従業員満足度(ES)とは?向上のための取り組み、調査方法

近年、離職率の低下・生産性の向上などを実現するために、従業員満足度を高めようとする企業が増えています。

自社の目的や課題に合わせた従業員満足度向上につながる施策の導入を検討するには、従業員満足度についての理解を深め、メリットやどのような施策があるのかを理解する必要があります。本記事では、自社の目的や課題に合わせた従業員満足度の高め方について定義の理解から調査の必要性、調査方法までわかりやすく解説していきます。

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目次

従業員満足度を構成する要素

従業員満足度とは、福利厚生や職場環境、人間関係、仕事へのやりがいなどで計測される、従業員の企業に対する満足度を表す指標のことです。英語では「Employee Satisfaction」と呼ばれることから、頭文字を取って「ES」と表すこともあります。

満足度に関わる理論としてはハーズバーグの二要因理論が用いられます。人の仕事における満足度は「満足」に関わる要因(動機付け要因)と「不満足」に関わる要因(衛星要因)によって構成されているという考え方です。

従業員満足度を高めるためには、動機付け要因と衛生要因の片方を満たせば良いというわけではありません。従業員満足度を高めるためには、まずは不満足に関わる要因を解消し、満足度を高める動機付け要因を満たすことが企業には求められます。衛生要因は健全に働くための土台となります。衛生要因に関する問題を解消したうえで、満足度をさらに高める動機付け要因を満たすことが必要です。

ここからは、従業員満足度を構成する要素となる二要因理論における動機付け要因・衛生要因とはどのようなものなのかそれぞれについてご説明します。

衛生要因(不満足要因)

不満足に関わる要因の例として「労働条件・労働時間」「給与」「人間関係」「健康状態」「企業の方針」などが考えられます。

衛生要因とは仕事における不満に関する要素を指し、不満足要因と呼ばれることもあります。「労働条件」「給与」「オフィス・作業場環境」「チームワーク」「健康状態」「企業の方針」などが衛生要因に含まれます。それ以外にも、「安全」「上司との関係」などが該当します。

厚生労働省による令和2年雇用動向調査結果によると、自主退職理由(会社都合ではない)の78%は「人間関係」「給与」などの衛生要因が占めています。つまり、離職には衛生要因が大きく影響していることがわかります。

参照:厚生労働省「令和2年雇用動向調査結果の概要 転職入植者が前職をやめた理由」

衛生要因を満たしたとしても、仕事に対する満足度が上がるわけではありません。あくまで不満が解消されるだけであるという点に注意が必要です。衛生要因は整備されているからといって満足につながるわけではないものの、整備されていないと不満を感じてしまうという特徴があります。

従業員が働くための土台が整っていない状態で成果を望むような要望をしても、労働者のモチベーションや生産性の低下につながってしまうのです。逆に、衛生要因を満たすことができれば、従業員の不満を予防することができます。

動機づけ要因(満足要因)

従業員の満足度にかかわる要因として、「達成感」「仕事内容」「責任と権限」「成長実感」「昇進」などが考えられます。

動機付け要因とは、仕事における満足に関わる要因のことで、満足要因とも呼ばれます。動機付け要因の要素としては、仕事そのものだけではなく「達成すること」「成果をあげること」「評価されること」などが含まれます。それ以外にも、「責任」「昇進」「成長の機会」なども該当します。

動機付け要因はなくてもただちに不満は出ないものの、あればあるだけ仕事に対して前向きになれることが特徴です。基本的には精神的な成長、外部から認められたいという欲に基づいたものだとされています。

職務に対しての満足感を得るためには、動機付け要因を満たすことが重要です。ただし、「動機づけ要因」は、多ければ多いほど満足度は上がりますが、不足していたとしても職場に対して不満足にはつながらないという点が、二要因理論のポイントになります。

従業員満足度を高めるメリット

従業員満足度は、企業の生産性や人材確保、顧客満足度などを左右する重要なポイントです。ここでは、従業員満足度が高い場合と低い場合を比較しながら、企業に与える影響をまとめました。

