運動不足がメンタルヘルスと身体に及ぼす影響
新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛やリモートワークの急速な普及による影響で、1日あたりの歩数減少をはじめとする日常的な運動不足が生じています。
運動不足のリスクはさまざまに謳われていますが、肥満や生活習慣病など従業員の健康被害を生むだけでなく、企業の経営にも大きな悪影響を与えます。運動不足によるリスクを軽減するには、具体的な影響を把握して、企業の実態に合わせた対策をすることが大切です。
RIZAPが2022年に実施した「ニューノーマル時代の従業員の心と体の健康管理アンケート」では、コロナ禍によって運動不足や精神的なストレスなどの健康課題が発生・増加していることが明らかになりました。
運動不足の実態を明らかにするとともに、メンタル面や身体面にどのような影響がでているのか解説します。
メンタルヘルスへの影響
運動不足によって自律神経が乱れると、気持ちが不安定になり、不安やイライラなどを感じやすくなります。また、不眠や疲労感にもつながり、うつ病やその他の精神疾患のリスクを高める危険性があるのです。
上記の調査において「コロナ前と比較して、新たに出てきた・増えた従業員の健康面での課題、または相談を受けた項目」では、約半数の回答があった「運動不足」を筆頭に、上位3項目は運動不足とメンタルに関わる項目でした。
この結果をテレワーク実施の有無で比較すると、テレワークを実施している企業の方が、実施していない企業に比べて健康課題を多く抱える傾向にあることが分かりました。

特に「運動不足」「精神的なストレス」ではそれぞれの差が15ポイント以上と、大きな乖離が見られます。
「精神的なストレス」がテレワークを実施している企業で多くなる原因として、コミュニケーション不足や、残業の増加が考えられます。

テレワークの場合、出社時と比べると人と会話する機会が少なくなるケースが多く、気軽なコミュニケーションも取りづらくなる傾向があります。また、コミュニケーション機会が少ないことから各々の業務状況も確認しづらくなるでしょう。
その結果、隠れ残業などが増え、ワークライフバランスが乱れることでメンタルヘルス不調へ繋がることが考えられます。
関連記事:メンタルヘルス不調とは? 症状や原因について解説
身体への影響
運動不足が体に及ぼす影響として成長期の子供に対する発育・発達への影響や、リモートワークやデスクワークが多い社会人の運動量低下、中高年齢者においては、免疫力の低下や筋力の低下なども危惧されています。
運動不足は、生活習慣病の発症リスクを増大させます。平成8年12月17 日公衆衛生審議会意見具申「生活習慣に着目した疾病対策の基本的方向性について」によると、生活習慣病とは、「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」と定義されています。
引用:https://www.mhlw.go.jp/www1/houdou/0812/1217-4.html
運動不足が招く生活習慣病には、インスリン非依存糖尿病、肥満、高脂血症(家族性のものを除く)、高血圧症等が挙げられています。また、心筋梗塞や脳卒中などの命を脅かす疾患も発症しやすくなり、死亡リスクが高まるので注意が必要です。
平成30年9月に厚生労働省健康局健康課より発表された「身体活動・運動を通じた健康増進のための厚生労働省の取組み」のなかでは、日本では運動不足が原因で毎年5万人が死亡しているとされています
さらに、厚生労働省「令和2年(2020)人口動態統計月報年計(概数)の概況」の統計では、主な死因別死亡数の約56%を生活習慣病が占めていることが分かります。
各社で運動不足や精神的なストレスなどの健康課題が発生・増加傾向
367名の健康管理ご担当者様への調査により、運動不足や精神的なストレスなどの健康課題が発生・増加傾向であることがわかりました。詳しい調査結果とともに、他社で行われている健康施策やメンタルヘルス対策や、RIZAP法人向け健康施策での解決策をご提案しています。
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運動がもたらす効果
運動不足による影響は、健康リスクから経営リスクまで広範囲に及びます。では、運動がもたらす効果にはどのようなものがあるのでしょうか。ここからは、運動が企業にもたらす効果を詳しく紹介します。

従業員の健康状態の改善
まず、運動によって従業員の健康状態が改善されることで、従業員の心身を守れます。従業員の健康を保持・増進することは、安全配慮義務を果たし、仕事のパフォーマンスを向上させるためにも大切です。
