人手不足の原因とは?解決に向けた取り組みステップを紹介

現在、少子高齢化による労働人口の減少や働き手の価値観の変容もあり、人材確保が難しい企業が増えています。人手不足の解消に向けて、何を実行すればよいのかと悩む企業担当者も少なくないでしょう。

人手不足を引き起こしている原因をよく理解して適切に対処すれば、定着率の向上と採用力のアップに結びつきます。

この記事では、自社の現状を把握する方法、人手不足が引き起こす問題と効果的な対策法について詳しく解説します。

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目次

人手不足の原因や背景

団塊世代が75歳以上の後期高齢者になることで日本社会が超高齢化に突入し、雇用や医療などさまざまな分野で問題が生じることが懸念される「2025年問題」が迫っています。

それにより人手不足の解消に向けた取り組みは今後ますます幅広い分野において深刻化するでしょう。企業にとって、労働力が不足すれば事業の継続が困難になる可能性もあります。

社会的な背景

人手不足の原因として指摘されるもののひとつに、社会全体の問題が挙げられます。

少子高齢化による労働人口の減少

日本の人手不足は、年々その深刻さを増しているようです。総務省のデータから、15歳以上65歳未満の生産年齢人口は、1995年をピークに年々減少を続けていることが分かっています。また、総人口も2008年のピーク以降は減少に転じており、2018年には65歳以上人口の割合が28.1%と過去最高の割合を占める結果となりました。

引用:総務省 平成29年度版情報通信白書

出生数の減少も加速傾向にあり、15歳未満の人口割合は12.2%、高齢者人口の割合は今後も上昇が続くと推定され、2040年には35.3%になるといわれています。

このような少子高齢化が進む中で、停滞する経済をどう引き上げていくかが社会全体の課題となっています。

働き手の価値観の変容

働き手の価値観も時代とともに変わり、一社に長く勤めるよりも、より働きやすい環境を求めて転職するケースも増えました。

今後は売り手市場となるため、金銭的な条件よりも、休日出勤や残業が少ないことに加え、社内の雰囲気のよさなども踏まえて企業が選ばれる時代になってくるでしょう。

また、年功序列という概念も実態にそぐわなくなってきたため、これまでの評価制度を見直す必要も出てきそうです。

企業の原因

深刻な人手不足の中、従業員がなかなか定着せずに人材が流出してしまえば、企業は大きな痛手を受けます。企業が原因で人手不足を引き起こしているケースもあります。

離職率の高い職場環境になっている

離職者が増えれば、残された社員に大きな負荷がかかります。労働時間の長さが理由で不満が蓄積すれば退職者はさらに増え、負のスパイラルに陥るでしょう。

その他にも、コミュニケーションを取る相手が上司だけになってしまうと、抱える悩みや不安を伝えづらく、離職につながりやすくなります。社内全体で活用できるSNSを取り入れるなど、スムーズに意見交換できる場を整えておくのが理想的です。

採用力が低い

少子高齢化という厳しい状況の中で労働力を確保していくために、企業は採用力を高めていく必要があります。ですが、積極的に採用活動を行っても、自社のブランドイメージに問題があっては、求める人材は集まりません。

魅力的な職場であれば、社員に人材を紹介してもらう「リファラル採用」の活発化が望めます。

従業員の生産性が低い

生産性の低さが人手不足を招くという声もあります。実際に従業員は確保できているものの、一人ひとりの生産性が低いため、人手不足のように見えている状態です。

生産性の向上は、業務フローの効率化だけでは実現しません。従業員が前向きに業務に取り組める環境を整えれば、モチベーションのアップによる生産性の向上が期待できます。

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人手不足の現状

人手不足の現状は、業界・業種によってさまざまです。労働力を確保できなくなってしまうと、需要に対して十分な供給ができなくなるなどの重大なリスクが生じます。

業界別での違い

人手不足がすでに深刻化している業界は、建設・建築・土木業界、運送・流通業界、医療・介護福祉業界、飲食・サービス業界、IT業界です。いずれの業界も、長時間労働や休日の取りづらさなど、労働環境のイメージが影響して若年層の採用が難しくなっています。

