健康宣言とは?具体例、健康経営を推進する取り組み方

健康宣言とは、組織や企業が従業員の病気予防・健康づくりに取り組むと宣言することであり、健康経営優良法人の認定要件にもなっています。健康経営に着手する企業にとって、健康経営優良法人に認定されることは客観的な評価から自社の取り組みをアピールできることにつながります。

健康宣言は公式サイトやCSR報告書、株主向けの開示資料など自社の媒体に明記して社外への情報公開を行うため、しっかりと取り組み内容を把握しておく必要があります。

この記事では健康宣言の具体例とメリット、取り組み方について解説します。

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目次

健康宣言とは

健康宣言とは、組織や企業が従業員の病気予防・健康づくりに取り組むと宣言することです。

従業員とそのご家族の健康保持増進は安全な労働環境をつくり、従業員のパフォーマンス向上、仕事へのやりがいが向上し、会社の成長へとつながります。企業により表現は異なりますが企業の発展につながっていくといった文章でまとめられています。

この健康宣言を社内外へ発信することは、経済産業省の「健康経営優良法人」に認定されるための必須項目となっています。

健康宣言は健康経営のファーストステップ

まずは自社の健康課題を抽出し、優先順位を決めて、取り組む内容を社内外に宣言することが「健康宣言」です。現段階で、何も健康課題に取り組んでいなくても、宣言する内容について実施していなくても健康宣言後に少しずつ取り組みはじめていくことが健康宣言の目的となります。

宣言を機会に職場の健康づくりに取り組むことにより、従業員の健康増進につながります。

このように健康宣言に取り組むということは「健康経営」に取り組むためのファーストステップとなっており、健康宣言に取り組むことで「健康経営優良法人」の申請・認定にもつながってきます。

健康経営の全体像と取り組み方は以下の記事をご確認ください。
関連記事:【徹底解説】健康経営とは?目的や効果~具体的な取り組み方

また、健康経営の進め方や理解を深めたい場合には健康経営アドバイザーの資格を取得するのも有効です。
関連記事:健康経営アドバイザーとは?取得方法~メリットを解説

健康経営優良法人認定に必要な健康宣言

従業員の健康に配慮した取り組みを積極的に行っている企業を顕彰する制度です。2016年に経済産業省と日本健康会議によって創設された制度で、従業員の心身をサポートできる体制、環境が整っているかについて一定の基準を設け、健康経営に取り組む優良な法人を「見える化」することで、取り組む法人は社会的な評価を受けやすい環境が整備されています。

健康経営優良法人は事業所等の規模(従業員数・資本金等)により、大規模法人部門と中小規模法人部門の 2 つがありますが、どちらの部門でも健康宣言は必須となります。なお、健康経営優良法人の申請日時点で事業所 が健康宣言を実施している(実施見込みは不可)必要があります。

健康経営優良法人の申請を意識した健康宣言の場合、単に「宣言すること」だけでは健康宣言を行ったことにはならず、健康課題の把握・取り組み内容の選定と宣言・宣言した内容の実施・取り組みの振り返り・取り組みの改善というPCDAを回すこと全体を「健康宣言」とさす場合があります。そのため、健康宣言に取り組む際には健康経営優良法人の申請を想定して実施することで、健康経営の歩みを進め健康経営優良法人に認定されることにつながります。

健康経営優良法人の認定を目指す場合、自社がこの大規模法人部門か中小規模法人部門のどちらに属しているかによって健康宣言の取り組み方に違いがでてきます。

自社が大規模法人部門か中小規模法人部門かはこちらの記事から確認することができます。

関連記事:健康経営優良法人とは | 認定までのポイントと取組み事例

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健康宣言の取り組み方

健康宣言を行い実際に健康経営を進めていく方法は、最初に自社の現状をチェックしてから健康宣言の項目に取り組み、取組結果を評価・さらに改善していくといった流れで行われます。