平成24年に武庫川女子大学生活環境学部食物栄養学科の内藤義彦氏が提出した「疾病予防および健康に対する身体活動・運動の効用と実効性に影響する要因」によると、運動の効用は16あるとされています。
身体面と精神面それぞれの効果を正しく理解し、対策の参考にしてみてください。
身体的な効果
「疾病予防および健康に対する身体活動・運動の効用と実効性に影響する要因」で記載されている身体的な効果は11あります。
- 動脈硬化性の病気、特に心筋梗塞の危険性を減少
- 体脂肪を減らし体重のコントロールに有効
- 脂質異常症(低HDLコレステロール血症、高トリグリセライド血症)の予防・改善に有効
- 高血圧の予防・改善に有効
- 糖尿病やメタボリックシンドロームの予防・改善に有効
- 骨粗鬆症による骨折の危険性を減少
- 筋力を増し、色々な身体活動の予備力が向上
- 筋力とバランス力を増やし、転倒の危険性を減少
- 乳がんと結腸がんの危険性を減少
- 認知症の予防・改善に有効
- 睡眠障害の改善
このように、運動は生活習慣病の改善に役立つ効果が多く期待できます。運動によって身体活動量が増えると、エネルギーがたくさん消費されます。エネルギー消費量の増加は代謝量アップや血流の改善をもたらし、肥満の予防・改善のほか、血糖値や脂質、血圧の状態の改善も期待できるのです。
精神的な効果
運動で体を動かすことは、精神的ストレスの発散にもつながります。「疾病予防および健康に対する身体活動・運動の効用と実効性に影響する要因」で記載されている身体的な効果は2つあります。
- ストレスの解消、うつ病の予防・改善に有効
- シェイプアップし、自己イメージが改善
運動によってストレス発散やセルフイメージ・自信の向上ができると、仕事面においても、集中力や目標達成能力の向上といった良い影響を及ぼします。また、従業員同士で運動不足解消に取り組むことは、従業員同士のメンタルヘルス維持やコミュニケーション促進にも効果的です。
楽しく生き生きと働く従業員が増えることは、外部へ良いイメージを与え、社会的信頼の獲得や企業価値の向上にもつながります。
うつ病への運動習慣の有効性
近年では、運動習慣はうつ病にも有効であるという研究結果が出ています。
健康科学を専門とする永松俊哉氏は、2013年に「運動と抑うつ改善の関係に関する先行研究を整理・要約し、運動の効用について概説」した論文を発表しています。それによると、抑うつの軽減やうつ病の症状改善に運動は有効であり、うつ病や不安障害の治療として運動が薬物療法と同等の効果を有し、抑うつ改善に及ぼす運動介入に一定の有効性があることが示唆されています。
運動することでセロトニンの分泌が増加し、興奮やイライラを鎮めることで心の安定につながります。また、睡眠の質を向上させるメラトニンも分泌されるため、運動の継続はメンタルヘルス対策に効果をもたらすことが期待されるのです。
企業の経営リスクの低下
次に、従業員の運動不足を解消することで、企業の経営リスクが低下します。
業績の向上に従業員の貢献は必要不可欠です。運動増進によって従業員の健康を守り、ひとり一人のパフォーマンスが向上することで、貢献度が増して業績が向上しやすくなります。
プレゼンティーイズム予防・解消
健康問題によって従業員の生産性が低下する状態である「プレゼンティーイズム」の悪化は、最終的に従業員の欠勤といったアブセンティーイズムにつながってしまいます。
プレゼンティーイズムを招く原因例として、不眠やうつ病などのメンタル不調や、頭痛、腰痛、肩こりなどが挙げられます。従業員の生産性を上げるためには、このような健康問題を改善することで、プレゼンティーイズムを解消していくことが重要です。
厚生労働省が平成29年7月に発表した「コラボヘルスガイドライン」では、国内3企業の健康関連総コストのうち、プレゼンティーイズムによるものが77.9%と、企業に大きな影響を与えていることがわかりました。
運動によるプレゼンティーイズムの解消は、従業員のパフォーマンス向上や、労働力確保、コスト削減など、企業の経営リスクの低下に効果的です。
関連記事:【まとめ】プレゼンティーイズムとは?測定と改善対策の具体例
コミュニケーションの活性化
従業員同士で運動をすることでコミュニケーションが活発になり、仕事がしやすくなる効果も期待できます。
大規模な企業では、部署間や支店間でのコミュニケーションが少ないケースも多いでしょう。従業員が参加できる運動セミナーの開催やトレーニングスペースの設置をすれば、仕事以外でのコミュニケーションを取るきっかけになります。社内コミュニケーションが促進されて仕事が進めやすくなれば、パフォーマンスが向上し、企業の業績にも良い影響を及ぼすでしょう。
テレワークの普及等でコミュニケーション不足が問題視されている今こそ、従業員同士で運動をしたり、運動という共通の話題を持ったりすることによる社内コミュニケーション促進が必要とされています。
