職場のメンタルヘルス対策とは?取り組み方や予防方法を解説

従業員のメンタルヘルスは、企業の生産性に影響を与えます。

不調を抱えたまま働き続けると、仕事中の集中力や判断力が低下し、ミスや事故につながったり生産性が低下します。それだけでなく、ポジティブな気持ちで熱意を持って日々の業務に取り組めない状態が続くと、当人だけでなく周りにも悪影響を及ぼします。

その対策として、厚生労働省が提唱している三段階の予防方法4つのケアを取り入れることが有効です。

本記事では、企業でのメンタルヘルス対策の取り組み方具体的なアクション例だけでなく、健康経営での効果的な対策方法をご紹介していきます。

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目次

メンタルヘルス不調を引き起こす要因とその症状

メンタルヘルスについて対策を講じる前に、ストレス要因を理解することが重要です。

医学や心理学の領域では、心身にかかる外部からの刺激を「ストレッサー」と言い、ストレッサーに適応しようとして、心身に生じるさまざまな反応を「ストレス反応」と言います。

ストレッサーにはさまざまなものがありますが、働くなかでのストレッサーには「物理的ストレッサー」「化学的ストレッサー」「心理・社会的ストレッサー」の3種類があります。
※出典 厚生労働省 働く人のメンタルヘルスポータルサイト「こころの耳」「1 ストレスとは」

従業員がメンタル不調を訴える場合、ストレッサーが1つとは限りません。さまざまなストレッサーが複合的に関連することもあります。一例ですが頭痛や無気力になる等、ストレス反応は把握しやすい一方で、メンタルヘルスにおいては、その原因であるストレッサーの解明が重要になります。

それぞれのストレッサーがどういったものかをおさらいしましょう。

物理的ストレッサー

音や温度、光などの物理的な環境刺激のことです。例えば下記のような環境です。

  • 騒音
  • 熱い
  • 寒い
  • まぶしい
  • 暗い
  • 湿度

こういった環境がもたらす外的刺激がストレッサーになり得るということです。

具体的には、暑い夏に冷房が効かないことや、太陽光が強く差し込む室内でPCのディスプレイが見づらい、工事現場が近くて騒音がする、などが挙げられます。

化学的ストレッサー

化学的ストレッサーは化学物質による刺激です。目や喉への刺激、匂いや酸素濃度、空気、毒性等があり、非常に多岐にわたるため枚挙に暇がありませんが、代表的な例を挙げると下記のようなものがあります。

  • 薬物
  • 大気汚染
  • 化学物質
  • 有機溶剤
  • 金属
  • アルコール
  • たばこ
  • 酸素の欠乏や過剰
  • 栄養不足等

受動喫煙もこれにあたります。昨今では受動喫煙防止対策を行っている職場が多いですが、オフィスでの喫煙が許されている場合には、分煙や喫煙所の設置は必要です。

ほこりもこの化学的ストレスに該当します。

心理・社会的ストレッサー

心理・社会的ストレッサーとは、人間関係や家庭の問題、仕事上の問題など、社会生活のなかで最も多く直面するストレス要因と言われています。

また、心理的ストレッサーのなかにも分類すると、時間(納期や定時出社など)や課題(ノルマや目標達成、クオリティ担保など)、非常に多くの要素があります。

心理・社会的ストレッサーの具体例としては下記のようなものがあります。

  • 人間関係
  • 結婚や離婚
  • 経済トラブル
  • 引っ越し
  • 家庭の問題

ストレス反応によるメンタルヘルス不調の症状

日常生活で、私たちは上記のようなストレッサーによるストレス反応を緩和するために、脳や体がさまざまな工夫をします。これをストレス対処と言います。

ストレス対処が適切になされている場合は良いですが、ストレス対処能力を上回るほどのストレッサーを経験したり、その期間が長期化すると、ストレス反応も慢性化していきます。

これにより、イライラや不安感が続き、抑うつ状態に近づいていき、下記のような症状例が表れます。

・気分の落ち込み、憂うつな気分
・趣味などが楽しめない
・体重の減少または増加、食欲の減少または増加
・寝つきが悪い、夜中に目が覚める、朝早く目が覚めてしまう、どれだけ寝ても眠気がとれない
・気持ちが焦るイライラしやすい
・疲れやすい
・価値のない人間だと思う、周りに対して申し訳なく思う
・思考力や集中力が低下する、決断が難しい
・いっそのこと消えてなくなりたいと思う

