従業員のモチベーションを向上させるポイントと取り組み事例

企業が発展していくためには人的資源の戦略的なマネジメントが欠かせません。自社が持っている人的資源を最大限に活用し、生産性を上げるために重要となるのが従業員のモチベーション管理です。効果的に管理していくためには、モチベーションがなぜ下がってしまうのかについても正しく理解する必要があります。

本記事では従業員のモチベーションを向上させるポイントや下がる原因、とるべき施策について解説するとともに、企業の具体的な取り組み事例を紹介します。人材マネジメントの最適化を目指す企業はぜひ参考にしてください。

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目次

モチベーションとは

モチベーションは「動機付け」と訳され、一般的には「やる気」や「意欲」といった意味で用いられる概念です。厳密には人間の行動を喚起し、目標達成に向けて維持する要因を指します。何らかの目的や目標に向かうための「原動力」と言い換えることもできるでしょう。そして、従業員の労働意欲や貢献意識を向上するために欠かせないのがモチベーション理論です。

モチベーション理論は人間の動機付けにおける心理的傾向を体系化したものであり、人材マネジメントに応用することでモチベーション管理の方向性を示す指針となります。アメリカの臨床心理学者であるフレデリック・ハーズバーグは、モチベーションを決定付ける要素として「外発的動機付け」と「内発的動機付け」の2種類があることを提唱しています。

2種類のモチベーション

外発的動機付けとは、報酬の獲得や罰則の回避といった外部要因をきっかけとします。

効力が強く即効性があるものの、外部要因に依存する受動的なモチベーションのため、持続性は期待できません。たとえば、プロジェクトの成功時に昇給を約束した場合、一時的なモチベーションの向上は期待できても長期的に維持できるとは言い難いでしょう。

内発的動機付けは、好奇心や探究心といった自分自身の内面から沸き起こるものです。

外部要因による創出がほぼ不可能で、意図的に生み出すのは難しい傾向にありますが、自分の本心や希望を起点とするため高い持続性が期待できます。したがって、従業員のパフォーマンスを最大化するためには、いかにして内発的動機付けに基づくモチベーションを創出できるかが鍵となるのです。

従業員エンゲージメント、ロイヤルティ、従業員満足度との違い

モチベーションと同じ意味であると誤解されがちな言葉として「従業員エンゲージメント」や「ロイヤルティ」「従業員満足度」などがあります。これらの言葉にはどのような違いがあるのでしょうか。

  • 従業員エンゲージメント:会社と従業員の結びつきや信頼関係
  • ロイヤルティ:忠誠心という意味。従業員の企業に対する忠実度
  • 従業員満足度:従業員が待遇や環境、報酬に対しての満足度

従業員エンゲージメントは、企業と従業員が双方向の関与によって結びつきを強めていく点が他の言葉と大きく異なっています。モチベーションは個人主体の動機付けになりますが、従業員エンゲージメントは「周囲のために」「組織の為に」貢献したいという気持ちが大前提になります。

関連記事:従業員エンゲージメントとは?測定方法と高める方法を解説

ロイヤルティは、従業員が企業や組織に対して忠誠心を持って行動するという上下の関係性にあります。

従業員満足度は文字通り、従業員の「満足度」を示しており、会社から一方的に与えられた報酬や環境、待遇の上に成り立つものです。福利厚生の充実や労働環境の整備などの施策は従業員満足度を高めることには繋がりますが、従業員の成長や企業の業績アップに必ずしも結び付くとは限りません。

モチベーションを高めるメリットとは

製品やサービスの創出を通じて発展する企業にとって、生産性の向上は重要な経営課題のひとつです。そのためには優れた人材を確保し、効率的な生産体制を構築しなくてはなりません。

人材マネジメントにおけるモチベーション管理を最適化できれば、企業に「生産性の向上」と「離職率の低下」という2つのメリットをもたらします。

生産性が向上する

生産性の指標は「生産性=産出量÷投入量」という数式で表せます。最小のリソースでいかに最大の成果を生み出すかが重要となります。モチベーションが向上し労働意欲が高まれば、従業員のパフォーマンスが最大化され、より少ないリソースで多くの成果を生み出せます。