大規模法人部門の場合

健康宣言に取り組む前に、まずは自社の職場の状態をチェックすることが大切です。

健康経営優良法人の認定要件項目や健康経営度調査票をもとに職場の状態をチェックし、各項目の評価点から現状を可視化、可能であれば目標設定まで行い、健康経営の方針を明確にします。

そのほかにも、定期健康診断やストレスチェックの診断結果を、従業員アンケートや勤怠データで原因を探りながら活用していくことで現状をチェックすることもできます。

そうして浮上する健康課題として以下のような例が考えられます。

  • 定期健診受診率が低い
  • 喫煙者が多い
  • 職場に活気がない
  • 従業員の高齢化

課題を把握したあと、改善に向けた具体的な目標を立てることになります。目標作成の際は、以下のポイントを抑えて具体的に作成すると良いでしょう。

  • 定量的な目標(喫煙率10%以下を目指す等)を設定する
  • 期間を定める

大規模法人部門の場合健康経営の推進に関して、社外に公開している内容の項目としては以下があります。

【a. 健康経営の戦略】

  1. 健康経営を通じ、どのような経営課題を解決したいか理念・方針等
  2. 企業従業員の健康課題と経営への影響、取り組み方針
  3. 健康経営全体としてのKPI
  4. KPI設定に至った背景、経営層の関与
  5. その他

【b. 取り組み体系及び具体的な取り組み内容】

  1. 自社の従業員の健康課題
  2. 健康課題改善の具体的な数値目標
  3. 課題を解決するための具体的な取り組みの内容
  4. 施策の実施規模や回数、参加率等定量的なデータ
  5. その他

【c. 健康経営の実施による成果】

  1. 企業の中長期目標等への健康経営の貢献度・影響の分析結果等(経年での医療費適正化・生産性向上等)
  2. 経営方針に基づいた健康経営全体としてのKPIに関する経年での定量的な取り組み成果
  3. 健康経営の個別施策に関する経年での取り組み成果(例:健康状態の改善数値、年間労働時間縮減等)
  4. 定量的でない取り組み成果
  5. 取り組みへの投資額及び投資対効果
  6. その他

社内・社外への宣言公開方法

「健康経営優良法人」の要件を満たすには、健康宣言で「全社方針の明文化」「社外公開」の両方を行わなければなりません。健康経営の全社方針については、社内の誰もが周知できるように経営理念の中で明文化している企業が一般的です。

社外に向けた開示では、公式サイトやCSR報告書、株主向けの開示資料など自社の媒体に明記して社外への情報公開を行います。親会社やグループ会社のホームページ、求人情報サイトなどへの明記では認められないため注意が必要です。

以下のように、社内・社外への宣言公開方法はさまざまあります。

★社内公開の例

  • 企業行動指針・規範・行動憲章
  • 経営計画・経営方針
  • 健康宣言・健康経営宣言

★社外公開の例

  • アニュアルレポート
  • 統合報告書
  • CSR報告書
  • コーポレート・ガバナンス報告書
  • 海外投資家用として多言語対応した各種開示文書
  • 健康経営宣言・健康宣言
  • 有価証券報告書
  • 株主総会資料
  • ディスクロージャー誌
  • その他文書・ホームページなど

中小規模法人部門の場合

中小規模法人部門の会社が健康宣言に初めて取り組む場合は、医療保険者(特に協会けんぽ)と連携して行うと効果的に職場状態を確認できます。健康宣言をサポートしてくれる事業を健康宣言事業といい、中小規模法人が健康宣言を行う場合、原則保険者の健康宣言事業への参加が必要となります。健康宣言事業等を通じて職場の健康状態をチェックすることで、取り組む内容や優先度を決めていくことができます。

そのため、健康経営や従業員の健康づくりに何から取り組んだらよいかわからない場合には、まず健康宣言事業に参加することで社内の健康増進を進めていくことにつながります。

