働きやすい職場とは?特徴や取り組み方、事例を紹介

働きやすい職場環境をつくることは、離職率や休職率を下げることにつながります。しかし、「どういった職場が働きやすいと言えるのか」と頭を悩ませている担当者の方は少なくありません。

 そこで本記事では、働きやすさを高める施策、離職や休職を減らすための取り組みをご紹介します。

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目次

働きやすい職場の特徴

離職や休職が少ない企業には、共通した特徴があるとされています。

この章では、従業員が働きやすいと感じる職場でよく挙げられる特徴をご紹介します。

人間関係が円滑でコミュニケーションが活発

人間関係が悪い職場環境では、従業員がメンタルヘルスの不調で悩んだり、心身症(ストレス性内科疾患)にかかったりする恐れがあります。

令和4年度雇用動向調査結果の概況によると、転職入職者が前職を辞めた理由として「職場の人間関係が好ましくなかった」と回答した人は男女ともに前年度より増加し、全体の約9.3%を占めています。

このことから、人間関係が円滑でコミュニケーションが活発な職場は働きやすい職場の特徴の一つといえます。

参照:厚生労働省 令和4年度雇用動向調査結果 

教育体制、スキルアップ支援が整備

新入社員のための教育体制や資格の取得やセミナー参加の機会など、スキルアップの機会を会社が整備することで、従業員は企業が自分たちの将来を考えてくれていると感じます。

また、企業側の目線でも教育体制やスキルアップ支援を整備することで退職者の減少や技術継承を行うことができ、結果として従業員も安心して継続的に働くことができます。

適切なワーク・ライフ・バランス

2007年12月に厚生労働省が策定した「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」で、一躍ワーク・ライフ・バランスという考え方が浸透し、さらに働き方改革が進む昨今では、「仕事だけではなく、プライベートも大切にしたい」という考え方が広まってきています。

日常的な時間の増減ニーズ

従業員の日常の労働時間のニーズ参照:調査シリーズNo.148『「労働時間管理と効率的な働き方に関する調査」結果および「労働時間や働き方のニーズに関する調査」結果―より効率的な働き方の実現に向けて、企業の雇用管理はどう変わろうとしているのか―』|労働政策研究・研修機構(JILPT)

従業員のライフスタイルの変化に応じた柔軟な働き方を企業が環境を用意することで、個人的な事情のために退職や休職をせざるを得なかった従業員も仕事を継続することが可能になり人材確保につながります。

福利厚生が充実

福利厚生の充実度は従業員満足度に直結しやすい項目です。「働きやすさに加えて、生活しやすさを会社がサポートできているか」も重要です。各種手当や特別休暇制度など、法定福利厚生以外の福利厚生が充実している企業は従業員の定着率も高いといわれています。

さらに、従業員自身の自己肯定感の高まりにも影響を与え、結果的には会社へのエンゲージメント(組織への愛着心)が芽生え、組織に所属して貢献しているという意識が強くなり、職場への定着率がさらに上がります。
また十分な福利厚生があることにより、私生活とのワークライフバランスが充実できることで、さらに人材の定着は見込めます。

従業員満足度を向上させる取り組み例として、住宅補助や昼食補助が挙げられます。

従業員の健康管理が適切

毎年行われる健康診断はもちろんのこと、従業員の心の健康管理も近年重要視されてきています。従業員のメンタルヘルスの不調は、組織全体の活力や生産性に影響を与えます。働く中で、誰しも不安を抱えたり、何かが気になって業務が手に付かなくなるなどの経験はあるでしょう。そうしたメンタル不調は脳の機能低下をもたらし、集中力や判断力を鈍らせます。

令和4年度過労死等の労災補償状況によると、精神障害で労災認定された数は710件で1983年の統計から最も多くなりました。

従業員を取り巻く環境には世の中の急速な変化に伴う仕事量や質の変化、長時間労働、過重な責任によるストレス、さらにはパワーハラスメントやいじめ、セクシャルハラスメント等があり、メンタルヘルス対策に取り組むことは、従業員が万全の状態で仕事に集中できるコンディションを整えることで企業は従業員から信頼を得ることができます。

参照:厚生労働省 令和4年度過労死等の労災補償状況

人事評価の整備

人事評価制度を見直すことも必要です。給与や賞与、職場環境、雇用条件、人事評価制度といった待遇に対する不満は、従業員のモチベーションを大きく左右します。

特に日本は年功序列といった従来の価値観が根強く残っている企業が多く、業績への貢献度が見えにくくなりやすい若手・部下の育成や業績向上の両面を求められる中間管理職などの人材が不満を抱きやすい傾向があるため、公平な人事制度を整備することが重要です。