生産性向上

厚生労働省の調査によると、「従業員と顧客満足度の両方を重視する」企業のほうが、 「顧客満足度のみを重視する」企業よりも、売上高営業利益率と売上高が増加傾向にある割合が高い、という結果が見られました。

従業員満足度と業績の関係

参照元:厚生労働省 取り組みませんか?「魅力ある職場づくり」で生産性向上と人材確保 2ページ

顧客満足度だけでなく従業員の満足度も重視することが、生産性及び企業の成長にもつながっているのです。

従業員満足度が高い場合、従業員は企業のビジョンを深く共感・理解した上で、主体的に業務に取り組みます。

メンバー間のコミュニケーションも活発なため、部署を超えたコラボレーションや新しいアイデアなども生まれやすいでしょう。

万が一、無駄な業務が発生しても自ら改善策を提案したり、業務効率をアップするツールを導入したりと、よりよい働き方を実現するために尽力します。

一方、従業員満足度が低い場合、従業員は必要最低限の業務をこなすだけになります。

「もっと成績を上げて会社に貢献したい」という気持ちが生まれづらいため、頼まれたことしか行わなかったり、新しい意見や方法を取り入れなかったりと、従業員の成長意欲も希薄になりがちです。

ネガティブな感情で働いていると従業員間のコミュニケーションも生まれづらく、活気のない職場になってしまいます。

従業員満足度の高い企業と低い企業とでは、環境や従業員の意識に差が生まれ、それらが企業の生産性や成長の差も生じさせていると考えることができます。

人材の定着率向上

従業員満足度が高い場合、人材の定着率が高く、優秀な人材が流出してしまうリスクを軽減できます。

従業員が「ここで長く働きたい」と感じる職場環境であれば、企業へのロイヤルティが向上し、優秀な人材が長期間にわたって活躍できる企業になるでしょう。

また、採用や育成にかかるコストを抑えられるため、今いる従業員にさらに投資できるメリットもあります。

従業員満足度が低いと離職率が上がり、求人や新人教育に時間やコストを割かなければなりません。社内で優秀な人材が育ちづらいため、なかなか業務内容が改善されなかったり、成績がふるわなかったりと、悪循環になりかねません。

前述の厚生労働省の調査で、過去5年間の正社員の人材確保についても尋ねたところ、「従業員と顧客満足度の両方を重視する」企業のほうが「量(人数)・質ともに確保できている」割合が高いとの結果になりました。

従業員満足度と人材確保の状況

参照元:厚生労働省 取り組みませんか?「魅力ある職場づくり」で生産性向上と人材確保 2ページ

顧客満足度向上

従業員満足度が高い場合、従業員は自社の商品・サービスの魅力を深く理解しようと努めます。自社製品に対して愛情を持って業務を行うことで、商品開発や顧客対応、営業などさまざまな分野でクオリティの向上が期待できるでしょう。

従業員それぞれが商品・サービスの質を高めようと主体的に行動することで、顧客にもそのよさが伝わりやすくなります。

従業員満足度が低い場合、顧客対応の質が低下しやすく、イレギュラーの対応や顧客に合った商品の提案などが不十分になりがちです。

「どのようにしたら魅力をもっと伝えられるのか」などを試行錯誤する雰囲気が生まれづらく、マニュアル通りの対応を淡々と行う人が多くなるでしょう。顧客のなかにはそのような対応にがっかりして、もう利用したくないとさえ思う人もいるかもしれません。

従業員の満足度を調べる必要性

従業員満足度を向上させるには、現在の従業員の状態を正しく理解することが大切です。そのためには、従業員満足度を調査する必要があります。

従業員満足度調査の目的は、社員の自社に対する満足度を把握するだけでなく、社員が会社に対して意見ができる機会を提供していることも含まれます。その結果、組織の課題や問題点に気づくことができ、正しい施策の実施・効果検証が可能になります。