自社の所属している保険者(健康保険事業の運営主体)を確認し、保険者が健康保険組合の場合は、健康保険組合が所属する健保連都道府県連合会にて実施している健康宣言を行っていきましょう。

例えば、協会けんぽ東京支部の健康宣言事業は「健康企業宣言」といいます。その他の道府県でもそれぞれの健康宣言事業の名称がありますので下記をご参照ください。

参照:協会けんぽ 健康宣言

保険者が実施する健康宣言事業の参加要件は各保険者によって異なるため、まずは、加入している保険者に確認しましょう。

一点注意したいのは、日本の全ての保険者が健康宣言事業を行っているわけではないということです。

健康宣言は、健康経営優良法人に認定されるために必須条件となっています。企業は必ず管轄の保険者に問い合わせし、健康宣言事業を行っているか確認するようにしましょう。もし保険者が「健康宣言事業」を実施していない場合は、加入保険者に対して「健康宣言事業」をしてもらえるか相談する必要があります。

加入している保険者が健康宣言事業を実施していない場合、各自治体が実施する健康宣言事業への参加をもって代替することが可能です。しかし、保険者と自治体のいずれも健康宣言事業を実施していない場合は、自社独自の健康宣言の実施をもって代替することが可能となっています。

そして健康宣言の内容として、下記の内容のうち1つ以上は要件を満たしている必要があります。

  1. 従業員の健康課題の把握と必要な対策(具体策)の検討を行うこと
  2. ヘルスリテラシーの向上、ワークライフバランスの向上、職場の活性化等のために、健康経営の実践に向けた基礎的な土台作りとワークエンゲイジメント(具体策)向上に向けた取り組みを行うこと
  3. 健康増進・生活習慣病予防、感染症予防、過重労働、メンタルヘルス等への対策のために従業員の心と身体の健康づくりに向けた具体的対策を実施すること

社内・社外への宣言公開方法

宣言内容が決定した後、以下のように、社内・社外への宣言を公開していきます。
★社内公開の例

  • 従業員に対する個人宛通知や文書回覧を通じて周知
  • 掲示板やイントラネットに掲示して従業員に周知
  • 従業員全員がいる場面(例:朝礼、全社会議等)での文書配布等により周知
  • 従業員の誰もが目にする場所に掲示して周知
  • 自社のHP等に公開していることを従業員に周知
  • 自社のFacebook等のSNSを通して発信していることを従業員に周知
  • 加入保険者のHPに公開されていることを従業員に周知

★社外公開の例

  • 事務所入口等、来訪者がいつでも閲覧できる場所に掲示
  • 社外向けに自社のHP等で公開
  • 社外向けに自社のFacebook等のSNSを通して発信
  • 加入保険者のHPで公開
  • 社外向けに各種メディアに掲載
  • 社外向けの求人広告、パンフレット等に掲載

宣言公開後の社内取り組みについて

健康宣言を行ったあとは、健康経営優良法人の認定要件項目に対して取り組みを実施します。

健康企業宣言の場合は、チェックシートに沿って取り組み項目を確認し、できることから実行していきます。健康経営優良法人の認定要件は毎年多少変化しますが、大項目は5つあり、中項目・小項目まで細かく分類されています。

認定要件の基準をクリアするためには、評価項目のなかから定められた項目数を選択しなければなりません。中小規模法人部門(ブライト500)、大規模法人部門(ホワイト500)など、部門によって認定要件の必要項目数が異なります。