仕事に集中しやすいオフィス環境

仕事の生産性や効率性を向上させていくうえで、仕事に集中しやすいオフィス環境であることは、業務がスムーズに遂行されることにつながります。

かつては、オフィスは単に「人が集まる場所」としての認識しかありませんでしたが、IT環境の推進、生活スタイルの変貌とともにその空間自体が働く人の働きやすさに大きく影響します。従業員が健康で快適に働けるオフィス環境は、スキルの高い従業員の流出を防ぎ、さらには企業の成長性を保つことにもつながります。

常に他社との競争力を求められる現代において、オフィス環境を整え優秀な従業員を確保し続けるために、企業にとって必要不可欠な要素でしょう。

労働環境(働く場所や時間)が整備

新型コロナウィルスの影響でより一般的になったテレワークなど、柔軟な働き方を整備することで、ライフワークバランスを取りやすくなり、離職者を減らすことを期待できます。

国土交通省が発表した令和4年度 テレワーク人口実態調査調査結果によると、現在テレワークを行っており、今後もテレワークの継続意向がある人の割合は、約87%と高い水準でした。継続意向がある理由としては、「時間の有効活用」が約40%と最も多く、次いで「通勤の負担軽減」が約33%となっており、多くの人が従来の働き方にとらわれない労働環境を社会に求めています。

参照:国土交通省 令和4年度 テレワーク人口実態調査調査結果

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働きやすい職場にする方法

働きやすい職場の定義は人それぞれですが、一般的には「自分のパフォーマンスを最大限に発揮できるための環境・制度が整っており、心身ともに健康的に働ける職場」を指します。従業員にとって働きやすい職場を実現するために、次に挙げる点に重点的に取り組みましょう。

 仕事の進め方を見直す

働きやすい職場にするためには、まず仕事の進め方を見直すことが重要です。

仕事の進め方を見直し、より効率的になることで生産性の向上や従業員のモチベーション維持にも繋がります。見直す際に確認したいのが業務の無駄がないかという点です。前任者が行っていたからなどの理由で継続して行っている業務も、検討してみると削除しても影響のない工程である可能性があります。業務の目的や意義を再確認し、それに照らし合わせながら本当に必要な作業なのかを見極めましょう。

また、外部ツールなどを活用することで業務の効率化ができる場合があります。企業内でのコミュニケーションを円滑にすすめるためにweb会議ツールを導入してみたり、複数の人数で同時に作業に当たれるようにオンラインストレージなどを使用するなどが挙げられます。

仕事の見直しによって、作業効率が上がり業務負担も軽減することも可能です。

【具体的な施策例】

  • 長期目標・中期目標・短期目標に分けて目標設定を行う
  • 一つひとつの作業を洗い出し、優先順位をつける
  • 不測の事態が生じた場合の相談先をトラブルの分野ごとに決めておく
  • 用いている外部ツールなどが現状の業務に合っているかを再確認する
  • 仕事の具体的な手順をマニュアル化する(マニュアルを見直す)

作業場・オフィス環境を整える

特に新型コロナウイルスが5類に移行したことで、リモートワークからオフィスワークに回帰する会社は、従業員に「やはりオフィスのほうが集中できる」「出社したい」と思ってもらえるような環境を整えることが求められています。快適な環境であれば仕事もはかどり、生産性の向上が期待できます。

レイアウト:コミュニケーションを取りやすいことはオフィスのメリットですが、常に人の気配があると仕事に集中しにくいため、パーソナルスペースの確保も必要です。座席の間に観葉植物やパーテンションを置いたり、向かい合わせに座席をまっすぐ並べるのではなく十字などの形に座席を配置したりするなど、レイアウトを工夫しましょう。

フリーアドレス制:座席を自由に選べるフリーアドレス制を導入することもできます。その際、業務に没頭したい時や考えごとをしたい時のための静かな半個室スペースや、ビデオ会議システムを使用するための専用ブースを配置するのもおすすめです。

休憩スペース:照明器具やソファ、椅子などを選ぶ際は、作業スペースとは異なるリラックスできるものにします。フリードリンクやコーヒーメーカー、本や雑誌などもあると、気分転換しやすくなるでしょう。