従業員満足度調査をすることで、従業員満足度が低い会社ではどういう理由で満足度が低いのかを調査し改善のための対策を実施することにつながり、従業員満足度が一定以上に保たれている会社ではより従業員エンゲージメントの向上や生産性向上、定着率アップなどの効果を高めやすくなります。

従業員満足度調査の流れ

従業員満足度調査では単に現在の満足度を把握するだけでなく、「従業員がどのような項目を重要視しているのか」といった価値観まで探るようにすると、具体的な対策方法を検討しやすくなります。

調査する時は、以下の項目に注意するとよいでしょう。

  • 調査目的を明確にする
  • 定期的に同じ調査方法で実施する

目的の明確化

調査する際には調査目的を明確にし、回答させる内容を複雑にし過ぎないことが大切です。また明確にした目的を、社内に周知するようにしましょう。従業員の貴重な時間を割いて行う調査のため、従業員の回答率を上げるためにも何のために協力してもらうのか調査の目的をしっかり決める必要があります。

調査方法の決定

目的を達成するための質問項目、回答手段(紙のアンケート用紙か、Webツールを利用するかなど)、集計・分析方法などについて決めていきます。

従業員満足度を調査するには、アンケートを実施するのが一般的です。アンケートは自社で作成することも、外部機関にに委託して設計することもできます。外部機関に委託すれば専門的な視点から調査が行えますが、自社で行えばコストを最小限におさえられます。

紙での調査を実施する場合もありますが、集計に手間がかかることが多いためオンラインで回答を集められるシステムを導入している企業も多くあります。匿名性を保つことが出来るので、本音を集めやすいというメリットもあります。

設問設定

調査目的によって調査項目は様々ですが、基本的には以下の項目をベースとします。

  • 業務内容に関する項目(業務の難易度、裁量権等が実力に適切か等)
  • 業務負荷に関する項目(業務量や勤務時間、ストレス等)
  • 人事評価制度に関する項目
  • 職場環境に関する項目
  • 上司に関する項目
  • 会社に関する項目(経営理念や情報共有、将来性等)
  • 総合的な項目

これらの項目をベースとして、調査目的に応じて比重を変えたり、新たな項目を増やしたりして調査目的を達成する設問設計に仕上げていきます。

集計・分析

調査結果を集計したら分析を行い、改善策を打ち出して実行していく準備をします。

例えば人事評価制度に不満が多い結果が出た場合、不満の原因が管理職のマネジメントにあるのか、人事評価制度そのものに起因するのかをしっかりと見極る必要があります。

設問設計でより調査目的を達成していくために定性調査と定量調査を組み合わせた場合、、集計と分析にも知識とスキルを要します。調査結果を有効活用していくためにも専門知識に長けた調査会社に依頼することも検討するとよいでしょう。

課題解決の施策検討

調査結果を受けた課題解決のための施策検討は、調査を実施する人事・労務担当者のみでは行えません。会社全体を巻き込んだ取り組み、かつ、効果的なものとするためには、社長など経営層に問題認識を持たせた上で解決のための施策を検討できるとよいでしょう。

課題によって打つべき対策や施策は異なりますが、一般的なものとしては「研修・セミナーの実施」「人事評価制度と運用方法の見直し」「プロジェクトチームの発足」などが考えられます。

フィードバック

調査結果の対策まで検討したら、経営層と従業員にフィードバックを行います。

一般的には、経営層へのフィードバックは先に、従業員へのフィードバックは後に行われます。フィードバックまでの時間が空けば空くほど、施策の実効性と効果性が下がることも考えられるため、可能な限りスピーディーにフィードバックを行うことが重要です。

経営層や上層部へのフィードバックでは、ES調査を行った結果見えてきた組織の長所や課題の報告と、課題に対する施策の提案を行います。

従業員へのフィードバックでは、ES調査を行って見えてきた組織の長所や課題の報告と施策を進めていくために、従業員にどんな協力をしてほしいのかを伝え、組織全体を巻き込んでいく機会としてフィードバックを行います。