参照元 健康経営銘柄2022選定及び健康経営優良法人2022(大規模法人部門)認定要件

【認定要件の項目例】

1. 経営理念・方針:「健康宣言の社内外への発信・経営者自身の健診受診」
・健康経営の戦略、社内外への情報開示
・自社従業員を超えた 健康増進に関する取り組み

2. 組織体制:「健康づくり担当者の設置」他
・経営層の体制
・実施体制
・健保組合等保険者との連携

3. 制度・施策実行:中項目「健康課題の把握と必要な対策の検討」
・健康課題に基づいた 具体的な目標の設定
・健診・検診等の活用・推進

●中項目「健康経営の 実践に向けた 土台づくり」
 ・ヘルスリテラシーの向上
 ・ワークライフバランスの推進
 ・職場の活性化
 ・病気の治療と仕事の両立支援

●中項目「従業員の 心と身体の 健康づくりに関する 具体的対策」
 ・保健指導
 ・具体的な健康保持・増進施策
 ・感染症予防対策
 ・喫煙対策

4. 評価・改善:「健康経営の取り組みに対する評価・改善」
・健康経営の推進に関する効果検証 

5. 法令遵守・リスクマネジメント:「定期健診を実施していること、50人以上の事業場においてストレスチェックを実施していること、労働基準法または労働安全衛生法に係る違反により送検されていないこと、等」

宣言内容の取り組みの評価・改善について

健康宣言に取り組んだあとは、実際に実施した内容を健康企業宣言の場合は実施レポート、健康経営優良法人へ申請の場合は調査票に記録・FBシートで評価し、さらなる改善策を実施します。従業員が働きやすいように環境を整備し、運動習慣や食生活改善の意識が浸透するように、評価を活かして試行錯誤するPDCAサイクルを取り入れることが重要です。

【健康企業宣言実施レポートで確認】
健康経営への取り組みの振り返りを「健康企業宣言実施レポート」に記載、協会けんぽに認定されると、「健康優良企業」の認定証が受け取れます。

【健康経営優良法人に申請した場合は健康経営度調査FBシートで確認】
経済産業省が行っている健康経営度調査の調査票に回答すると、健康経営の実施状況を分析した「健康経営度調査FBシート」が郵送で届きます。自社の回答内容をもとに健康経営に必要な情報が記載され、実践に活かすことが可能です。

健康宣言の具体例

健康宣言の中身については、多くの企業が従業員の健康を保持増進することが従業員の活性化やモチベーション向上となり、結果的に企業の発展や良質なサービスにつながるという文脈となっていることが多いです。

具体例について下記に解説していきます。

大規模法人の健康宣言例

大規模法人の健康宣言具体例について下記に解説していきます。

RIZAPグループ

RIZAPグループは健康経営優良法人2022に認定されています。業員の健康を保持・増進する推進体制、目指す健康経営、取り組みへの基本方針からわかりやすい具体策、社外評価までを自社ホームページに掲載しています。

そして、RIZAPグループでは以下のような健康宣言を実施しています。

RIZAPGROUP 健康経営_健康宣言

参照:RIZAPグループ 健康宣言

RIZAP健康経営取り組み基本方針(202205) RIZAP健康経営推進体制(202205)

ウェルビーイングな職場づくり(健康な身体、健全な心、安心安全な職場、成長し承認される職場)の実現を目指し、健康経営戦略に基づき以下を基本方針としています。

  1. 定期健診・ストレスチェック・サーベイによる課題把握の徹底
  2. 健康で安全な働きやすい環境の整備
  3. 心理的安全性をつくる社内コミュニケーションの促進
  4. プレゼンティーイズムへの対策
  5. 喫煙対策

また、具体的な健康経営の取り組みとして以下の7つを実施しています。

  1. プレゼンティーイズム対策/ウェルネスセミナーの実施:健康セミナー年1~2回実施
  2. メンタルヘルス/ハラスメントに関する研修実施:社内外に相談窓口の設置・ラインケア/ハラスメント研修の実施
  3. 本社の全面リモートワーク化:社員の約8割程度が常時在宅勤務、月2回の1on1実施
  4. 感染症対策:3密回避等の対策、職域ワクチン接種の実施など
  5. 組織状態の把握/パルスサーベイ運用:年1回のストレスチェックに加え、月1回のパルスサーベイ実施
  6. 自治体・法人向け健康増進プログラムの展開:RIZAウェルネスプログラムで企業の健康経営を支援
  7. ヘルスケアの為の商品開発と普及:吉野家、アシックス商事などとのヘルスケア商品の開発