【具体的な施策例】

  • オフィス内の気温や湿度が適切か、従業員にアンケートを取る
  • 椅子や机のサイズ・使い心地などに問題がないか確認する
  • オフィス内や作業所内の動線がスムーズかをチェックする
  • 席の間をパーティションなどで区切る
  • 休憩スペースをオフィス内に設ける

心地よい人間関係づくり・相互支援の環境づくり

普段から同僚同士、上司と部下、部門間において良好なコミュニケーションが保たれていると、業務上の報告・共有もスムーズに行えます。互いに業務の内容や進捗状況なども把握できて、相互支援がしやすくなります。

そのために、共通の作業スペースやカフェスペースなど、立場や部門を越えて人が集まれる場をつくるのがおすすめです。普段から雑談ができる関係性が生まれれば、従業員同士で悩みやトラブルの相談もでき、何気ない会話を通してナレッジの共有も進みます。

ハード面だけでなく、社内における「心理的安全性」を確保することも大切です。心理的安全性とは、「職場において、誰に何を言っても拒絶されず、とがめられない状態であること」を指します。

この心理的安全性が確保されていれば、会議の場などで活発な意見交換が可能になります。従業員は「自分の意見が尊重されている」と感じられ、仕事へのモチベーションが高まるでしょう。多様な個性や能力の人がアイディアを出し合うことで、イノベーションが生まれやすくなり、生産性の向上にもつながります。

【具体的な施策例】

  • オフィス内外に雑談ブースやカフェスペースを設ける
  • メンター制度を導入し、気軽に相談できる体制を整える
  • 業務時間の一部をレクリエーションに充て、交流を生む
  • チャットや掲示板など、意見交換に役立つツールを導入する
  • 社内サークルへの支援を行う

安心できる職場の仕組みづくり

従業員の家庭環境などはそれぞれ異なるため、誰もが安心して業務に取り組めるような仕組みを整えることが大切です。育児や介護の必要が生じても、この職場で働き続けたいと感じやすくなります。

まず、業務負荷を最適化するようにします。そのため、従業員それぞれが抱えている業務と進捗を可視化できる仕組みをつくりましょう。

また、子どもがいる従業員は、子どもの体調不良や学級閉鎖などによって、欠勤・早退などが多くなりがちです。その際、他の従業員が同僚をフォローすることになり、不公平感が生じることがあります。会社が率先して間に入り、別の機会に他の従業員が休めるようにするなど、適切なサポートをしなければなりません。

実際のところ、イレギュラーな欠勤は誰にでも起こり得ることです。そのようなときでも業務が滞りなく進むよう、「各顧客の対応履歴はすべて共有システム上に残す」といった仕組みを事前につくっておく必要があります。

さらに、有給休暇や育児休暇、介護休暇、子の看護休暇を取ることに対し、上司が積極的な姿勢を示すことで、休暇を取りやすい雰囲気を醸成することも必要です。そのほか、時短勤務など柔軟な働き方を可能にするなら、仕事を辞めずに済む人も増えるでしょう。

【具体的な施策例】

  • 定時的なミーティングにより、各従業員が抱える業務内容と量を報告する
  • プライバシーに関わらない範囲で、育児や介護、持病といった事情を共有する
  • 特定の従業員のみに負担が行かないようなフォロー体制を構築する
  • 上司が率先して有給休暇や育児・介護休暇などを取得する姿勢を示す
  • フォローやサポートがしやすいように、顧客への対応履歴をデータベース化する

成長を実感できる人材育成の仕組みづくり

働きやすい職場として、業務を通じて成長を感じられるような仕組みを作ることは重要です。成長を感じることが仕事のやりがいにもつながり、それが働きやすさにも影響を与えます。成長を実感できるような仕組みづくりを行いましょう。

仕組みづくりをする際に注意すべきなのが成長できるように適切な業務負担をかけるということです。人が成長するためには過度な負担はもちろん、負担がなさすぎるのも効果的ではありません。適切な負担を意識しながら、新しい仕事や少し難易度のある仕事を任せてみたり、定期的に振り返りの機会を設け、業務の評価を行いましょう。成長のための機会を与え、それをフォローしながら正しく評価することが仕組みづくりとして重要となります。

【具体的な施策例】

  • 従業員ごとの適切な業務負担量を調査する
  • 定期的な反省会やミーティングを行う
  • 評価者と従業員本人の観点から、どのような成長ができたかを文書化する
  • OJTや座学、研修などを幅広く実施し、効果測定を行う
  • ジョブローテーションを行い、さまざまな経験をさせる