備考:従業員数過不足 DI は、今期の従業員数が「過剰」と答えた企業の割合(%)から、「不足」と答えた企業の割合(%)を引いたもの。

引用:経済産業省 2020年版ものづくり白書  産業別従業員数過不足 DI(今期の水準)の推移

帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査」によると、建設業界では人手が「不足している」と回答した企業が57.5%に及びます。

一方、地方公務員や国家公務員などの公的機関や大手IT企業は「安定しているから」「知名度が高い」「社風が自由である」ということを理由に人気を集めています。

この先の高齢化により、大量の定年退職者が出れば、さらなる人手不足につながると危惧されています。このような状況を改善するために、業界の魅力を積極的にアピールしたり、業務の効率化・自動化を推進したりする企業も少なくないようです。

企業規模での違い

就職活動において安定が重視される現代では、大企業は人材獲得競争に優位性がある一方で、中小企業は大きな影響を受けており、規模が小さい企業ほど求人に対する就職希望者の数が大きく下回るといったデータもあります。

従業員が「過剰」と答えた企業の割合から「不足」と答えた企業の割合を引いた値により表される「従業員数過不足DI」が中小企業において2010年以降2018年まで下降が続いていることからも、中小企業で人手不足が続いていることが分かります。

引用:中小企業庁 2018年版「小規模企業白書」

人材を確保するために、労働条件を見直して採用の成功を目指す企業も増えています。

都市部と地方の違い

人手不足における地域的格差も問題となっているようです。労働人口は、東京・大阪・名古屋といった都市部に集中する傾向があります。

2017年に総務省が行った「地域における ICT 利活用の現状に関する調査研究」では人口流出を問題視する自治体に対し考えられる要因について調査した結果、86.3%が「良質な雇用機会の不足」と回答しています。

引用:総務省「地域における ICT 利活用の現状に関する調査研究」

有効求人倍率自体は改善されてはいるものの、求職者と求人内容のミスマッチにより、雇用に結びつかないことも問題視されています。そのため、地方では過疎化が進み、人材の獲得が困難になってきているのです。

また地方では、マネジメント層が優位な雇用モデルがいまだに多く残っており、若年層に選ばれない職場であることも人手不足が深刻化する原因のひとつと見られています。

他にも、専門的・技術的職業従事者のミスマッチは地方で起きており、近年進み始めている情報通信産業の集積等に、適切なスキルを持った求職者の増加が追い付いていない可能性が考えられます。

参考:内閣府「 地域の経済2018」

人手不足が引き起こす問題

実際に企業が人手不足に陥ると、どのような問題が生じるのでしょうか。従業員が不足すれば、企業はさまざまなリスクを抱えることになります。

労働環境の悪化が進む

従業員にとって、休日の取りづらさや毎日の残業は体力面・精神面で大きな負担となります。

一人ひとりの働く時間が増えたり、有休を取りたくても取れない雰囲気を醸成してしまうと、従業員にとっては働きやすい環境とは言えません。

劣悪な労働環境を改善しないままでは、病気や怪我による休職者が増える事態も引き起こしかねません。企業が労災認定された場合、従業員から損害賠償の請求を受ける可能性もあり、裁判所から賠償を命じられるケースもあるため注意が必要です。

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採用力が低下する

企業のブランドイメージが悪いと、採用難に陥りやすくなります。インターネットの普及により、情報が集まりやすくなった近年では、応募者がエントリーする前に企業のイメージをあらかじめリサーチするケースも珍しくありません。
インターネットを始めとして、ブラック企業という印象が一度ついてしまえば、採用活動をしても応募してもらいにくくなってしまいます。
売り手市場は求める人材を採用しやすい状況でもあるため、イメージの向上を図ることが重要な施策となります。

企業イメージの向上は採用においても重要です。イメージアップに向けてどのような取り組みをすると良いでしょうか?
関連記事:企業イメージを形成する3大要素、魅力向上に向けた3つの取り組みなどをご紹介