RIZAP 健康経営KPI(202205) RIZAP健康経営戦略マップ(202205)

ベネッセホールディングス

ベネッセホールディングスは通信教育、出版などの事業を行う会社で、従業員数は19,456名を抱える大企業です。企業理念「よく生きる」のもと、従業員の健康の分野でもNo.1を目指そうという方針のもと、2018年1月にベネッセグループ健康宣言の発信を皮切りに「ひとりひとりの幸福な仕事生活のための」健康経営に取り組まれています。

ベネッセグループは、企業理念「Benesse=よく生きる」のもと、社員とそのご家族の健康維持向上に努めることを宣言いたします。

社員一人ひとりの心身の健康維持向上に努め、「イキイキ・ワクワク」働ける職場づくりを目指します
私たちは社員本人だけでなく、そのご家族を含めた心身の健康づくりをサポートします
社員とそのご家族の健康を増進し、働き方改革や医療費削減など、地域・社会からの期待に応えます
「人の人生をより素晴らしくするサービス」を追求し、お客さまや地域・社会から支持される「なくてはならない企業」となるために、会社・社員・健保が一体となって健康づくりに取り組みます

引用:
株式会社ベネッセホールディングス「働きやすく活気ある職場づくり」

ベネッセホールディングスの取り組み事例はこちら

NEC

NECは2019年度に「NECグループ健康宣言」を制定しています。健康経営の取り組みは高く評価されており、健康経営銘柄2022に初選出されています。

Better Condition, Better Life
~一人ひとりのより良い人生、豊かな社会へ~

社員とその家族一人ひとりが、自ら心身のコンディションを整え健康を大切にする文化、夢に向かってワクワクとした気持ちで働く環境・状態を創造します。すべての社員の健康や活力を原動力として、豊かな社会の実現に貢献します。
引用:NEC「安全と健康」

中小企業の健康宣言例

例えば、協会けんぽ愛知支部では健康宣言書に取り組む内容を記載しファックスすることで健康宣言となります。

必須項目である「健診を全社員が受診すること事業者(定期)健診データ提供)」「法令順守」「特定保健指導の実施」のほか、下記の選択項目から1つ以上を選択することになっています。

  • 受診勧奨の取り組み
  • ご家族の健診を後押し(”ご家族にも健診プロジェクト”への参加)
  • ストレスチェックの実施
  • 健康増進・過重労働防止に向けた具体的目標(計画)
  • 管理職及び一般社員それぞれに対する教育機会の設定
  • 適切な働き方の実現
  • コミュニケーションの促進
  • 病気の治療と仕事の両立支援
  • 食生活の改善
  • 運動機械の促進 
  • 女性の健康保持・増進に向けた取り組み
  • 社員の感染症予防
  • 長時間労働への対策
  • メンタルヘルス不調者への対応
  • 受動喫煙対策(禁煙または分煙)
  • その他:自社の課題を設定など

【健康宣言項目:運動機械の促進】での取り組み例

①全社員でのラジオ体操(陶榮株式会社)毎朝、社内全体にラジオ体操の音楽をかけ全職員一斉にラジオ体操を行うことで、従業員の体調の確認ができ目覚ましにもなり、事故の発生の防止になっています。

②6,000円で運動会実施(社会保険労務士法人名南経営)従業員が運動する機会を作ろうと、平日19時以降に運動会を実施し15名/ 24名が参加しました。日頃あまり運動をしない従業員も多い中、必死になって体を動かす機会につながりました。

③全員参加のウォーキングラリー(レスクル株式会社)バスの運転手という職業柄、運動不足になりがちであることから全社員参加のウォーキングラリーを実施しました。歩数計は会社が購入し全社員に配付、毎日歩数を計測してもらい、社内で競い合っています。その結果、空いている時間に意識して歩く等、運動するモチベーションになっています。