満足度調査を依頼できる企業一覧

従業員満足度が依頼できる企業には以下のような企業があります。

ラフールサーベイ:株式会社ラフール

引用元:ラフールサーベイ

ラフールサーベイは株式会社ラフールが運営するサービスで、組織と働く個人の可視化と行動変容を促し、ウェルビーイング経営を実現する組織改善サーベイです。

課題とその要因からは組織のあらゆるリスクから会社を守るための情報はもちろん、組織のパフォーマンスを上げるための要素を正確に知ることができます。

  • リリースから4年で導入社数1,550社超(2023年3月時点、OEMサービスを含む)
  • 9000万の蓄積されたデータから組織の強みと課題が必ず見つかる
  • サーベイ運用のプロフェッショナルが徹底支援
  • 従業員のセルフマネジメントを促進する充実の機能
  • 月額16,000円(税抜)~

参照元:ラフールサーベイ

リアルワン従業員満足度調査:リアルワン株式会社

引用元:リアルワン

リアルワンはリアルワン株式会社が運営するサービスで、目的別で3つの分析方法が用意されています(従業員満足度調査・エンゲージメント調査・360度評価)。科学的な背景に基づいた調査や評価の提供を行っており、経営学・組織行動学・心理学・統計学などを基に、調査項目の開発や、結果の分析、レポートの作成を行っています。また、大規模な全国調査を定期的に実施し、全国基準値への活用やサービス内容の改善を行っています。

  • 質の高い調査・評価の提供
  • 柔軟な対応でご要望を実現
  • 豊富な実績とノウハウによる安心感
  • インターネット回答はPC、スマートフォン、タブレットに対応
  • 100万人超に利用されている調査・評価専門会社

参照元:リアルワン

ES-Quick:NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社

引用元:ES-Quick

ES-QuickはNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社が運営するサービスで、従業員満足度調査(ES調査)を簡単・手軽に、わかりやすく実施することができ、「調査設計」「アンケート運用支援」「分析・レポート」を、 パッケージ化してワンストップで提供しています。

  • 選択式で簡単Webアンケート
  • グラフ化されたアウトプット
  • 最短4営業日でスピーディーにアンケートを開始
  • 従業員数に応じた価格設定で、20万円から実施可能
  • フレキシブルなアンケート機能

参照元:ES-Quick

Geppo(ゲッポウ):株式会社リクルート

引用元:Geppo

Geppo(ゲッポウ)は株式会社リクルートが運営するサービスで、エンゲージメントサーベイ・パルスサーベイによって、離職率の改善やオンボーディングを支援するツールです。個人のパルスサーベイと組織診断を低コストで行うことができ、従業員のコンディション把握やエンゲージメントサーベイを効果的に実施できます。

  • 継続率98%
  • 個人サーベイと組織サーベイを組み合わせて個人・組織両方の課題を見える化
  • テレワークにおける従業員のストレスマネジメントにも最適
  • 25人〜数万名規模の企業まで業界業種問わず幅広く導入・活用
  • 従業員のコンディション変化発見ツール(満足度・人間関係・健康)

参照元Geppo

従業員満足度を高める具体策

従業員満足度を高めるためにはどのような対策が必要でしょうか。ここでは、従業員満足度を向上させるための具体策と注意すべきポイントをご紹介します。

報酬・処遇・福利厚生を見直す

報酬や処遇、福利厚生を見直す上で重要なのは、「従業員にとって、目に見える利益を納得できるレベルで享受できているか」ということです。特に、評価の仕方が不公平だ、成果を出しても報酬や評価につながらない、と感じたりすると、業務へのモチベーションが下がってしまいます。

報酬や処遇を決める時は、以下の2つのポイントに注意するとよいでしょう。

  • 評価に不公平感や不透明性がないか
  • 成果を出した分が適切に評価に反映される制度になっているか

また、福利厚生は、「働きやすさに加えて、生活しやすさを会社がサポートできているか」も重要です。各種手当や特別休暇制度など、福利厚生が充実している企業は従業員の定着率も高いといわれています。