業務環境を整備する取り組み

業務に適した環境を整備することで、従業員がストレスを感じる原因が減り、パフォーマンスをフルに発揮しやすくなります。生産性の向上に直結するため、以下のような点が疎かになっているなら早急に改善しましょう。

照明:オフィスに入った瞬間に頭をオンに切り替えられるよう、オフィスは明るく清潔な印象に保ちましょう。オフィスの照明は500~750ルクスが奨励されています。もしも、それを満たしているのに暗いと感じるのであれば、局所的に明るい場所をつくっているのが原因かもしれません。

椅子:良い姿勢を無理なく保てる椅子を採用することで、長時間座っていることによる疲れを減らし、腰痛などの不調を予防するのに役立ちます。

ネットワーク環境:通信速度は作業効率を左右するため、こだわりたいところです。従業員に「出社したほうがはかどる」と感じてもらいやすいところでもあるので、通信速度が遅くならないように気を配りましょう。ネットワークトラブルによって作業が滞らないよう、アクセスポイントの数も拡充するように努めてください。

デバイスなど:パソコンは、管理しやすいように遠隔操作が可能で、ZoomやTeamsの使用にも適したものがおすすめです。オフィスの座席にデュアルモニター用のディスプレイを設置すれば、作業効率がアップして出社のメリットを感じやすくなるでしょう。

【具体的な施策例】

  • オフィスの照明を適切な明るさ(500~750ルクス)にする
  • 疲れにくい椅子を導入する
  • ストレスなく作業できるよう、安定したネットワーク通信を保つ
  • パソコンは画面が見やすく十分なスペックのものを導入する

福利厚生の整備

福利厚生には、社会保険加入など法律で定められたもの以外に、会社の裁量で実施できる「法定外の福利厚生」があります。従業員のエンゲージメントを高められ、職場の雰囲気を活性化することが可能です。他社との差別化を図ることで、採用活動にもプラスに作用する効果が期待できます。

休暇関連:男性が育児休暇を取りやすいように、対象者に個別に声を掛け、男性でも長期の休暇を取ることを推進している会社もあります。また、産休・育休からスムーズに復帰できるよう、スキルの維持・向上を図るプログラムを実施している会社もあります。

飲食関連:社員全員が利用できる上、限られた予算で導入しやすいのが、ウォーターサーバーやコーヒーメーカー、オフィスコンビニなどの導入です。コーヒーを淹れている間に従業員同士がコミュニケーションを取れるのもメリットのひとつです。座りっぱなしの防止にもつながり、災害時の備蓄としても役立ちます。

運動関連:ジム・フィットネスクラブの利用補助を検討できます。近年はテレワークによって運動量が減っている人が多く、運動不足や体重増加、筋力の低下などが懸念されています。しかし、問題意識を持ちながらも具体的な取り組みをしていない従業員は少なくありません。そのため、ジム・フィットネスクラブを割引価格で利用できるようにすることで、運動のハードルを下げ、運動の習慣化を後押しできます。

【具体的な施策例】

  • 男女を問わず、対象者に育休取得の声掛けをする
  • ウォーターサーバーやコーヒーメーカーなどを導入する
  • ジムやフィットネスクラブの利用補助を行う
  • 資格取得の補助金を出す
  • 貯蓄制度や持ち株制度を採用する

従業員の心身の状態を健全に保つ仕組みづくり

従業員の心身の健康を維持するため、ワークライフバランスを保てる仕組みづくりも欠かせません。満員電車で心身を消耗する状況を減らすために、テレワークを継続したり、フレックスタイム制を導入したりすることを検討できます。不要な残業を減らすため、残業の事前申請制度を設けることも一案です。

また、最低限の一般健診に加えて、プラスアルファの検診における費用を補助することもできます。脳ドック、CT肺・心血管ドック、婦人科検診は、オプション検査であるため余分な費用負担があり、気になっているものの診てもらう機会が少ない従業員もいることでしょう。一部でも費用補助があれば、検診を受けるよう促されるかもしれません。病気の予防・早期発見が可能になり、病気による離職予防につながります。

健康に直結する施策は、従業員に「長く健康的に働いてほしい」というメッセージを届けることにもなり、自社への印象アップに寄与します。

【具体的な施策例】

  • テレワーク、フレックス制の継続・導入をする
  • 健康診断の費用補助を行う
  • 運動講座の実施や運動器具の設置を行う
  • 社内食堂などで健康メニューを展開する
  • 禁煙の奨励や金一封の贈呈を行う

