福利厚生は、健康経営を進めるために非常に重要です。
この記事では同じ言葉として認識されやすい「福利厚生」と「健康経営」の違いや、福利厚生を導入するメリットを解説します。
また、企業で福利厚生を導入する際の注意点についても解説します。
目次
福利厚生と健康経営はどちらも企業が従業員の働きやすさ向上を目指して取り組む点で共通していますが、根本的な目的や施策が異なります。
両者の違いや特徴を理解して、適切に導入できるようにしましょう。
福利厚生とは、企業が従業員やその家族に対して提供する、労働条件や生活条件を改善するための各種サービスや制度です。従業員には正社員だけでなく、一定の条件を満たすパートタイマーやアルバイトも対象となります。
福利厚生には法律で導入を義務付けられている「法定福利厚生」と、企業が任意で導入する「法定外福利厚生」があります。法定福利厚生の例は以下の通りです。
また、社会保険や健康診断など、一定の従業員数がいる企業は法定福利厚生を導入しなければなりません。
一方、法律で義務付けられておらず、任意で企業が導入する法定外福利厚生には、以下のようなサービスがあります。
このような保養施設やスポーツクラブの費用補助などの福利厚生は、従業員の心身の健康や労働環境の改善につながり、モチベーションの向上や離職率の低下にもつながります。
また、企業のイメージアップや優秀な人材を確保しやすくなるというメリットがあります。
健康経営とは、企業が経営資本である従業員の健康を管理・促進することで、生産性の向上や労働者の満足度向上、健康保険料の削減などの経済的なメリットを実現する経営手法です。
健康経営は、身体的健康・精神的健康を維持するための健康支援プログラムや、働き方改革、ストレスマネジメント、禁煙支援、食生活改善などの取り組みを通じて、従業員の健康状態を向上させます。
これにより、労働者の健康面での不安やストレスを軽減し、生産性や労働力の維持につなげます。また、健康経営は、企業の社会的責任を果たし、社会の健康促進にも貢献できます。
福利厚生は従業員の待遇や福利に焦点を置いた取り組みであり、健康経営は経営資本である従業員の健康という観点から経営戦略を策定することを目的とした取り組みです。
つまり、福利厚生は健康経営を進める上でのひとつの手段でもあります。
ただし、福利厚生と健康経営はどちらも従業員の働きやすさや生産性の向上を目指すという点で共通しており、相互の考えを意識して取り組みを推進することが望ましいです。
企業が従業員の健康増進をサポートすることで、企業経営にさまざまなプラスの効果をもたらします。従業員の健康支援にどのようなメリットがあるのか、解説していきます。
従業員の健康を支援することで、生産性の向上が期待できます。
心身共に健康であれば身体的にも精神的にも余裕が生まれ仕事に集中できるため、生産性の向上へとつながります。
また、病気やケガなどで欠勤者が出ると、他の従業員の業務負担が増えて生産性が落ちてしまいます。
欠勤者をできる限り出さないためにも、従業員の健康を支援することは非常に重要です。
従業員の健康増進をサポートすれば、ひとりあたりに割り振られる業務量を減らせるので、生産性向上につながります。
従業員の健康支援によるメリットとして定着率の向上や離職率の低下が考えられます。
従業員が心身共に健康面に不安がある状態だと、日々の業務への影響や離職に繋がる可能性が高くなります。
それを避けるためにも、従業員の健康を支援することはとても大切です。
また、従業員の身体面だけでなく精神的な健康もを支援することで、長い目で見た時に定着率が上がり、さらに離職率を下げられる効果が期待できます。
企業が健康を支援することで、従業員は「自分たちは会社にとって必要な人員だ」と認識し、会社への帰属意識や満足度が上がることにより最終的に定着率や離職率の改善へとつながります。
例えば、精神的な健康面に心配がある従業員に対しては、定期的な声掛けやメンタルヘルスクリニックを受診させることで、ストレスがたまらないように気を配ることが大切です。
身体的な健康に関しては健康診断の受診を徹底するといった取り組みが可能です。
それにより「会社は従業員の健康に気を遣ってくれている」というイメージを持つことができ、例え休職をした場合でも会社への帰属意識が強くなります。
最終的には離職率の低下や企業の定着率向上へとつながります。
福利厚生をはじめとする、従業員の健康支援制度を導入して充実させていくことで、企業の社内外からのイメージが高まります。
最近ではメンタルヘルスケアの重要性が高まっているため、従業員の健康管理を重視している企業には注目が集まりやすくなっています。
また、社内外へSNSを通じ健康支援制度に関する取り組みを発信すれば、求職者から評価され、採用時における優秀な人材の獲得や既存の人材定着へとつながります。
従業員が高いモチベーションを持って業務へ取り組むことで、業績向上や株価上昇、そして社会的なブランドイメージの向上まで期待できます。
次に、実際に企業で導入されている、従業員の健康増進が期待できる福利厚生の事例を紹介します。自社に取り入れられそうな福利厚生の制度や取り組みがあるかどうか、検討してみてください。