報酬や福利厚生の面で従業員満足度を向上させる取り組み例として、以下のものが挙げられます。

  • 成果に合わせたインセンティブの支給
  • 住宅・家賃補助
  • 食堂・昼食補助

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業務内容を見直す

業務内容は、「従業員が社会への貢献や影響度・業務のやりがいを感じているか」が大切なポイントです。

現在行っている業務が企業全体や社会の中でどのような役割を果たしているのかがわかると、目的意識をもって仕事に取り組めるようになります。その点を経営層が従業員全体に積極的に伝えることが必要でしょう。

自社で必要とされるスキルを身に付けるよう、従業員を促すことも必要です。企業にとってもより多くの仕事を任せられるようになりますし、当人も仕事にやりがいを感じやすくなるでしょう。

以下の項目に着目するとよいでしょう。

  • 経営層からビジョンが定期的に共有されているか
  • 効率化できる業務はないか
  • スキルアップのためのサポートがあるか

また、業務の進め方や手続きに無駄が多いと、従業員のやる気を削ぐことになりかねません。仕事がしやすいように業務フローを見直すことも検討できます。

業務内容に関して従業員満足度向上をするために以下のような取り組みを行えます。

  • 業務効率化に役立つシステムの導入
  • 研修実施や、セミナーなどの学習費用補助

コミュニケーションを活性化する

人間関係は、従業員満足度に影響を与えやすい重要な項目です。「同僚や上司・部下との関係性はどうか」「マネジメントへの納得度はどうか」などに注目し、以下の内容を確認するとよいでしょう。

  • 上司のマネジメントスキルは十分か
  • 上司の従業員満足度が低くなっていないか
  • 上司が部下に権限委譲できているか、果たしてほしい役割を伝えているか
  • 社員が柔軟かつ頻繫にコミュニケーションをとれる場があるかか
  • 上司・部下の間、またメンバー間で関心を持ち合い、助け合う風土があるか
  • ハラスメントがないか

人間関係を向上させる取り組みの例は、以下のものが挙げられます。

  • マネジメント層への研修・教育
  • 朝礼や終礼の実施
  • 社内サークルや部活
  • 社員研修やワークショップの実施

会社のビジョンや経営方針を共有する

ビジョンに共感を抱いている従業員は、企業の一員であることに誇りを持って業務を遂行します。

「職場の雰囲気に一体感を感じられない」「企業に期待感を抱いている従業員が少ない」などと感じるのであれば、自社のビジョンやゴールを改めて従業員に共有しましょう。

ただし、無理に共感させたり、ただのスローガンで終わらせたりしないようにします。ビジョンを達成することはなぜ大切なのか、そのためには日頃の業務で何を行い考えるべきなのか、具体的に説明して納得させることが大切です。

また、ビジョンへの共感を促すには、チーム内での目標やそれぞれの果たすべき役割などを、上司が部下にきちんと共有しなければなりません。

「こまめにコミュニケーションを取り進捗や状態を把握する」「具体的で実践しやすい目標を立て、一定の期間ごとに見直しを行う」など、チームの目線合わせを行う環境・ルールを整えましょう。

職場環境を整える

職場環境を考える上で大切なのは、ワークライフバランスの充実度です。業務を行いやすい環境のほか、居心地のよいリフレッシュスペースや取得しやすい休暇制度、状況に合わせて働き方を選べる仕組みを取り入れましょう。

  • 従業員の健康増進をサポートする制度があるか
  • 有給休暇やその他法定休暇が取得しやすい環境が整っているか
  • 長時間労働を抑制する仕組みや働きかけがあるか
  • 柔軟な働き方(時間・場所)を選択できる制度が整っているか

フレックスタイム制やテレワークといったワークスタイルを確立できれば、育児や介護といった事情を抱える従業員の雇用継続につながります。離職率を下げることで、人材育成にかかるコストも軽減でき、かつ育てた人材を失わずに済みます。柔軟な働き方を実現する取り組みの例として、以下のものが挙げられます。 