上記のような症状が2週間以上続く場合には、「うつ」が疑われますので、専門家(精神科、心療内科)に早めに相談しましょう。

引用:厚生労働省 働く人のメンタルヘルスポータルサイト「こころの耳」「2 ストレスからくる病」

メンタルヘルス対策の目的

メンタルヘルス対策は何のためにやるのでしょうか?それは企業にとっても従業員にとっても双方にメリットがあるためです。

2021年6月、厚生労働省から、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスが原因で発病した精神障害の状況について発表がありました。
参照元: https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19299.html 

これによると、精神障害の労災決定件数は増加傾向にあり、令和2年度は過去最多の1906件を記録しています。

近年従業員の受けるストレスは拡大する傾向にあり、令和2年の調査では仕事に関して強い不安やストレスを感じている従業員が54.2%という結果がでています。

参照:厚生労働省 令和2年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況

このような中で、心の健康問題が従業員、その家族、企業に与える影響は、ますます大きくなっており、企業においてより積極的に従業員の心の健康の保持増進を図ることは非常に重要な課題となっています。

メンタルヘルス対策の目的は、従業員が精神障害に陥る事態をセルフケアで未然に防いだり、周囲の人や適切な機関へ相談することで解決策を見出すきっかけを与えるためです。

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また企業にとっては、メンタルヘルス環境を良好に保てるメリットがあります。それだけではなく、安全配慮義務の観点からも、リスクヘッジにも繋がっているためです。それぞれを詳しく解説します。

生産性低下の防止

生産性は、従業員一人ひとりの心が前向きで、意欲的な状態のときに上がります。

メンタルヘルス対策により、企業全体でリテラシーを向上することにより、心身の健康状態が安定します。その結果、心理的安全性が担保され、意欲的に業務に取り組めることで生産性の向上につながっていきます。

そのため、メンタルヘルス対策を行うことで、生産性低下を未然に防ぐことができます。

 

「心理的安全性(psychological safety)」とは、職場などの組織やチームの中で、意見や質問、違和感の指摘が、いつでも誰でも気兼ねなく発言できる状態のことです。従業員のパフォーマンスを引き出し、定着率の向上が見込める要素のひとつです。

関連記事:心理的安全性とは?測り方、作り方、マネジメントの役割を解説

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事故やトラブルのリスクヘッジ

メンタルヘルス対策はリスクヘッジに繋がります。企業にとって傷病手当や、もし訴訟問題に発展した場合には、損害賠償請求といったコスト面での損失リスクがあります。

それだけでなく、過重労働やハラスメントによるメンタル不調等については、社会的な信用の低下につながったり、人材の損失・流出といった様々なリスクを及ぼします。

メンタルヘルス対策を事前に行い、心身共に健康に企業運営がされることにより、リスクヘッジができます。

安全配慮義務

メンタルヘルス対策の目的の一つに安全配慮義務の履行があります。

近年の労働者の受けるストレスは拡大する傾向を受けて、平成12年8月に策定した「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」を見直し、労働安全衛生法第70条の2第1項に基づく指針として、平成18年3月、新たに安全配慮義務として「労働者の心の健康の保持増進のための指針」が策定され平成27年11月改正されました。

この指針では、事業者が「心の健康づくり計画」を実施するだけでなく「4つのケア」やその具体的な進め方について示してあります。

参照:厚生労働省 労働者の心の健康の保持増進のための指針

前述の事故やトラブルのリスクヘッジにも通じるところですが、これは企業のガバナンス、あるいはコンプライアンスの一環としても重要な役割があるものとして捉えましょう。

出典:厚生労働省 メンタルヘルス対策[安全衛生キーワード]

組織の活気や活力の向上

メンタルヘルス対策は、組織の活気や活力につながります。それはメンタルヘルス対策によって、心身が良い状態であることで、一人ひとりが能力を十分に発揮でき、意欲的に業務に取り組める状態が作れるためです。

その大前提として、組織は人の集合体であること、また、人は感情を持っていて仕事と感情は完全に切り離すことはできないという事実があります。

そのため、一人ひとりの能力が十分に発揮できる働きやすい職場であれば、その環境がもたらす活気や活力など、目に見えないものであっても、じわじわと従業員の感情に作用していき、組織を動かす原動力となります。