評価制度の整備

 働きやすい職場となるために適切な評価制度の体制を築くことは重要です。業務を行っても適切に評価をされていないと感じるとモチベーションの低下につながり、働きにくさを感じる要因となる可能性があります。

適切な評価制度を築くためにはまず評価をされる人に対して、評価基準を伝えておく必要があります。評価基準を明確にしておくことで、評価される側もどの点に注力して業務を行うのかの方向性が定まり、また評価内容に関しての認識の違いも減らすことができます。

評価の内容を決める際には以下の要素を意識すると効果的です。

  • 透明性
  • 公平性
  • 客観性
  • 納得性

適切な評価は業務へのモチベーション向上だけでなく、上司との信頼関係の構築にもつながります。信頼関係が構築されることによって働きやすさの向上にも効果的です。

【具体的な施策例】

  • 何をすればプラスになるのか、評価の基準を明確化して周知する
  • 評価の前提となる達成目標を数値で定める
  • 誰がいつどのように評価しているのかを透明化する
  • 評価の結果を各従業員へ具体的にフィードバックする
  • 金一封の贈呈など、高評価を受けることのメリットを従業員に明示する

企業の成功事例(取り組み事例)

上記のような働きやすい職場の特徴を持つ会社が、どのような取り組みを行いどのような結果を得られているのかを下記でご紹介します。

健康増進月間で社内コミュニケーション活性化と運動不足解消を同時に実現 │ NTTテクノクロス株式会社

テレワークにより従業員同士も会えない労働環境のためコミュニケーションの促進と運動不足の解消を目的に「健康増進月間」を企画しました。LIVE形式のRIZAP健康セミナーをはじめとしたこの企画には、延べ200名以上が参加し想定以上の盛り上がりとなりました。

『健康増進月間』ではオフィスに出社している従業員は会議室から参加し、テレワークのためオンラインで参加している従業員とともにセミナーを視聴したり、5minトレーニング動画をみるなどしてイベント形式でトレーニングを行う企画を複数回立てて実施しています。

健康セミナーや5minトレーニングに参加した人も、参加できなかった人もRIZAPの共通話題で盛り上がり、社内コミュニケーションの活性化に繋がりました。

NTTテクノクロス株式会社の詳しい事例ダウンロードはこちら 

ユニフォームの変更でプライベートの時間を増やすことに成功│福井大学医学部附属病院看護部

福井大学医学部附属病院では、常勤看護職員約660人において全体で年間約6万時間超の時間外労働が発生し心身の疲弊にもつながっていました。

そこで働き方改革の一環として、日勤・夜勤で使い分ける「白色・紺色の2パターンのユニフォーム」への変更を実施しました。

職員本人の定時終了の意識を高めるとともに、管理職や他職種からも残業時に周囲から不必要な声掛けをされることが減り、シフト交代時には前任勤務者から残務を引き継ごうとする意識が高まりました。

取り組み前後で年間900時間の残業時間削減に成功し、職員の適切なライフ・ワーク・バランスに繋がった好例です。

育休取得後の従業員の復帰支援を行い全体のモチベーションがアップ│キューピー株式会社 拳母工場

キューピー株式会社拳母工場では7割が女性従業員で、子供を持つ女性の中には育児の都合で急な休みや早退しなければならない現状があり育児中の従業員と、「突然休まれるのは困る」という現場の従業員との間で気持ちのズレのようなものが生じてしまっていました。

そこで育休取得者には復帰後の不安をなくすための取り組みとして、復帰に役立つ情報や会社の様子が分かる情報誌を作成し、工場長から「復帰後も安心して働ける。会社のみんなが戻ってきてくれるのを待っている」という気持ちを込めた直筆メッセージを添えて送付しました。

また、復帰の半年前と1ヶ月前にはセミナーを実施し復帰後にはメンター制度を設け、育休取得者への教育体制とキャリアアップ支援を整備しました。

このような環境を整備することで、育児に理解のある会社に信頼感を持ち、育休取得者はこれまでのスキルに加えて、出産・子育てという人生経験していることで今まで以上に仕事へのモチベーションがアップしています。

また、会社全体で意識改革を行ったことでそれぞれのモチベーションも変わってきたと実感しているとのことです。

参照:豊田市 ワーク・ライフ・バランス 働きやすい職場事例集

週4勤務の導入など働き方の見直し実践|社会福祉法人青谷学園

社会福祉法人青谷学園では、「遅くまで仕事をし、疲れて帰ったら休む間もなく家庭のことで忙しい」そんな毎日では健康的な生活とは言えないという課題から、職場環境の改善に取り組みを開始しました。