組織力の低下

従業員の入れ替わりが激しいと、良好な対人関係を構築するまでに時間がかかってしまい、思うような仕事の円滑化が図れなくなります。

例えばせっかく時間を割いて新人を育てたとしても、その人材がすぐに辞めてしまえばまた再び人材を補充し、教育する必要があります。そのような状態が続けば、生産性向上はおろか、通常業務も危ぶまれます。

このように、業務上の経験で得たナレッジやノウハウを蓄積できず、組織力を低下させてしまう恐れもあるのです。

従業員への投資ができなくなる

不足した人材を補うために採用コストをかけすぎると、既存の従業員に対する研修や教育に手が回りづらくなります。さらに、採用活動を優先させたことにより、福利厚生が悪化してしまえば、従業員のモチベーション低下を引き起こす可能性もあるでしょう。

人手不足解消に向けた4つのステップ

人手不足の解消に向けた取り組みは、現状の把握から始め、以下のステップに沿って進めていきます。

STEP.1 現状の把握

まず、なぜ自社が人手不足になっているのかを分析し、正しく把握しなければなりません。

そのためには「採用力」「定着率」という2つの軸に分けて、それぞれの原因を考えていきます。

たとえば、採用力が低いのであれば、考えられる原因は「企業イメージが良くない」「採用コストをかけられない」といった問題が挙げられるでしょう。

自社の採用力を調査する場合は、以下の調査を継続的に行うのが効果的です。

  • ターゲット調査(求職者への適性検査など)
  • プロセス調査(求職者への満足度調査など)
  • メッセージ調査(採用インタビューなど)

また、定着率が低い場合は「労働時間が長い」「従業員の満足度が低い」「ストレスや負担が大きい」「福利厚生が充実していない」などが考えられます。

従業員に定期的にストレスチェックを行い、従業員のモチベーションの管理を継続的に行ったり、パルスサーベイを実施して職場の問題点の早期発見・解決を図ったりすると効果的です。

これらの要素が経営にどのような影響を与えているのかを考察し、優先順位を付けておきます。より詳細な情報が必要であれば、ストレスチェックや社内アンケートを実施してみるのもよいでしょう。

STEP.2 定着率を向上させる

従業員が次々と離職していく状況で採用を進めても、人材不足は解消されません。穴の開いたバケツに水を注ぐような状況を改善するために、まず行うべきは定着率の向上です。
定着率とは、「入社者が時間経過を経てどれくらい定着しているかを表す指標」のことです。厚生労働省の調査によると、新規学卒就職者の就職後3年以内の定着率は新規高卒就職者63.1%、新規大卒就職者68.8%と集計しており、入社3年目の社員定着率は7割であることが統計としても確認されています。

まず、定着率を高めるために、押さえておきたい考え方として「二要因理論」があります。
二要因理論とは、アメリカのフレデリック・ハーズバーグという臨床心理学者が提唱した、仕事においてどのようなことで満足し、逆にどのようなことで不満足を引き起こすのか、その要因を分析した理論です。「衛生要因」という不満足に関わるものと、「動機付け要因」という満足度に関わるもので構成されていることが特徴です。これらを優先順位をつけてバランスよく取り組んでいくことです。
もし自社の定着率が低いと感じるようであれば、衛生要因と動機付け要因、どちらが満たされていないのかを把握し、改善に取り組みましょう。

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衛生要因(不満足要因)

衛生要因とは仕事における不満に関する要素を指し、不満足要因と呼ばれることもあります。「労働条件」「給与」「オフィス・作業場環境」「チームワーク」「健康状態」「企業の方針」などが衛生要因に含まれます。それ以外にも、「安全」「上司との関係」などが該当します。

●職場環境の改善

有効な取り組みとして挙げられるのが労働環境の改善です。

評価制度など業務に直接関与することはもちろん、福利厚生や働き方の選択肢を提供することで従業員が生活しやすくなるでしょう。そうすれば業務や職場に対するマイナスな気持ちを抱きにくくなり、定着率を向上できます。