関連記事:職場活性化の具体的なアイデア|事例、取り組みの進め方とは
メンタルヘルス対策
運動は従業員へ精神的な安定をもたらす効果があるだけでなく、従業員同士のコミュニケーションを活発化させることでメンタルヘルス対策にもなります。
運動は気分転換やストレス発散に有効です。仕事のストレスで気分が落ち込んでいるときに効果的なだけでなく、自律神経が整うことで不安やイライラを感じにくくなる効果も期待できます。さらに、社内コミュニケーションが活性化されれば、職場の雰囲気や人間関係が良好になり、安定したメンタルヘルスを保てるでしょう。
メンタルヘルス対策を検討する際、集客が難しかったり、効果がでているのか不安がある場合、運動実践からメンタルヘルス対策を検討することで様々な従業員が参加しやすくなるだけでなく、メンタルヘルス改善の効果も大いに期待できます。
運藤からのメンタルヘルス対策のアプローチ
運動を取り入れたRIZAPのメンタルヘルスセミナーは、メンタルヘルスに好影響をもたらします。対策が必要な一部の従業員だけでなく、ポピュレーションアプローチとしてすべての従業員のメンタルヘルス対策として最適です。
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関連記事:メンタルヘルス対策とは?企業の事例と取り組みの具体例
職場でできるさまざまな運動不足解消対策
運動とメンタルヘルスの関係性やコロナ禍での現状を踏まえたうえで、企業の実情に合わせた対策を行うことが成功のカギです。ここからは、職場でできる対策をご紹介していきます。
運動実践付きメンタルヘルスセミナーの実施
従業員の自己管理能力を高めるために有効なのが、メンタルヘルス研修です。メンタルヘルスは日常的にケアすることで、不調を防げます。そのため、研修を通じて従業員に気付きを与え、さらに継続するきっかけを作ることが重要です。
メンタルヘルス研修には、ディスカッション形式や運動を取り入れた実践形式など、さまざまなやり方があります。ポイントは、知識を習得する座学形式だけでなく、運動やヨガを取り入れた体を動かす形式や、参加しやすいオンライン形式なども取り入れ、選択肢を増やすことです。
研修の参加率を上げて参加後に運動を習慣づけてもらうためにも、工夫しながら実施しましょう。また、一度実施したら終わりではなく、定期的に開催して運動習慣を啓蒙していくことでメンタルヘルスのさらなる向上につながります。
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「メンタルヘルスに運動は効果的だと思う」約8割
メンタルヘルス研修が本当に対策をしてほしい人に受けてもらえないのはなぜでしょうか。
対策を実施している企業に研修内容を聞くと、座学形式とコラムや資料の共有形式が半数以上を占めていました。主催者側が一方的に情報を発信する形式が多いことが、参加率や効果の実感を低下させていると考えられます。
一方で、「メンタルヘルス対策に運動は効果的だと思いますか?」の質問では、約8割が「はい」と回答しています。
そのため、座学中心の研修形式ではなく、従業員が主体的に取り組めるようなプログラムを策定することが求められます。運動やヨガを取り入れた身体を動かす形式の研修を行うなど、形式を変えることで有効性の改善に期待ができるのです。
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健康・運動セミナーの実施
健康セミナーの実施も運動不足解消とメンタルヘルス対策に効果的です。セミナー形式で実施するメリットとしては、従業員全体を対象にすることで平等にアプローチできることが挙げられます。また、セミナー参加者同士でコミュニケーションが活性化するほか、健康増進の行動に対して積極的な意識を持つようになるといった副次的効果が得られるでしょう。
RIZAPではどのセミナーにおいても運動実践が含まれています。座学だけではない、課題に合わせたトレーニングを取り入れたセミナーを実施することで自身の運動状況の見直しの機会になるだけでなく、毎日取り入れられる強度の運動を始めるキッカケや習慣化への一歩となるでしょう。
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RIZAP法人セミナーの特徴
RIZAPの法人向けセミナーは、セミナー形式で参加者に自身の健康の気づきを与え、行動変容まで導くことを目的としたプログラムです。RIZAPトレーナーが企業へ出張、またはオンラインで従業員の健康意識向上を図ります。