取り組み内容は下記の2点です。

  • 5日勤務・2日休日体制を見直し4日勤務3日休日体制へ移行
  • 育休等を取得しやすい雰囲気づくりのため実際に取得した従業員による研修会を実施

上記のような勤務体制に加え定時退勤を原則とし、残業は基本的にしない働き方を実現するだけでなく、業務の滞りを防ぎ給与を維持しています。結果的に職員がしっかり働きながら、子育ての時間も、より確保できるようになりました。育休取得経験者による研修の開催によって、休暇を取得しやすい組織風土が浸透し、出産立ち会いのために特別休暇を取るなど、より働きやすい職場づくりが着々と進んでいます。

参照:誰もが働きやすい職場環境づくり事例集 きょうと子育てぴあサポートセンター

女性や文系の人材等だれでも活躍できる職場づくり|株式会社積進

株式会社積進では、技術系男性の採用を続けていましたが思うような人材に巡り合うのが難しい状況になっており、誰でも活躍できる職場づくりに取り組むことで出産・子育てをしながらでも働ける環境を整備し、従業員が安心して長く働ける職場を目指しました。

取り組み内容は下記2点です。

  • 業務を細分化したマニュアルの作成
  • 社内設備の整備や休暇を取りやすい雰囲気づくり

業務マニュアルの整備によって技術系の男性にとらわれず、女性や文系を含めた多様な人材の確保につながり、従業員の層が厚くなりました。さらに、業務を標準化することで、「わたしだけの仕事」がなくなり、休暇が取りやすい体制に進化しました。男性従業員にも育児休暇取得が浸透しはじめています。

女性従業員が増えてきたことから更衣室の設置や妊娠中でも使いやすいトイレへの改修だけでなく、有給制度やスライド勤務制度を整え働きやすい職場環境づくりを進めた結果、働きやすい環境でやりがいをもって仕事ができ、生産性向上や従業員の定着にもつながっています。

参照:誰もが働きやすい職場環境づくり事例集 きょうと子育てぴあサポートセンター

離職や休職の兆候を早期に発見する方法

働きやすい職場にするよう努めても、個々の従業員が問題を抱えることを完全になくせるわけではありません。そのため、離職・休職の兆候を発見・防止するための施策が必要です。

従業員アンケートや面談の活用

満足度アンケートは、結果をきちんと活用するなら従業員の離職防止に寄与します。実施して結果を表やグラフにするだけで満足するのではなく、回答結果をどう生かすのかを明らかにし、その通り実践する必要があります。要望の多かった意見をもとに職場環境を改善するなら、「意見を取り入れてもらえた」「問題点が解消されて快適になった」という満足感につながります。

面談や1on1は、部下が悩みや苦手なことも含めて自由に話しやすい雰囲気をつくり、説教したり、目標を無理強いしたりしないことが大切です。実施しても上司が考えを押しつけるなら、従業員はストレスに感じるかもしれません。互いへの理解を深め、問題をどう解決すべきかを一緒に考える場にすれば、問題が大きくなって離職や休職に至るのを防ぎやすくなります。

異動の希望も積極的に受け入れるなら、離職せずに自分のやりたい仕事ができる、キャリアプランが実現できる、と感じられるでしょう。

ラインケアの強化

「ラインケア」とは、管理監督者が部下のメンタルヘルスに気を配り、対応や対策に努めることです。管理監督者が従業員の具体的なストレス要因を把握し、相談に乗ったり、必要に応じて環境を改善したり、配置転換等の策を講じることを指します。

ラインによるケアで大切なのは、管理監督者がスタッフの「いつもと違う」に早く気付くことです。「いつもと違う」とは、「スタッフがそれまでに示してきた行動様式とのズレ」です。例えば今までにない遅刻や業務の進行など細かな部分での違和感に気が付けるかどうかがポイントです。速やかな気付きのためには、日頃からスタッフに関心を持って接し、いつもの行動様式や人間関係の持ち方について知っておくことが必要です。必要に応じて産業医や医療機関につながるよう促しましょう。

また、部下の変化に気がついていても、どう対処したら良いか判断がつかず悩むこともあるでしょうし、管理監督者自身が強いストレスを抱えて困っている場合もあります。そのため、人事担当者やさらに上位監督者による定期的なコミュニケーション、研修機会が重要になります。理監督者が傾聴法の研修を受けるようにすれば、より兆候を見つけやすくなり、ラインケアを強化できます。