人間関係や雇用関係も踏まえながら、より働きやすい環境を構築していきましょう。

●働き方改革を進める

2019年4月に施行された「働き方改革関連法案(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)」により「長時間労働の是正」「多様で柔軟な働き方の実現」「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保」に対する取り組みが義務づけられました。

人手不足の解消に向けたDX推進など、積極的にIT技術を活用して業務効率化を実現させる事例が増えています。

平成30年度に発表された「子供・若者白書」の中で、初職の離職理由に「労働時間、休日、休暇の条件がよくなかったため」という回答割合が23.4%に及び、全体の3位にランクインしています。

参照:内閣府「平成30年版 子供・若者白書(全体版)」

●給与

定着率を高めるためには、給与体系の整備は重要です。賃金水準は、相場や業務負荷なども考慮して、納得できる金額にする必要があります。同規模、同業界なのにもかかわらず、市場とかけ離れた給料体制を設定している場合は、給与の見直しを行いましょう。

●人間関係

人間関係に問題のある職場だと、定着率にも影響を及ぼします。上下関係が厳しい職場や、直接的にも間接的にもコミュニケーションが取りづらくなっている職場では、必然的に不和が生じやすくなり、結果として人材の流出が激しくなってしまいます。
離職理由には職場の人間関係が挙げられやすいことから、多くの企業で対応が必要な可能性があります。日頃から従業員の心理状態を客観的に図ることや、職場での適切なコミュニケーションを心がけましょう。

職場内コミュニケーションの活性化

前述の人間関係にも関連しますが、職場内のコミュニケーションは重要であり、コミュニケーションの活性化に力を入れる企業も少なくありません。従業員間のコミュニケーションが適切に取れているかどうかをヒアリングしながら、問題点が見つかれば改善策を講じます。

ハラスメントを排除するためのコンプライアンス研修も定期的に実施するとよいでしょう。特に女性が職場内コミュニケーションに悩むことが多い傾向があり、厚生労働省が公表している転職入職者が前職を辞めた理由において、「職場の人間関係が好ましくなかった」と答えた女性の割合は13.3%にのぼります。

参照:厚生労働省「-令和2年雇用動向調査結果の概況-」令和3年8月

【社内コミュニケーションを活性化させる4つのポイント】

職場の社内コミュニケーションの活性化度を確認したあとは、現状に合わせて活性化させていく必要があります。活性化させるためのポイントは下記のものがあります。

  • お互いを知る機会をつくる
  • 心理的安全性を確保する
  • 交流を促進する環境を整える
  • 業務に関わらない環境を設ける

社内コミュニケーションに関する詳しい内容はこちら

●フィジカルヘルス・メンタルヘルス

長時間労働や、休日出勤などの身体に負担のかかる労働環境により、社員のメンタルヘルスの悪化や体調不良を引き起こし、従業員が会社に定着せず離職してしまうケースもあります。

マネジメント層への研修・教育

マネジメント層に対する教育も重要視されています。直属の上司が部下の状況をよく理解し、業務に対して適切なアドバイスを行っていけば、会社に対する信頼度が高まります。不安や悩みに早い時点で気づけるようになれば、離職防止につながるはずです。

一度離職を考えた従業員については離職を避けることが難しいため、事前にコミュニケーションをとることが重要になります。

●企業の方針

業績か年々低迷し悪化してしまい回復が見込めない場合や、さらには労働者の給与がカットされる事態に陥ってしまった場合には、会社の将来性が期待できないために定着率が低くなってしまいます。
また会社の将来が見えなければ、自身のキャリアも描きにくく、より広い世界でチャレンジしたいと考える社員は「離職」という選択をするようになるでしょう。

●復職しやすい環境の整備と周知

育成してきた人材に離職ではなく休職の選択肢を準備し、復職してもらいやすい環境を整えることも大切な要素です。
従業員の中には、育児や介護といった家庭の事情で離職せざるを得ない人もいます。
育児休業制度や介護休業制度の整備はもちろんですが、制度の利用促進に向けて制度に関する情報の周知や、職場復帰の支援を行うことが重要になります。
実際に、男性の正社員のうち約7割、女性の正社員のうち約5割が、休業制度や両立支援が会社に整備されていなくても法律上、制度の対象であれば利用できることを知らなかったと回答しています。