引用:健康宣言好事例集 全国健康保険協会愛知支部

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【健康宣言項目:食生活の改善】での取り組み例

体重管理と毎日野菜もう1皿からスタート(三幸土木株式会社):「体重記録と野菜をもう一皿プラスの習慣化」を全社員の共通目標として会社と社員が支えながら取り組む、独自の健康づくりプロジェクトを行いました。

個人の取り組みとしては毎日の体重測定や野菜+1皿とれたかの記録、記録用紙を見ながらの振り返り等を行い、会社の取り組みとしては毎月1回の健康ミーティングや自社畑を開設し、収穫した野菜を社員に配付、簡単料理教室やレシピの配布等を実施しました。

その結果、参加者の9割以上が野菜摂取量を増やすことができ、減量対象者の9割以上が減量に成功し、定期健診結果も好転しました。

引用:健康宣言好事例集 全国健康保険協会愛知支部

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健康宣言を行うメリット

健康宣言を行うメリットにはさまざまなものがあり、就業環境整備や利益増加など企業の経営状況の改善が見込めます。

健康宣言では、企業理念や経営方針などに従業員の健康に関する項目を追加して実施します。

そのため、従業員の健康管理が企業の実行するべきコミットメント(約束)として重要事項のひとつになります。企業のコミットメントになることで、経営者から従業員に健康診断受診の徹底、禁煙・受動喫煙の禁止、適正な労働時間の管理などを指導することも可能です。

以下で詳しく解説します。

健康リテラシーが向上する

経営者側に健康増進への関心があまり見られない場合、従業員の健康リテラシーは上がりにくいといわれています。健康リテラシーとは「自分に必要な健康情報を入手し活用する能力のこと」です。経営者が主導して健康経営をしていくことで、従業員の健康増進への意識が上がり社員の行動を変容させることもできるのです。

健康宣言により普段から従業員に健康増進の大切さについて働きかけを行っていると、健康や健康的な働き方に対する考えや行動が従業員に浸透し健康リテラシーが高まります。従業員の健康に対する考え方が定着すると、職場の健康的な環境づくりや運動・食事への意識改革・改善行動が自発的に行われることも期待できます。

健康宣言を通じて健康リテラシーを向上させ、適切な行動ができる従業員が増えれば、社内全体の健康レベルは底上げされていくでしょう。

関連記事:健康リテラシーとは?従業員の健康リテラシー向上策を知ろう

企業イメージが向上する

健康宣言の実施は、経営者が従業員の健康を重要なものと捉えていること、従業員の健康を維持するための対策をとっていることのアピールになります。従業員が健康で快適に働ける環境作りを行っているといった、企業イメージの確立にも係わる宣言です。

従業員のやる気や生産性に影響を与えるだけでなく、人材を採用する時の優位性にも影響が生じます。健康宣言を行い、健康経営優良法人として認定されているなど、優れた企業イメージを作り上げている場合には、将来的にも優秀な人材を採用することが望めます。

SNSなどで情報がすぐに拡散・共有される現在、企業イメージが業績に与える影響が大きくなっています。企業イメージの基本的要素や、健康経営などの取り組みについて理解を深め、単純にイメージだけを良いものとして発信するのではなく、しっかりと実態を伴った名実ともに良い企業を目指したいものですね!
関連記事:企業イメージの向上は組織力の向上から | 高める3つの方法

定着率が向上する

健康宣言は、これまで働いてきた従業員や新しく採用した従業員の定着率向上にも関係します。従業員の健康増進に取り組んでいる企業として、安心して長く働ける環境が維持されていると、従業員の入れ替わりが少なく、定着率の高い企業を目指せます。