  関連記事:ラインケアとは?職場のメンタルヘルス対策、管理職の役割

ストレスチェックの活用

「ストレスチェック」とは、ストレスについて選択式で回答し、従業員が自身のストレス度合いを把握するための検査です。従業員が 50 人以上の事業所では毎年1回実施する義務があります。

ストレスチェックは、2015年に改正された労働安全衛生法に基づいて、常時50人以上の従業員を使用する事業場において1年間に1回実施することが義務づけられています。ただし、ストレスチェックを実施しないことによる罰則は規定されていません。

ストレスチェック制度の目的は「メンタルヘルス不調を未然に防ぐこと」であり、職場の弱みを見つけ出して改善することを目指す視点であるため、従業員エンゲイジメントを高めていくためにそのまま活用するものではありませんでした。

しかし近年、企業から注目を集めているのが「新職業性ストレス簡易調査票」、いわゆる「80項目版」のストレスチェック調査票です。

一般的なストレスチェック調査票(57項目版)との違いは、個人のストレス反応だけでなく、仕事に対する「エンゲイジメント」や、「職場環境」「ハラスメント」についても測定できる内容になっています。受検にかかる時間は10分程度と、57項目版と比べて長くなりますが、職場環境改善への効果が期待できることから、健康経営を推進している企業ではこの「80項目版」ストレスチェック調査票を導入している例も多いようです。

個人として結果を生かすだけでなく、結果を集計したものを分析することも可能です。職場環境で多くの人がストレスを感じている点が浮き彫りになり、改善のヒントを得られます。

関連記事:ストレスチェック制度とは?対象者、目的、メリット、実施方法

高ストレス者の面談

従業員が高ストレスと判定された場合は医師と面談し、医師はその結果をふまえて管理監督者などに助言・指導を行います。高ストレス者に対して仕事の軽減などの措置が取られることもあり、状況の悪化を防ぐ効果が期待できます。

なお、メンタルヘルスを専門とする産業医は少ないので、従業員に精神科への受診を促すこともあります。医師が治療や職場復帰支援を行うことで、疾患の悪化による離職を回避しやすくなります。

  関連記事:ストレスチェックにおける高ストレス者の判定基準、対応、面談

離職防止ツールの活用

働きやすい職場にするために、離職防止ツールを活用するのも有効です。離職防止ツールとは、社員の早期退職を予防し、定着率を高めるための機能を備えたITツールです。たとえば、モチベーションを向上させる機能や退職の原因を分析できる機能などを活用できます。

アンケート形式で従業員のコンディションを把握するツール、生成AIを活用したツールなど、多様なものが存在します。離職の原因となるストレスや負担などを分析し、離職防止のために先手を打つことができます。

現在は、さまざまな離職防止ツールがあります。分析結果が分かりやすいものかどうか、入力方法には柔軟性があるかどうか、離職防止に向けた具体的なアドバイスをもらえるかどうかなどのポイントで、選ぶようにしましょう。離職防止ツールは離職防止専用のツールというわけではなく、各社様々な診断方法を用いて適切な離職防止の取り組みを進めていくためのツールとなっています。それぞれの特性に合わせて自社に合うツールをご確認ください。

〈離職防止ツール例〉

関連記事:離職防止のための対策とは?離職の原因と取り組み方を解説

相談窓口の設置

パワハラ防止法により、相談窓口の設置が中小企業においても義務づけられました。相談しやすくするための対策として、何度も周知する、口頭やメール、チャットなどの複数のルートを用意する、男女を含む複数の人を担当にする、などが有効です。相談した被害者が責められたり、相談内容を広められたりする「セカンドハラスメント」が起きないように担当者への教育も実施しましょう。

場合によっては、相談窓口の外部委託も検討できます。

従業員が安心して相談できる場になれば、問題を解決へ導いて、パワハラによる離職を未然に防ぐのに効果を発揮するでしょう。

関連記事:EAPとは?導入されている理由、効果、気を付けるポイント

離職防止・休職予防のための対策

従業員の離職や休職の兆候に気付けたとしても、会社が取るべき対応を誤ってしまうと防げた離職・休職者が出てきてしまうこともあります。

この章では、会社が取り組むべき5つの対策をご紹介します。

会社の方向性やビジョンの定期的な発信

従業員は給与や生活基盤の安定だけを目的に仕事に従事しているわけではありません。

意義深い経営ビジョンや企業理念を共有しエンゲージメントを高めることで、やりがいや働く意義などの内的動機付けを見出しやすい企業風土を構築できます。

定期的にミーティングを開催したり、社内情報誌等で会社の方向性を発信していくことが従業員からの信頼に繋がります。

定期的なアンケート・面談の実施

ストレスチェックやパルスサーベイを定期的に行うことも、従業員が働きやすい職場を構築する上で有効です。具体的にどんなことがストレスになっているかを可視化でき、問題解決への最短方法を見つけることができます。