参照:厚生労働省委託 三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング「平成 27 年度 仕事と家庭の両立に関する実態把握のための調査」

動機づけ要因(満足要因)

動機付け要因とは、仕事における満足に関わる要因のことで、満足要因とも呼ばれます。動機付け要因の要素としては、仕事そのものだけではなく「達成すること」「成果をあげること」「評価されること」などが含まれます。それ以外にも、「責任」「昇進」「成長の機会」なども該当します。

●仕事における達成感

仕事における達成感を得るためには具体的な数字目標が効果的ですが、簡単すぎる目標では「できて当然」と感じてしまい、厳しすぎる目標では「無理矢理やらされた」と感じてしまうため目標の設定はとても重要です。

●仕事への興味

自身の興味が仕事に結びついていれば、人から強制されることなく業務に前向きに取り組み、自主的に勉強したり日々の業務への満足度が保たれるようになります。

●人事制度・評価制度の見直し

従業員のモチベーションを支える人事制度や評価制度の見直すことで、離職防止の効果が見込めます。スキルアップすれば希望する部署へ異動できるなど、体制の見直しにより従業員の意欲向上を図っていくのも効果的です。

中小企業庁委託「中小企業・小規模事業者の人材確保と育成に関する調査」では、「職場の配置転換」や「社内でのキャリアアッププランの明確化」が約20%の就業者から必要な取り組みとしてあがっています。

参照:中小企業庁委託「中小企業・小規模事業者の人材確保と育成に関する調査」2014年12月

●責任と権限

責任と権限とは、社員が上司から任される仕事の重要度や裁量権の大きさを意味します。仕事の重要度や裁量権の大きさは、個人のスキルや自己肯定感のバランスによってはストレス要因にもなり得ますが、仕事のやりがいを感じる上で重要な要素です。

●成長の実感

仕事を通じた成長の実感は、仕事のやりがいを感じるうえで重要な要素のひとつです。自身のキャリアを考える人材にとって日々の業務が自身の成長につながっている実感は、仕事を続けていく上で何よりのモチベーションになります。

定着率を高めるための課題の確認方法や、効果的な具体例はこちら

STEP.3 労働生産性の向上

従業員1人当たりが生み出す成果を高めていくには、リソースを最適化していかにコア業務に工数を投じていくかが課題となります。

同じ人材リソースでも、従業員一人ひとりの業務量が増えれば、こなせる業務量は増えます。しかし単純に業務時間を増やすのでは、従業員に不満が溜まりかねません。

そこで生産性を向上させることで、人材不足により片付かなかった業務に手を回し人材不足の問題解決を図れます。

業務効率化を進める

労働生産性を意識した取り組みとして、多くの企業がIT技術を活用した業務効率化を進めているようです。複雑な業務の流れをチェックしたうえで、必要に応じてマニュアルを作成したり、不要なフローを排除したりするのを繰り返しながら業務の効率化を図っていきます。

実際に、「技術やノウハウの見える化」を就業者の約6割が求めており、人材定着に関する取り組みとして有効と考えられています。

参照:中小企業庁委託「中小企業・小規模事業者の人材確保と育成に関する調査」2014年12月

エンゲージメントの向上

企業に対して従業員がどれだけ愛着を持っているかも大切なポイントです。

エンゲージメントを向上させる要素は「働きやすさ」「やりがい」「経営理念への共感」の3つです。従業員のパフォーマンスが向上すれば、労働生産性も自然とアップしていきます。

●働きやすい職場づくり

仕事をするうえで、従業員にとって働きやすい環境を整えることは重要です。
例えば、従業員同士の結びつきを強化するためにコミュニケーションを活性化させる施策を実施したり、やりがいを感じてもらえるような評価制度の整備やタレントマネジメントが考えられます。

