向上|社会保険労務士法人 ベスト・パートナーズ
社会保険労務士法人ベスト・パートナーズ様は、体重や体脂肪が気になるスタッフの健康を考えたときに初心者の運動実践や、健康習慣をサポートできるような制度や仕組みに興味を持たれ、chocoZAP(RIZAP)の法人会員※を導入されました。
従業員の皆様からは、必ずRIZAPやchocoZAPの店舗へ行かなければならないのか?などの懸念する声やジム通い初心者の中にはトレーニングマシンを使うどころか店舗に行くことにも抵抗がある様子が見られましたが、導入後は下記のようなお声が寄せられました。
- 週末の買い出しのついでにchocoZAPに寄れるので週1で通えるようになった
- 気軽に利用できるので、筋トレをするきっかけになった
- chocoZAPが会社の近くにあり、5分くらいの運動なら続けられたので、習慣化できた
- chocoZAPに週1回程度通うようになった
- 体組成計とヘルスウォッチをいただき、健康ポイントも付くので、体重や血圧を毎日測る習慣がついた
- もともと週1回の運動はしていたけど、週2~3回程度行うようになった。また、筋トレを行うことにより姿勢に気を付けるなどを意識するようになった
- 筋トレをする習慣が身についた
導入時にあった従業員の懸念に対してRIZAPとベストパートナーズ様がどのような対応を行ってきたのか、どのような対策を行った結果習慣化につなげることができたのかを下記の資料で詳しくご覧いただけます。
※ 本事例でご紹介している「ゴールドプラン」はchocoZAPステーションの前身サービスです。
社会保険労務士法人ベスト・パートナーズ様の詳しい事例はこちら
福利厚生で「全社員の幸福を追求する会社」を目指す|ドリームビジョン株式会社
2008年に設立されたシステムエンジニア リングサービスとIT業界に特化した人材派遣を行うドリームビジョン株式会社(2022年現在の従業員数83名)は設立当時、採用難と離職者の多さが課題となっていました。
従業員の働きやすさや愛社精神を高めるために福利厚生の充実に取り組むようになりました。特徴的な福利厚生の例としては、毎月3,200円分の昼食チケットの補助や社員が自ら選んだ日に有給休暇を取得すると1万円を支給するアニバーサリー手当など、25の制度が提供されています。現在では多くの従業員が自分の仕事にやりがいと帰属意識を持って働ける組織へと変化しました。
参照元:ハタラクエール事例集2022.pdf (fukurikosei-hyosyo.com)
まとめ
福利厚生を充実させると、生産性の向上以外にも人材の定着、採用時の応募者増加などさまざまなメリットがありますが、費用・業務負担が増えるデメリットもあります。そういった問題を解消してくれるのが、福利厚生代行サービスです。
福利厚生代行サービスを上手に利用して、ニーズに合った福利厚生を導入しましょう。