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過労死や労働災害のリスクを減らす

平成28年12月26日に「過労死等ゼロ」緊急対策が厚生労働省の長時間労働削減推進本部で取りまとめられました。主な柱は、(1)違法な長時間労働を許さない取組の強化(2)メンタルヘルス・パワハラ防止対策のための取組の強化(3)社会全体で過労死等ゼロを目指す取組の強化、の3つとなっています。

メンタルヘルス・パワハラ防止対策のための取組の強化としては、、①メンタルヘルス対策に係る企業本社に対する特別指導、②パワハラ防止に向けた周知啓発の徹底、③ハイリスクな労働者を見逃さない取組の徹底、の3つの取組み強化を盛り込んでいます。

これにより、メンタルヘルス対策はさらに強化され、過労死や労働災害のリスクを減らすためのメンタルヘルス対策がさらにすすめられています。

参照:厚生労働省 過労死ゼロ緊急対策

メンタルヘルス対策の基本

メンタルヘルス対策について、従業員皆の心身ともに健康な状態が最も望ましいですが、そのためにはどうすれば良いでしょうか。

メンタルヘルス対策には、未然の防止と、職場復帰まで含めた三段階の予防方法と4つのケアがあります。

三段階の予防方法

それぞれの段階についてご説明します。

一次予防:未然に防止

一次策はメンタルヘルス不調を未然に防止する「予防」です。

メンタルヘルスに不調をきたすことのないよう、職場や業務に起因するストレスを未然に防止する段階です。従業員が自分で行うストレス緩和ケアのほか、ストレスチェックの実施、業務環境の改善がこの段階に含まれます。

「ストレス緩和ケア」は、従業員が自分のストレス状況について気付くことを促したり、その対処によりストレスを緩和するケアを行うことです。しかし、このやり方や度合いは従業員個人によって異なるため、教育研修によって意識を高めていくことが重要となります。

ストレスチェックは、労働者に自身のストレスへの気づきを促す目的で実施します。初期兆候があらわれてた段階で自分の状況に気づき、十分な休養や睡眠をとるなどの緩和ケアを行うことにつながり、メンタルヘルス不調の未然防止に大きな効果をあらわすことになります。

「業務環境の改善」とは、ストレスを低減するための職場環境作りや、業務量や体制(組織形態)、業務環境(温度や湿度、照明などの明るさ、騒音、机や椅子といった設備)等、環境を整える取り組みのことです。

企業が従業員の業務環境を改善し、ストレスが低減された状態となれば、必然的にメンタルヘルス不調に陥る数を減らすことができます。

二次予防:早期発見

二次予防は、メンタルヘルス不調を早い段階で発見し、適切な措置を行う「早期発見」です。重度な精神疾病に至る前に、早い段階で不調を把握・発見し、対処するための取り組みのことを指します。

具体的には、メンタル不調者本人・上司・同僚への気づきの支援や、検診、相談窓口などの体制整備があります。

SOSを上げたり、気兼ねなく相談できる風土醸成により、二次予防が効果的に働きます。

ストレスチェックはメンタルヘルス対策の一次予防に用いられるものですが、副次的な効果としてメンタルヘルス不調の早期発見(二次予防)にもなります。

不調に気付いた時に、ためらわずに相談できる相談窓口を社内外に設置したり、産業医との面談機会を設けることにつながります。

三次予防:復帰支援

三次予防は、メンタル不調を発症してしまった従業員の治療と、休職後の職場復帰・再発予防の取り組みです。

おろそかにすると、再発したり離職につながることもあるため、慎重に取り組む必要があります。休職した従業員は、症状の回復への不安だけでなく、回復後に社会復帰できるかどうかの不安も抱えています。

復職については、休職時と同様に、医師の診断結果や見解に基づく判断と、本人とも相談の上、慎重に時期や受け入れポジションを決めていくことが重要です。

また一度復帰しても、一定期間をおいて再度不調に陥ることもあります。そのため、定期的に面談機会を設けたり、慌てることなく療養するよう促すことも必要です。

並行して、復職後すぐは業務量や、納期の厳しい業務については注意を払ったり、短時間での勤務形態にするなど、受け入れ体制の構築も三次予防に有効です。

企業のメンタル対策に重要:4つのケア

メンタル不調と向き合うための有効策として、厚生労働省から「労働者の心の健康の保持推進のための指針」(改正)(平成27年11月)が発表されています。メンタル不調と向き合う4つのケアを解説します。