  • フレックスタイム制やテレワークの導入
  • 特別休暇制度の導入
  • 健康経営オフィスの導入
  • 従業員の健康増進

従業員満足度を高める健康経営

従業員の満足度を構成する5つの要素と相性がよく、施策を検討する上で役立つのが「健康経営」という考え方です。

健康経営とは、従業員の健康管理を経営的な視点で行い、企業の業績アップを目指すものです。健康経営は、アメリカで生まれた「ヘルシーカンパニー」という考えがもとになっています。

健康経営による従業員への影響

企業が従業員の健康に気遣った取り組みを行うことで、生活習慣の改善や業務のメリハリ、企業への信頼などが生まれ、結果として業務成績の向上が期待できます。

健康経営を行うことで従業員が得られるメリットとして、以下のものが挙げられます。

  • 活力向上(ワークエンゲージメント)
  • 健康になれる
  • ロイヤルティの向上
  • ワークライフバランスの充実

健康経営に取り組む4ステップ

健康経営と聞くと、取り組みが難しいのでは?と思う方もいるかもしれません。ここでは、4つのステップに分け、健康経営の取り組み方を解説していきます。

【ステップ1. 準備】

健康経営に取り組むために、まずは自社の「健康課題」の把握をする必要があります。また、課題を解決することで、会社・従業員がどのような姿になることがゴールなのか「目標設定」。本格的に健康経営を行うことを告知するための「健康宣言」。実際に実行するための「社内体制の構築」が準備として必要となります。

【ステップ2. 実行】

ステップ1. で抽出した健康課題や、健康経営の認定要件から、取り組む項目を選定していきます。

  • 健康課題の把握と必要な対策の検討:例)定期健康診断受診率100%を目指す
  • 実践に向けた土台作りとワークエンゲージメント:例)職場の活性化
  • 従業員の心と身体の健康づくりに向けた具体的対策:例)メンタルヘルス不調者への対応
【ステップ3. 振り返り評価】

開始時に定めた目標に対して、現状を評価し、次の施策に向けて改善を継続的に実施していく事が重要になります。
健康経営の最終的な目的である企業業績アップにどうつなげられるのか、健康投資の見える化を進めるため、2021年3月、経産省により「健康経営管理会計ガイドライン」が作成されました。PDCAサイクルを確立させるためにも、参考になるガイドラインとなります。

【ステップ4. 改善】

振り返り評価のあとは改善のステップになります。健康施策の単純な結果だけを見るのではなく、従業員がどのような反応を示しているのか考察し、短期的・長期的な改善施策を練りましょう。

関連記事:【徹底解説】健康経営
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従業員満足度を高める健康セミナー

健康セミナー

健康経営の一環として、従業員に健康セミナーの受講を勧める方法もあります。

健康セミナーには従業員の健康増進だけでなく、さまざまなメリットがあります。

人間関係を良好にさせる

健康増進を目的とした健康セミナーには、従業員のメンタルヘルスを良好にし、人間関係をスムーズにするメリットがあります。

健康増進は共通性のあるテーマなので、年齢や業種、役職などの垣根を超えた会話を楽しめるでしょう。

また、チームで取り組み、⽬標に向かって⾼め合ううちに、互いの関係性を深めていけるメリットもあります。

職場環境を改善させる

健康セミナーで健康の重要性を学ぶことで、生活習慣の改善が期待できます。生活リズムを気にするようになると、自然と働く時間を調整し、無理な長時間労働などを減らすようになります。

そのために、個人でも業務効率化を図って生産性の高い働き方ができるようになるでしょう。

また、健康セミナーの実施により、健康的な生活スタイルを経営陣が推奨している姿勢を明確に打ち出せます。従業員としても、ワークライフバランスを重視した生活スタイルを一層取り入れやすくなり、職場環境が改善されるでしょう。

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まとめ

従業員満足度を向上させるには、企業のビジョンへの共感や福利厚生の充実など5つの要素を満たす必要があります。これらの要素を満たすのに効果的な方法が、「健康経営」という考え方です。まずは、健康情報の定期的な発信や、健康セミナーを実施し、従業員の生活習慣改善を目指してみてはいかがでしょうか。
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