  • ITツールの導入
  • 人事評価制度を従業員に対し透明化する
  • 従業員の能力を正確に評価し、適材適所の人員配置を行う
●やりがいの創出

やりがいの創出により、従業員はモチベーションを高く保って仕事ができ、エンゲージメント向上につながります。

  • 資格取得の支援やキャリアアップサポート
  • 成果に応じた特別ボーナスを支給する
●経営理念・ビジョンへの共感

経営理念やビジョンを明確にし、従業員と共有することで会社と歩みを同じくしている実感を持つことができ、エンゲージメント向上につながります。トップの考えや組織としての方針、進むべき道が明らかになり、一体感をもって仕事に打ち込めるのです。

  • 定期的な勉強会やセミナーの開催
  • 経営層による積極的な情報発信

関連記事:エンゲージメントとは?定義や組織活性化への取り組みを解説

従業員の健康増進

健康面に対する配慮も忘れてはなりません。働きやすい環境の整備には、従業員の心身の健康を守ることも含まれています。例えば、従業員の高齢化に伴い、筋力低下が労働災害につながり、休職や離職につながることもあります。

また、最近では精神障害による労災支給決定件数が増加しており、メンタルヘルス対策の重要性が増してきています。

従業員が安全で健康に働くことができる職場づくりの土台として、生活習慣の改善など健康増進が重要になってきます。

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実際に健康増進の施策例をテーマごとに解説していきます。

●運動機会の促進

身体活動・運動の促進は生活習慣の改善だけでなく、プレゼンティーイズム※1の改善にもつながります。プレゼンティーイズムによる一人当たりの年間損失額の1位は頸部通・肩こり、3位は腰痛となっています。これらの症状に対して、デスクワーク環境の改善に加えて、定期的な身体活動が役立つと考えられます。
※1 プレゼンティーズム:欠勤には至っていないものの健康問題が理由で生産性が低下している状態

運動機会の促進にあたり、研修会内での運動イベントの実施など単発の施策に加えて、運動習慣の定着に向けた継続的な施策も同時に行うことが重要となります。

  • ウォーキングイベントへの参加
  • 運動会などのスポーツイベントの実施
  • ラジオ体操の実施
  • 運動サークルの運営
  • 徒歩や自転車での通勤環境の整備
  • スポーツクラブへの補助金、福利厚生の整備
●食生活の改善

適切な量とバランスの良い食事は運動習慣と並んで生活習慣病予防の基本となります。職場において、従業員が自ら正しい食事を選べるように、継続的な情報提供や実践活動、サポートが必要になります。

  • 社食などで健康づくり支援メニューを提供
  • 社食等での栄養素・カロリー等の表示
  • 健康に配慮した食事・飲料の提供や補助
  • 外部事業者等の栄養指導・相談窓口の設置
  • 食生活改善アプリ提供等のサポートの実施
●メンタルヘルス不調者への対応

メンタルヘルス不調は脳の機能低下をもたらし、集中力や判断力を鈍らせます。その状況が深刻化すると生産性の低下につながります。そして不調ではない従業員に対しても、不安感をもたらしたり、モチベーション低下を招くことがあります。運動や食事と同様、メンタルヘルスを推進していくことで従業員のパフォーマンスが向上します。

  • ストレス緩和ケアの実施
  • セルフケア研修の実施
  • ラインケアに関する教育・研修の実施
  • 早期発見のための体制整備(相談窓口の設置など)

健康増進に関する詳しい内容はこちら

STEP.4 採用の強化

人材不足の解消を喫緊の課題とする企業にとって、採用活動における新たな取り組みが功を奏す可能性も大いにあるでしょう。

例えば、従来の採用とは違うパイプからも人材を獲得できるようになることで、直接的に人材を補充し、人材不足を解決できます。

幅広い人材採用

近年では、幅広い層の人材を採用して労働力を確保する動きが加速しています。フルタイムで働く正社員だけでなく、パート・アルバイトの雇用形態も含めて、シニア世代や主婦(主夫)、障がい者や外国人留学生など対象を広げてみるとよいでしょう。