従業員自身で行う「セルフケア」

セルフケアは従業員一人ひとりが自らのストレスを予防し、気付いた時に適切に対処することです。簡単そうですが実は正しい知識がないと適切に対処できません。

例えば、体や気持ちに異変が生じていても「今の自分は、うつ病かもしれない」と、自発的に気付いて対応できる従業員ばかりではありません。また異変の度合いや、生じる症状や頻度は、人によってそれぞれであるため、判断が難しい場合があります。

ストレスの認知や、その反応に自ら気付くためには、従業員一人ひとりがストレス要因に対する反応や、心の健康について理解するとともに、気付こうとする姿勢が必要です。自ら気付き、対応する「セルフケア」を適切にできるようになるには、教育研修の機会を設けて、意識を高めていくことが重要です。

このセルフケアが十分にできれば、不調を未然に防いだり、重度に至る前に対処でき、組織全体でストレスへの対応力が強化されることとなります。

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組織の管理監督者による「ラインケア」

ラインケアとは、組織の管理監督者による部下のストレスケアのことです。

管理監督者が従業員の具体的なストレス要因を把握し、相談に乗ったり、必要に応じて環境を改善したり、配置転換等の策を講じることを指します。

ここで重要なことは、管理監督者が適切なケアを実行できるよう、管理監督者に対して定期的にラインケアに関する教育・研修、情報提供を行うことです。

管理監督者が部下の不調を認知できるかどうか、あるいは認知したところで適切に対処できるかどうかは、ラインケアの基盤となるためです。

まずは管理監督者自身に、ラインケアを行う職務であることを認識させましょう。

また、部下の変化に気がついていても、どう対処したら良いか判断がつかず悩むこともあるでしょうし、管理監督者自身が強いストレスを抱えて困っている場合もあります。

そのため、人事担当者やさらに上位監督者による定期的なコミュニケーション、研修機会が重要になります。

関連記事:ラインケアとは?職場で重要な管理職によるメンタルケアの具体策

事業場内産業保健スタッフ等によるケア

事業場内産業保健スタッフ等によるケアとは、産業医や衛生管理者、保健師、心理職、精神科医など社内の産業保健スタッフ等による支援のことです。

セルフケアやラインによるケアが効果的に実施されるよう、従業員や管理監督者に対する支援を行うとともに、次に示す心の健康づくり計画の実施にあたって、中心的な役割を担います。

具体的な支援内容は以下があげられます。

  • 具体的なメンタルヘルスケアの実施に関する企画立案
  • 個人の健康情報の取扱い
  • 事業場外資源とのネットワークの形成やその窓口
  • 職場復帰における支援、など

事業場外資源によるケア

事業場外資源によるケアとは、メンタルヘルスケアの専門知識を有する外部の機関やサービスを活用することです。

事業場内での相談を希望しない従業員のケアや、企業が抱えるメンタルヘルスの課題解決のために、カウンセリング、従業員への教育研修、情報提供、復職支援など、専門性や第三者の介入が必要なケースもあります。

そのため、外部の専門的な知識を有する資源の活用が有効です。

必要に応じて外部EAP(Employee Assistance Program)など、適切なサービスを得られるネットワークを整えておきましょう。※外部EAP:身体と精神の両方の健康を支援するプログラムのこと

メンタルヘルス対策に有効な7つの取り組み

厚生労働省が提唱している3段階の予防対策と、4つのメンタルケアについて前項にて解説しました。しかし企業の健康管理担当者としては、メンタルヘルス対策としてどういった取り組みをすればよいのでしょうか。

事業者は自らがストレスチェック制度を含めた事業場におけるメンタルヘルスケアを積極的に推進することを表明するとともに、衛生委員会等において十分調査審議を行い、「心の健康づくり計画」やストレスチェック制度の実施方法等に関する規程を策定する必要があります。それを助けるものとして「心の健康づくり計画助成金」というものもあります。