従業員に対して定期的に健康診断を受診させることは法定福利厚生に含まれており、企業の義務です。
そして、法定福利厚生である健康診断に加えて人間ドッグ受診費用の一部を補助する福利厚生を取り入れれば、従業員のさらなる健康維持・増進につながり、欠勤や病欠による生産力低下を防げます。
定期的な健康診断は従業員一人一人の健康意識の向上にもつながり、社内外での生活が整いやすくなるというメリットも挙げられます。
また、従業員が安心して働ける環境を整えることで従業員の会社への帰属意識の高まりや、社外からのイメージアップへとつながることも期待できます。
従業員の健康支援のために、健康に関する相談ができるカウンセリング室などの窓口を設置する福利厚生も、多くの企業で取り入れられています。
従業員が抱える心身の悩みを産業医や専門家に相談し適切なアドバイスや支援を受けることで、ストレスやうつ病などの予防につながります。
また、メンタルに問題を抱えている従業員は、仕事に集中できなくなる可能性が高く、対策が必要です。
カウンセリング室や窓口を設置することで、従業員は健康に関する問題を解決して仕事に集中できるようになるため、モチベーションが向上して生産性の向上につながることが期待できます。
病欠や休職による生産性の低下を防げますし、従業員自身が積極的にメンタルヘルスに取り組むようになるという効果も期待できます。
スポーツイベントの開催や運動部の創設は、健康促進を目的とする福利厚生です。
運動促進を企業規模で取り組めば、健康増進以外にもチームビルディングやコミュニケーションの促進、ストレスの解消にもつながります。
そして、心身共に健康的な従業員が増えれば業務への集中力が増し、病欠者も減るので生産力アップも期待できます。
また、個人で行う運動にインセンティブを付与するという福利厚生も一般的です。
ウォーキングや始業前体操など、健康に役立つ運動を従業員が自発的に取り組んだ際にインセンティブが付与されるという福利厚生で、付与されたポイントを商品に交換できる仕組みになっています。
個人で取り組んだ量に応じたポイントが付与されるため、企業側でも従業員のモチベーション向上が期待でき、さらに導入後のポイント管理など運営の負担が少ないことが魅力的です。
福利厚生は従業員の健康増進や生産性アップにつながりますが、導入の際はいくつかの注意点があります。
せっかくコストをかけて導入した福利厚生が無駄にならないよう事前に確認しておき、効果的に福利厚生を導入しましょう。
福利厚生を導入する際には、目的を明確化することが非常に重要です。
福利厚生の導入にはコストが掛かるので、何のために福利厚生を導入するのかをはっきりさせておかなければ単なる経費の無駄遣いに終わってしまいます。
例えば、従業員のストレスや疲労を軽減するのが目的ならフィットネスジム費用の補助やマッサージルーム設置などが考えられますし、従業員のスキルアップを促すのが目的であれば、社内研修や資格取得支援制度の導入が効果的です。
このように目的を明確化することで、従業員が必要とする福利厚生を効率的に導入できます。
また、目的がはっきりしていれば、従業員に対して福利厚生の導入理由や目的を説明できます。従業員が福利厚生に対して理解を深めれば、満足度やモチベーションの向上にもつながりやすくなります。
福利厚生を導入する際は、従業員の意見を取り入れることが重要です。
福利厚生と言っても様々な形があるため、従業員にとって必要とされる福利厚生を取り入れるのが最も適切です。
福利厚生の利用者である従業員のニーズや要望を把握することで、会社は従業員が何を必要としているのかを理解し、福利厚生の制度設計に反映させることができます。
ニーズを満たす福利厚生を効率的に導入すれば従業員の満足度が上がりますし、企業への帰属意識が高まります。企業は最少コストで従業員のモチベーションアップや健康増進を達成でき、従業員も会社を通じて健康管理を行えるので、双方にとって大きなメリットがあります。
福利厚生を定期的に見直すことも、大切なポイントのひとつです。
従業員のライフスタイルや価値観は、年齢や時代とともに変化します。
例えば、若い従業員には住宅補助や子育て支援が求められる一方で、中高年層には健康管理やリタイアメントプランが求められます。また、近年ではキャリアアップに興味がある従業員も増えているので、資格取得費用の補助も需要があります。
他の企業が行っている福利厚生を参考にしたり、従業員の満足度を確認したり、定期的に社内の福利厚生は更新していくのがおすすめです。利用されていない福利厚生サービスがあれば廃止し、従業員から導入の要望がある福利厚生を新規で導入するなど、定期的に見直すことで従業員にとって理想的な福利厚生を提供できます。
福利厚生は従業員が働きやすい職場環境づくりに効果的な制度です。導入時には従業員からどのような福利厚生が必要かをヒアリングして、適切な福利厚生を提供してください。また、導入後も定期的に福利厚生の効果を見直しアップデートしていくことで、さらに企業経営への好影響が期待できます。
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