パルスサーベイでは従業員の心の状態を定点観測できます。たとえば「上司や周りは自分を一人の人間として配慮してくれているか」、「チーム内の人間関係は良好か」といった質問を定期的に行うことでコミュニケーションの活性度を測れ、何か問題があった場合でも早い段階で対応策を講じられます。

関連記事:ストレスチェック制度は義務?目的や実施方法を解説

参照:労働安全衛生総合研究事業「労働生産性の向上に寄与する健康増進手法の開発に関する研究」

コミュニケーションの活性化

他の従業員が何をやっているのかがわからないと情報共有が遅れたり、業務上の連携や協力もスムーズに行きません。お互いを知り、社内で人間関係の構築ができれば、離職・休職の兆候にも素早く気付くことができます。以下のものから自社に合ったものを取り入れてはいかがでしょうか。

社内報

社内報で従業員のことを紹介する取り組みでは、普段接点のない従業員のことを知るきっかけとなり、その後のコミュニケーションでの話題作りにもなります。

社内SNS

部署や役職を越え、自由にやり取りができる社内SNSを作成するのも、従業員同士が知り合うひとつのきっかけになります。

1on1ミーティング

上司と部下とのあいだで、普段の業務内ではなかなかコミュニケーションの機会を作れない場合は1on1ミーティングが有効です。リモートでのミーティング機会を設ける企業も増えています。業務中には話せないようなことも、1対1の場では話しやすくなります。定期的な機会を設け、継続していくことができるようにするには、計画性が重要です。

上司のマネジメントスキルの向上

モチベーションを高く保ち、継続して働きたいと従業員に感じてもらうには、管理職のマネジメント能力を向上させることが重要です。

働きやすい職場作りにおける管理職の3つの役割として「情報収集」「判断行動」「支援行動」が挙げられます。この3つの領域を意識して人材マネジメントに取り組む必要があります。

  • 情報収集:部下とコミュニケーションを図り、人材の強みや持ち味を把握しているか
  • 判断行動:管理職として適切な判断や迅速な意思決定を実行できているか
  • 支援行動:困っている部下に手を差し伸べ、適切な支援ができているか

部下を持つ従業員向けにマネジメントスキル向上を目的とした研修を行うのも良いでしょう。

健康経営の実施

健康経営とは『従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する経営手法』です。

従業員の健康を促進することは手段であり、目的は組織の活性化・生産性の向上であり、最終的には業績向上、企業価値の向上を目指します生産年齢人口の減少や従業員の高齢化、人手不足などの社会的課題を背景に、2013年から国の成長戦略として本格的にスタートしました。経済産業省が健康経営の普及を推進するために、「健康経営銘柄」「健康経営優良法人認定制度」といった評価・顕彰制度を設けています。

健康経営に取り組む企業数は年々増加しており、健康経営優良法人への申請数をみると、2016年度の申請数が約400法人だったのに対し、2023年度は約16,688法人となっています。

健康経営は従業員の直接的な健康増進だけでなく、健康にかかわる要素について広く戦略的に計画・実行を行うため、以下のような取り組みを継続して行うことで、従業員からみた自社イメージが向上します。従業員の健康状態や働き方に配慮してくれる会社として評価され、従業員満足度が高まると予想されます。

  • 適切な働き方の実現
  • 職場の活性化
  • 職場の環境整備
  • コミュニケーションを促進する取り組み

その結果、離職が減り従業員の定着率が上がると、ノウハウのある従業員が長く働くことになるため、新たに人を採用し、業務を引き継いだ場合に比べると生産性の低下を防ぐことが可能となるでしょう。

関連記事:【徹底解説】健康経営の取り組み方│企業にもたらす効果や事

実際に、健康経営に取り組む法人の離職率は健康経営を実施していない企業の約2倍以上低い結果が出ています。

参照:経済産業省 令和4年健康経営の推進について

まとめ

働きやすい職場をつくるにあたっては、すべての従業員が心身に過度なストレスを抱えることなく、安心してパフォーマンスを発揮できる環境を整えることが大切です。そのために、福利厚生の拡充や、オフィス環境の整備などの中から、自社にとって優先すべき施策をまず行ってみましょう。

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