この「心の健康づくり計画助成金」は、事業主の方が各都道府県にある産業保健総合支援センターのメンタルヘルス対策促進員の助言・支援に基づき心の健康づくり計画を作成し、計画を踏まえメンタルヘルス対策を実施した場合に助成を受けることができる制度です。  

こういった制度の活用も視野にいれながら、対策にあたり、まずは、①現状を把握し、②目標を設定し、③アクション、という3ステップで考えていきましょう。

取り組み1: ストレスチェックや従業員サーベイで現状把握

メンタル不調のリスクは若手が多いと思われがちですが、その考えは誤りです。心の病を抱えているのは10~20代と、30代、40代はほぼ同じ割合になるため、幅広い層を対象に実施することが望ましいです。

そのため、健康診断の結果分析だけでなく、全従業員を対象としたアンケートを実施し、その結果を活用し現状把握を正しく行う必要があります。

ストレスチェックを活用する

労働安全衛生法に基づき、常時50名以上の従業員がいる事業場に1年間に1回、従業員のストレス度合いを調べるストレスチェックの実施が義務付けられています。ストレスチェックでは、「仕事のストレス要因」「心身のストレス反応」「周囲のサポート」といった項目を調査します。

ストレスチェック調査票において「心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目」の評価点数の合計が高い者は「高ストレス者」となります。「疲れがずっと抜けない」「休日でも仕事のことが気になって落ち着かない」など、メンタルヘルス不調を示すサインを多く持つ人が該当します。

ただし、それほど極端な自覚症状がなくても、担当業務の責任が重い、業務量が過度に多いなどストレス要因の多い仕事を抱えている人や、上司や同僚からのサポートが乏しい人も、今後メンタルヘルス不調に陥ることが懸念される対象として高ストレス者に分類される場合もあります。

こうしたストレスチェックの結果を活用し、メンタルヘルスセミナーに積極的に参加してほしい従業員・組織をフォローし、参加率を高めることが重要になります。

関連記事:ストレスチェックで高ストレス者が。対応と根本的な改善策とは?

従業員サーベイを活用する

昨今では、年1回のストレスチェックだけでなく、もっと高頻度で細かく状況を把握する従業員サーベイが注目を集めています。

以下が従業員サーベイの項目例になります。

  • 業務の量や負担の満足度
  • 企業方針への理解と共感
  • 評価への納得
  • 上司とのコミュニケーション満足度

設問をある程度固定化することで、推移を把握でき、比較しやすくなるため有効です。

従業員サーベイの結果と、健康診断等のデータ等を一元管理して分析できるDXツールも昨今多く出てきているので、従業員の状況把握として活用すると良いでしょう。

取り組み2: 目標設定

メンタルヘルス対策についての目標設定は難しいポイントです。

しかし現状を把握し、「中長期的に取り組むことで、1年後、3年後、5年後にはどういった状態を目指していくか」を定量的に設定することができます。

例えば以下のような設定が例としてあげられます。

  • 従業員エンゲージメントのスコアを1年で1%上げる
  • 健康診断の運動習慣率を2%上げる
  • 離職率を3%下げる
  • 休職者率を0.3%下げる

しかし、目標とする数値のアップダウンが、健康施策を講じたことによる直接の相関関係であるとは断定しづらいという側面があります。

そのため担当者の目標設定としては、行動評価(セミナーを年3回開催する、などの行動そのものを評価とする方法)などで人事評価の目標とするのも良いでしょう。

取り組み3: 相談窓口の設置

従業員がメンタルヘルス不調について気軽に相談できる窓口を設置することは重要なメンタルヘルス対策です。

2020年6月に施行された改正労働施策総合推進法によって設置が義務化されています。中小企業については2022年3月31日までは努力義務となっていますが、2022年4月1日には、大企業と同様に義務化が適用されるため、全ての企業において体制整備が必要となってきます。