従業員一人ひとりが創出する付加価値額や生産量が高まれば、結果として組織全体における生産性の向上につながります。

離職率が低下する

日本は少子高齢化が進み、生産年齢人口の減少が加速しています。これに伴い深刻化しているのが人材不足です。

従業員が自律的かつ自発的なモチベーションを発揮できる職場環境を整えることで、愛社精神や貢献意識といった従業員エンゲージメントの向上につながります。従業員エンゲージメントの高まりは離職率や定着率の改善に寄与し、経営基盤の総体的な強化が期待できます。

モチベーションが下がる5つの原因とは

従業員の労働意欲や貢献意識を最大化するには、まずはモチベーションの低下を招く要因を特定し、排除する必要があります。代表的な原因は以下の5つが挙げられます。

1. 評価や待遇への不満

原因のひとつに給与や賞与、職場環境、雇用条件、人事評価制度といった待遇に対する不満が存在します。特に日本は年功序列といった従来の価値観が根強く残っている企業が多く、業績への貢献度が評価につながりにくい若手の人材が不満を抱きやすい傾向にあります。

2. 身体的疲労の蓄積

日本企業は滅私奉公の精神を好み、長時間労働や残業を美徳とする考えが残っています。時間労働が常態化している企業ではワークライフバランスが崩れ、心身ともに不調をきたす従業員が少なくありません。このような組織体制が続く限り、従業員のモチベーション向上を期待するのは難しいといえます。

3. 人間関係への不満

離職率が高い企業の特徴として挙げられるのが人間関係の問題です。どのような組織でも人間関係のトラブルは少なからず起こるものです。しかし、陰湿なイジメやハラスメントが常態化し、モチベーション低下の要因となっているケースも少なくありません。

4. 仕事内容への不満

仕事内容に魅力ややりがいを感じられない場合、従業員のモチベーションが低下する傾向にあります。また、業務そのものに不満はなくとも、過剰なノルマやサービス残業の強制によって不満が蓄積してしまうケースもあります。

5. 将来に対する不安感

未来に対する不安感がモチベーションの低下につながっているケースも少なくありません。たとえば、企業の方向性に将来性を感じられなかったり、自身のキャリアデザインが不明瞭だったりといったケースが該当します。

モチベーションを確認するには

モチベーションの向上に向けて施策を講じるためには、まず現状を把握しなければなりません。確認するための代表的な方法は以下の3つです。

社内アンケートの実施

モチベーションの把握や管理には、従業員の声に耳を傾ける施策が必要です。従業員の企業に対する満足度を調査する従業員満足度(ES)調査やパルスサーベイ、職場の推奨度を数値化するeNPS調査といった手法を用いて人材の声を可視化します。

共通する質問項目としては以下のような項目が考えられます。

  • 自分の仕事に意義や価値が感じられるか
  • 仕事を通じてスキルアップしていると思えるか
  • チーム内でうまく連携が取れているか
  • 困っているときに頼れる上司はいるか
  • 仕事において将来的に達成したい目標はあるか

従業員満足度を調査する

従業員の仕事へのモチベーションは、従業員満足度を調査することでも間接的に確認できます。

従業員満足度とは、福利厚生や職場環境、人間関係、仕事へのやりがいなどで計測される、従業員の満足度を表す指標のことです。英語では「Employee Satisfaction」と呼ばれることから、頭文字を取って「ES」と表すこともあります。

従業員満足度が高い場合、従業員は企業のビジョンを深く共感・理解していることが多く、モチベーション高く業務に取り組んでいることが想定されます。また、従業員満足度の調査では、仕事内容や評価・待遇、人間関係などモチベーションに影響する項目が測定できるため、参考にすることができます。