実際に、今後の経営においてどのような人材の活用が重要だと考えているかの質問に対して、「女性」(50.0%)が最も高く、ついで「高齢者」(41.3%)、「社外の人材」(29.1%)の順に高くなっています。

参照:経済産業省委託事業 株式会社日本経済新聞社「働き方改革に関する企業の実態調査」平成28年度

リファラル採用の導入

従来とは異なる採用手法も注目を集めています。採用のミスマッチをなくすためには、前述したリファラル採用のほか、転職潜在層へ企業側からアプローチするダイレクトリクルーティングの導入も効果的です。

魅力的な企業イメージの発信

リモートワークやフレックスタイムなど、柔軟な働き方が可能な企業だとうまくアピールできれば、応募者数の増加が期待できます。自社の魅力を積極的に発信していくのも採用の強化につながります。

また、健康経営に取り組んでいるなど、第三者評価につながりやすい環境づくりも大きなアピールポイントとなるはずです。

人手不足を解消に効果的な”健康経営”

新型コロナウイルスの影響により、多くの企業がテレワークを推進するようになりました。これまでの働き方が大きく変化したことで、従業員の労働安全管理や身体的疲労、ストレスの増大などが問題視されています。

従業員の健康管理により一層の配慮が求められる昨今、多くの企業が必要性を感じているのが健康経営です。企業が従業員の健康に配慮し、将来的な利益を上げていくことを目的としたうえで、戦略的に健康管理を実践する手法を「健康経営」と呼びます。

健康経営が企業にもたらすメリットは、採用強化や退職率の低減、職場環境の改善、従業員のエンゲージメント向上による生産性アップ、企業イメージの向上などが挙げられ、人手不足の解消にも大きく寄与するものです。

経済産業省が2020年に公表した「健康経営について」のデータから、健康経営が既存の従業員の定着率を高めるとともに、採用力を上げることが分かっています。健康経営は、時代に即した効果的な経営手法だと評価されています。

健康経営をしている企業では離職率が低い
参照:経済産業省 ヘルスケア産業課「健康経営の推進について」令和2年9月

健康経営に取り組む4ステップ

健康経営と聞くと、取り組みが難しいのでは?と思う方もいるかもしれません。ここでは、4つのステップに分け、健康経営の取り組み方を解説していきます。

【ステップ1. 準備】

健康経営に取り組むために、まずは自社の「健康課題」の把握をする必要があります。また、課題を解決することで、会社・従業員がどのような姿になることがゴールなのか「目標設定」。本格的に健康経営を行うことを告知するための「健康宣言」。実際に実行するための「社内体制の構築」が準備として必要となります。

【ステップ2. 実行】

ステップ1. で抽出した健康課題や、健康経営の認定要件から、取り組む項目を選定していきます。

  • 健康課題の把握と必要な対策の検討:例)定期健康診断受診率100%を目指す
  • 実践に向けた土台作りとワークエンゲージメント:例)職場の活性化
  • 従業員の心と身体の健康づくりに向けた具体的対策:例)メンタルヘルス不調者への対応
【ステップ3. 振り返り評価】

開始時に定めた目標に対して、現状を評価し、次の施策に向けて改善を継続的に実施していく事が重要になります。
健康経営の最終的な目的である企業業績アップにどうつなげられるのか、健康投資の見える化を進めるため、2021年3月、経産省により「健康経営管理会計ガイドライン」が作成されました。PDCAサイクルを確立させるためにも、参考になるガイドラインとなります。

【ステップ4. 改善】

振り返り評価のあとは改善のステップになります。健康施策の単純な結果だけを見るのではなく、従業員がどのような反応を示しているのか考察し、短期的・長期的な改善施策を練りましょう。

関連記事:【徹底解説】健康経営

まとめ

人手不足を解消するには魅力的な職場環境を整え、働く従業員の生産性を上げることが重要になります。

近年推進されている働き方改革はもちろん、健康経営といった効果的な経営戦略を取り入れ、職場環境改善・生産性の向上を進め企業価値を向上させましょう。

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