こうした観点からも、相談窓口を設置し、社内に周知して従業員の利用を促すことはリスクヘッジにもつながります。

社内に設置する方法と、社外に設置する方法の2つがあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。

社内の場合は体制を作り、メールや電話、面談等の相談方法を決めることで設置できるという手軽さがあります。

しかし社内に不信感や疑念を抱いている従業員は相談しづらい側面もあるため、社外に相談窓口を設置することも有効です。必要に応じて検討すると良いでしょう。

取り組み4: メンタルヘルス研修

従業員のメンタルヘルスを考える中で最も重要なのがセルフケアです。一人ひとりがストレスを認知し、適切に対処できれば、不調を防ぐことができるためです。

不調を感じた場合も重症化することなく改善できれば、企業にとってのダメージも軽減できます。

セルフケアスキルを高めるには、一人ひとりに気づきを与える教育研修を定期的に開催することが重要です。

メンタルヘルスセミナーにも様々な種類があります。

  • セルフケアセミナー:セルフケアスキルを身につける
  • メンタルタフネスセミナー:ストレスへの対処思考法を身につける
  • アンガーマネジメントセミナー:怒りの感情をコントロールするスキルを身につける
  • リラクゼーションセミナー:コンディショニングを整える
  • ハラスメント防止セミナー:ハラスメントへのリテラシーを高める
  • モチベーションアップセミナー:動機付け方法を身につける

メンタルヘルスセミナーは年に1~2回、夏と冬など定例的に時期を決めて開催するというように、自社でのルールを作って実践するのが良いでしょう。

内容はセルフケアセミナーが最もメジャーになりますが、自社の課題傾向を掴んだうえで選定をすることで実施効果を高めることができます。

また、メンタルヘルスという内容に対して一人だと参加しずらいことや、参加していることを他の人にばれたくない従業員もいるかもしれません。その場合は、対面形式だけでなく、オンライン形式で実施することで参加ハードルを下げることが可能になります。

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取り組み5: 思考と言動をポジティブ変換

思考と言動のトレーニングも教育研修の中で取り入れる1つのトピックとして有効です。

課題や目標、トラブルと向き合う時に、ポジティブな思考は大きなプラスの力となって作用します。

言動は、その人自身の思考から影響を受けます。思考がポジティブであれば、言動も同様にポジティブなものとして表れてきます。また、ポジティブな思考や言動は当人だけにとどまらず、周囲にも好影響を与えるため、組織全体で取り組むことで好影響が期待できます。

思考と言動をポジティブに変換するためにはどうすれば良いでしょうか?

答えは、そのトレーニングを行うことです。

ポジティブ変換の代表例として、水が半分入ったコップの話があります。

「半分しか入っていない」と感じる人と、「半分も入っている」と感じる人がいるでしょう。前者は、不満や不足をベースとしたネガティブな思考ですが、トレーニングによって、後者の、満足や喜びを感じる思考を身に着けることができます。

思考や言動は、人によってさまざまです。背景には過去の経験や立場、周囲の環境など、さまざまなものが影響して成り立っているため、なかなか変えることが難しい項目です。

しかし「周囲の環境から影響を受ける」という点において、職場も周囲の環境の一つです。常にポジティブな言葉が飛び交い、活気づいていれば思考や言動にも好影響が期待できます。

そのためには、職場全体、すなわち、従業員全員がポジティブな思考と言動を行う習慣を身に着けることです。これは皆で変えていくという意識のもと、組織全体で教育研修の機会を設けて取り組んでいくことが重要です。

取り組み6: 職場環境を整備する

メンタルヘルスの対策を行う上で、職場環境の整備は欠かせません。

コミュニケーション不足などが原因で人間関係に問題が生じている場合には、従業員にメンタルストレスが溜まりやすくなります。改善策や対策をとらないと、従業員がうつ病にかかる恐れがあります。職場環境の改善により従業員の心身のストレスを減らすことは、従業員の健康維持に役立ちます。

現状の職場環境の確認は、ストレスチェック従業員アンケ―トから行います。
ストレスチェックの集団分析を職場、各部署などの単位で行うことで、職場環境が整っておらず、高ストレスの従業員が多い職場を特定できます。
働きやすい職場環境は以下の3つの要素で構成されています。

  • 人間関係:コミュニケーションなど
  • 業務環境:空調照明など~設備レイアウトなど
  • 業務内容:裁量権、負荷の量、労働時間

一つの要素だけを改善するだけでは不十分で、どの要素も疎かにはできません。
人間関係が良好であり、物理的な環境が整っており、作業時間を減らすために業務の分担をするなど配慮された職場では、働く人が自己充足感や達成感が得られます。