RIZAPメソッドに基づく座学とトレーニングを組み合わせたセミナープログラムを実施することで、健康増進や社内コミュニケーション活性化、リフレッシュを促し、組織力の向上、ひいては企業価値向上を目指します。
- 特徴1 出張セミナーとオンラインセミナーで全国対応可能
- 特徴2 セミナー満足度は98.8%※
- 特徴3 たった1日で従業員の意識改革と動機付けを実現
法人向けセミナーではRIZAPメソッドを熟知し、セミナー講師としてもスキルを磨いた法人向けプログラム専任トレーナーが講師を務めます。
対面でもオンラインでも参加者のセミナー満足度は98.8%と高い水準を保っており、企業担当者様からも高い評価を得ています。
※セミナー開催後アンケート集計 2021年4月~2022年3月 N=10,372
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職場で行うウェルネスプログラムの有効性
RIZAPが2018年11月から筑波大学の水上研究室と共同で実施した「トレーニングプログラム参加者の心理的変化」に関する研究では、トレーナー出張型の運動プログラムが身体面だけでなくメンタルヘルス対策にも有効であることが示唆されました。

298名の男女を対象に実施したこの研究では、「RIZAPウェルネスプログラム」の開始前と開始3ヶ月後で自己効力感や健康感、うつ尺度、ストレス対処力の変化を観察しました。その結果、いずれの項目でもプログラム後に大きく改善された結果となりました。これにより、職場などでのストレスを感じた際に、ポジティブに対応する能力が増したことが分かりました。
企業内で集団的に実施する運動プログラムは、従業員のメンタルに良い影響を与えることが期待できるのです。
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福利厚生で運動の定着と習慣化を促進
生活習慣病などのさまざまな病気にかかりやすくなり、欠勤や休職する人も増えると業務をスムーズに遂行できなくなります。そのため、運動を促進させる施策も福利厚生の一環として進めていくとよいでしょう。
その一つとして福利厚生での運動機会促進が考えられます。運動不足の解消のためにジムに通う従業員は積極的な一部の社員にとどまることが多いですが、福利厚生としてスポーツジムにお得に通える環境整備を行うことで、一人でも多くの従業員がスポーツジムに通うことを後押しすることにつながります。
福利厚生でのスポーツジム法人会員利用の資料(無料)はこちら
ウェアラブル端末の配布
従業員の健康増進や運動不足の自覚を促す一つのきっかけとして、ウェアラブル端末を従業員に配布・貸与する企業が増えています。
ウェアラブル端末は、一日の運動量や睡眠の質などを計測する機能があるものも多く、中には休憩や運動を促し長時間の座りすぎを解消を促してくれるものもあります。
今まで漠然と運動不足を感じている場合、数値やグラフなどで運動量の少なさを自覚することで運動不足解消のキッカケになる可能性も高いでしょう。少しでも従業員自身に自分の体に興味を持ってもらうきっかけとして注目を集めています。
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社内運動会の実施
社内で実施する運動会は、年齢や役職といった立場にとらわれずに、従業員を一か所に集められます。
宴会や飲み会などのように、お酒が飲めないといった人も参加して等しく楽しめる点も利点です。
そして、役職に関係なく全員が一丸となって競技に取り組むことで、立場を超えたコミュニケーションが生まれます。
競技を通じてチームワークについて考えたり、皆を引っ張るリーダーシップを発揮したりすることで、協調性や積極性を身につけることにもつながります。思わぬ従業員の適性を見つけることもあるかもしれません。
社内運動会を実施するためには、事前に場所を確保し、スケジュールを組んで従業員に周知しておく必要があります。
競技を円滑に進行するためにも、進行管理を担当する運営チームがしっかりと段取りすることが重要です。
社内でのヨガ・ストレッチ
運動が苦手な人や女性でも参加しやすいのが、社内で行うヨガやストレッチ会です。事前の場所確保や競技の段取りが必要な社内運動会に対して、ヨガやストレッチは食堂やミーティングルームなどの広めのスペースがあれば、どこでも手軽に実施できます。
始業時刻の直前や業務終了後などに日常的に開催できる手軽さもメリットです。事前にレッスンの時間を決めておくことで、無駄な残業を減らして労働時間も管理できます。高度なプログラムのレクチャーを受けたい場合、講師役としてインストラクターを呼ぶ必要があります。
ただ、予算を削減したいのなら、代わりにオンラインでレクチャーを受けたり、配信されているレッスンを受けたりするなどの手段も検討してみると良いでしょう。
ウォーキングの促進