健康経営の従業員定着率やイメージアップ効果への関連性については、経済産業省の「健康経営の研究」においても言及されています。

人材不足が懸念されている今、このメリットを創出できるか否かは、今後の企業の成長に大きく関わってくるでしょう。

関連記事:定着率をあげるためのポイント

生産性が向上する

企業の健康経営への取り組みは、従業員の心身の健康維持・健康増進を可能にします。従業員が健康に働ける状態は個人の生産性向上につながり、企業の利益も向上させます。

従業員の健康問題は、出勤していても心身に健康上の問題があるために能力が低下するといわれる「プレゼンティーイズム」の原因になるため、注意が必要です。

健康宣言により従業員の健康づくりを企業が積極的に支援し、生活習慣病予防や禁煙、メンタルヘルスに対する健康活動など、健康問題への対策が実施されると、正しい健康経営の実現につながります。

従業員が健康に生き生きと働ける状況をつくりだすことで、従業員の健康問題から生じていた「プレゼンティーイズム」の改善も可能です。従業員が健康になるとそれまで低下していた能力が改善するため、業務効率が向上して企業全体の生産性が上がります。
関連記事:プレゼンティーイズムから考える従業員の健康管理と対策とは 

リスクマネジメントとなる

従業員の健康問題をそのままにしていると、人材不足や業務効率の悪化、業績の低下など、さまざまな損害が生じるリスクがあります。健康経営に取り組むことが、健康問題の改善や健康問題によるリスクの予防につながります。

現在の日本では少子高齢化が進んでいるため、将来的に従業員が不足した場合、事業が継続できなくなるリスクが生じるかもしれません。また従業員の医療費がかさめば、折半している企業の負担も当然重くなります。

企業の健康宣言から始まる健康経営を行うことにより、健康問題が原因で生じるさまざまな損害を最小限に抑えられます。

各種インセンティブ制度が受けられる

健康企業宣言を行うと、さまざまなインセンティブを受けることができます。

「みずほ健康アシスト」(東京都中小企業制度融資「政策特別」 みずほ銀行[経営基盤強化])

「健康企業宣言」にエントリーした事業所に対し、東京都中小企業制度融資「政策特別」を活用した資金調達の支援や外部機関等と連携したサポートを受けることができるというインセンティブです。
従業員の健康について経営的視点から考えている中小企業に対し、みずほ銀行やSOMPOリスケアマネジメント(株)・損保保険ジャパン日本興亜(株)らが、健康に対する課題抽出や課題解決のサポート、および、資金調達のニーズ対応まで一貫した支援を目的とした制度として展開しています。
申込要件は、「都内に事業所を有し、みずほ銀行および東京信用保証協会の審査基準を満たす中小企業者(法人および個人事業主)で、以下の要件を満たす方」とされています。これらの条件を満たし、申請して審査に通れば、運転資金・設備資金として280百万円以内の融資を受けることができます。

※利用にはみずほ銀行および信用保証協会における所定の審査があります。

「健康企業応援・ダイバーシティ推進保証制度」(東京信用保証協会)

「健康企業宣言」にエントリーした事業所に対し、信用保証料率の優遇を受けることができるというインセンティブです。
東京信用保証協会は、低保証料率の保証制度「健康DS保証」で、従業員の健康増進や、多様な人材が活躍するダイバーシティ経営の推進に取り組む中小企業の成長・発展を応援するという主旨のサービスです。
融資限度額は2億8,000万円(組合4億8,000万円)であり、通常の保証料率と比べて15%低率となっている点が特徴です。
※一般保証料率(無担保1,000万円超の場合)

※利用には東京信用保証協会による審査があります。

まとめ

健康宣言は、さまざまなメリットの得られる「健康経営優良法人」の要件のひとつです。

健康経営は、これらの定められた要件項目から自社に適した内容を選択して実施・申請を行うことができます。

まずは健康経営の取り組みについて流れを理解し、どのように健康宣言を行うか検討することが大切です。

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