それだけではなく、企業から見れば企業の人的資本が効率的に活用されている状態とも言え、生産性やパフォーマンスにもポジティブな影響がでることが想定されます。

関連記事:職場環境の改善アイデア|組織向上への取り組みと成功事例

取り組み7: 運動習慣の啓発

運動にはさまざまな良い効果があり、メンタルヘルス対策にも効果的です。

  • セロトニン分泌が促進され、睡眠の質が上がる
  • エンドルフィンによるストレス解消効果
  • ドーパミンの分泌によりポジティブになる など

少し古いデータになりますが、運動がうつ病に与える影響について、1999年 アメリカのデューク大学医学部のブルメンタール教授らの研究が有名です。

うつ病患者156人を、薬(抗うつ剤)と運動、運動のみ、薬のみの3グループに分けて、4か月後と10か月後の経過を見るという研究がありました。

4か月後には、薬のみのグループは改善率68.8%で最も改善が見られましたが、10か月後は38.0%が再発しています。

一方、運動のみを見ると、4か月後は改善率60.4%であり、有意な改善が得られましたが、10か月後の再発率はさらに顕著であり、わずか8%の再発率だったという結果が得られています。

メンタルヘルスと運動の関係性

こうした研究からもわかるように、運動はメンタルに良い効果をもたらし、運動を継続することは、さらに効果的です。

したがって、座学中心のものと思われがちなメンタルヘルスセミナーですが、RIZAPでは運動を取り入れることが効果的と考えて、運動実践も取り入れています。

RIZAPのトレーナーが正しいフォームをお見せしながら、注意点などもしっかりお伝えしていきますので、運動が苦手な方でも安心して取り組むことができます。

ご興味をお持ちいただけましたら是非お気軽にお問合せください。

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「健康経営」で効果的にメンタルヘルス対策を実施しよう

ここまで見てきたようなメンタルヘルス対策に加え、より効果的に対策を実施するために、近年重視されている「健康経営」の視点を取り入れることも大いに役立ちます。

健康経営とは、『従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する経営手法』です。

あくまで企業が用いる経営手法ですので、従業員の健康を促進することは手段であり、目的は組織の活性化・生産性の向上であり、最終的には業績向上、企業価値の向上を目指します。

職場で健康プログラムを実施することで従業員の行動変容をもたらします。最も効果を発揮するのは各施策の単発での実施ではなくに提供されるのではなく、組織の戦略の中心に位置づけられ継続的に実施されているときです。

健康経営として健康プログラムの推進やメンタルヘルス対策を練ることで、事故や傷病予防だけでなく、ストレスの要因への対処や適切なワークライフバランスの達成が可能になります。

健康経営の取組みとして、「メンタルヘルス不調者への対応」や「特定保健指導の推進」など従業員の健康増進につながる項目が含まれています。そのため、健康経営と併せてメンタルヘルス対策を推進することで、より効率的に従業員の健康を保持・増進ができ、生産性の向上へ取り組み効果を最大化することができます。

関連記事:【徹底解説】健康経営とは?

健康増進が企業の経営にも大きな成果をもたらす

メンタルヘルス対策を含めた従業員の健康増進を行うことは企業の経営にも影響をもたらします。

健康経営では、以下のような取り組みを通して従業員の健康増進を図ります。

【健康課題の把握と必要な対策の検討】

  • 定期健康診断受診率100%を目指す
  • ストレスチェックの実施

【実践に向けた土台作りとワークエンゲージメント】

  • ヘルスリテラシー向上のための教育機会の設定
  • 職場の活性化
  • 保健指導・特定健診・特定保健指導

【従業員の心と身体の健康づくりに向けた具体的対策】

  • 食生活の改善
  • 運動機会の増進
  • 女性の健康保持・増進
  • 感染症予防対策
  • 長時間労働者への対応
  • メンタルヘルス不調者への対応
  • 喫煙対策

こうした活動を行うことで、従業員の健康増進による労働生産性の向上だけでなく、企業イメージの向上や金利優遇といった様々なメリットを享受できます。

初めての方に「RIZAP健康経営スタートガイド」

本書はこれから健康経営に取り組もうとしている企業のご担当者へ向けた健康経営のためのスタートガイドです。健康経営に取り組むメリットなどを記載した全30ページの保存版です。

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