人間の1日の理想的な歩数は1万歩とされていますが、なかなかそれに届かないのが実情です。そこで企業がウォーキングの重要性を従業員に知らせるとともに、万歩計アプリを導入して従業員の歩いた歩数を可視化することで、従業員の健康意識を高められます。
特別な運動をしなくてもエレベーターを使わずに階段を登り降りしたり、ひとつ遠い駅で降りて家まで徒歩で帰ったりするなど、日頃から意識することで、運動量を増やせるのもウォーキングの利点です。
企業のなかには、従業員の歩いた歩数をカウントしてポイント化し、優秀な成績をおさめた人を社内で表彰したり、ポイントで景品と交換できるといったインセンティブを導入したりするなどの制度を設けています。
このようにウォーキングを実施するための動機をつくることで、従業員自ら積極的に参加するよう働きかけると効果的です。
スタンディングテーブルを導入する
長時間の座り過ぎは健康上のリスクを高めます。姿勢が固定化されることで、足の筋力が衰えて代謝が低下し、下半身の血流も悪化します。
これが心筋梗塞や脳血管疾患の危険性を増大させるほか、肥満や糖尿病などの生活習慣病も招いてしまいます。
そこで会議室にスタンディングテーブルを導入して、立ち上がった状態で会議を進めたり、昇降式のデスクをオフィスに用意して立ち作業と座り作業のどちらでも仕事を進められるようにしたりすることで、従業員が座りっぱなしになる状態を予防できます。
会議室にスタンディングテーブルを導入すれば、無駄な会議の時間を短縮して、業務の効率化が図れるという効果も期待できます。
運動からメンタルヘルス改善につながる企業事例
ここからは、職場復帰支援に運動プログラムを取り入れてメンタル改善を目指した企業の事例を紹介します。
運動習慣者割合が2年で9倍に │ 株式会社ベネッセホールディングス様
ベネッセホールディングスは、比較的若い従業員が多く、病気の人が多いわけではありませんが、生活習慣病予備軍については気を付ける必要があり、過去に生活習慣病の予防としてポピュレーションアプローチをいろいろ実施してきました。
しかし、健康無関心層が集まらず毎回関心のあるメンバーしか集まらないなど健康施策に関して苦戦を強いられている現状を変えるため、集客に好影響がありそうだと判断してRIZAPの健康セミナーを導入しました。
参加満足度は97.5%と高く、2019年度以降、参加申込人数は翌年に4倍、翌々年には9倍もの推移を遂げる結果となりました。2020年度より運動不足に悩む企業が増えている中、上記の取り組みの末「運動習慣がある」と回答した割合が毎年向上しています。
参加者アンケートにおいて「セミナーを通して、健康改善や運動習慣に関する知識や姿勢は向上しましたか」という質問に対して、参加者の85%が向上したと回答があり好結果が得られています。
その他にも、半数以上の従業員から「運動不足の解消・運動習慣の改善」につながった声や、「リフレッシュできた」「気持ちがポジティブになった」と前向きな回答が多く挙がりました。

※RIZAPウェルネスプログラム導入による直接的な効果を実証するものではありません。
参照:https://benesse-hd.disclosure.site/ja/themes/154
株式会社ベネッセホールディングスの詳しい事例はこちら
心身の健康バランスを整えるためにRIZAP運動プログラムを導入 │ 株式会社Rodina様
株式会社Rodina様では、うつ病などのメンタル不調によって休職した従業員の職場復帰を支援しています。「就労は健康の上に成り立っている」という前提のもと、心身の健康バランスを整えるために運動を取り入れる必要があることを重視し、その一環としてRIZAPの運動プログラムを導入しました。
具体的なプログラム内容としては、生活習慣(運動・食事)に関係する健康セミナーを定期的に開催しているほか、運動実践が取り入れられたメンタルヘルス研修、さらに健康に関する各種コラムを入れたタブレットを配布するなどの施策を行っています。
コロナ禍の影響もありセミナーはオンラインで開催し、約140名の支援対象者が参加しました。参加者や従業員から「受けて良かった」という声が寄せられるほど好評だったとのことです。
株式会社株式会社Rodina様の詳しい事例はこちら
まとめ
メンタルヘルス対策には、精神的なストレスを軽減させるなどの効果が期待できる「運動」が有効です。従業員の現状のメンタルヘルスを正しく理解し、実情に合わせて取り組むことが重要です。
一方的に情報を伝える座学形式だけではなく、運動を取り入れた研修やセミナーの実施、日常的に運動できる環境の整備など、従業員が主体的に取り組める工夫をすることが成果につながります。まずは自社の課題を明確にした上で、従業員全員に寄り添った対策を検討しましょう。