調査する時は、以下の項目に注意するとよいでしょう。

  • 調査目的を明確にする
  • 定期的に同じ調査方法で実施する

単に現在の満足度を把握するだけでなく、「従業員がどのような項目を重要視しているのか」といった価値観まで探るようにすると、具体的な対策方法を検討しやすくなります。

基本的な調査項目は5つであり、必要に応じて独自の内容を加えるとよいでしょう。

▼調査項目

  • 企業への意識:愛着度、経営理念、ビジョン、将来性など
  • 評価や待遇:人事評価、給与、福利厚生
  • 業務内容:やりがい、業務量、裁量権など
  • 管理職:業務の振り割り、部下の指導や育成など
  • 組織風土:コミュニケーション、チームワーク、柔軟な働き方など

関連記事:従業員満足度(ES)の向上メリットは?今すぐ取り組める方法

従業員の健康状態を調査する

人は身体が資本であるため、自覚している体調不良だけでなく体型の変化や自覚しきれていない健康数値の悪化等がモチベーション向上を妨げていることもあります。これは身体の調子だけでなく、精神的な面も含めてです。

社員の体調を把握するためにも、健康保険組合等と協力して従業員の健康状態の把握に努めたり、定期的にアンケート等で「体調」について答えてもらう場面を設けましょう。

メンタル面はストレスチェックを実施しましょう。

ストレスチェックとは労働者の心身にどれほどストレス負荷がかかっているか調べるためのテストです。労働安全衛生法に基づき、常時50名以上の従業員がいる事業場に1年間に1回の実施と労働基準監督署への報告が義務付けられています。

ストレスは職場のモチベーション向上を妨げ労働生産性や離職率を悪化させるため、早期対策が不可欠です。これらを定期的にチェックすることで、従業員の健康を守り生産性向上を促す施策を考えていくことができます。

法に基づくストレスチェックは以下の3領域を含むことが必要になります。

  • 仕事のストレス要因:職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目
  • 心身のストレス反応:心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目
  • 周囲のサポート:職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目

事業者側が従業員のストレス状況やメンタルヘルスを確認できるだけでなく、従業員自身も自らのストレス状態を正確に知る機会になるため、セルフケアのきっかけにもつながります。

関連記事:ストレスチェック制度の目的や実施方法

モチベーション管理システムの利用

モチベーション管理システムとは、モチベーションに関わるデータの収集・分析に特化したシステムです。アンケートやストレスチェック、離職の要因予測や集計データのグラフ化する機能を備えており、モチベーションの可視化できるのはもちろんのこと、離職率・定着率の改善にも貢献します。

定期的な面談や1on1ミーティングの実施

個々人のモチベーションの状況を掴むには、直接コミュニケーションをとることも効果的です。日々の業務に追われてコミュニケーションがとれないまま、業務の停滞や人間関係の悪化等部下の悩みに上司が気づけず、離職につながるケースも少なくありません。

こうした事態を防ぐためにも、1対1でのコミュニケーションが有効です。信頼関係を築き、個々人の状況を把握するのに役立てましょう。

モチベーションを向上させる施策とは

仕事への意欲や貢献意識を高める動機付けは個人によって異なります。そのためモチベーションを向上する施策に正解はなく、企業やビジネスモデルによっても採用すべき施策にも違いが出るものです。ここでは汎用性の高い代表的な手法として以下の7つを紹介します。

会社のビジョンや理念の浸透

「人はパンのみにて生くるものに非ず」という言葉のように、従業員は給与や生活基盤の安定だけを目的に仕事に従事しているわけではありません。意義深い経営ビジョンや企業理念を共有しエンゲージメントを高めることで、やりがいや働く意義などの内的動機付けを見出しやすい企業風土を構築できます。

理念を浸透させるための取り組みとしては、毎日の朝礼で確認する時間を取ったり、決まったスパンで研修会を行ったりすることが考えられます。理念が具体的な内容であるならば、人事評価と連動させても説得力があり、理念を実践している社員にインタビューをして社内報で取り上げることで自分事化してもらうことも効果的です。

人事制度や待遇の見直し

従業員が評価や待遇に不満を感じる場合、人事評価制度の見直しを検討しなくてはなりません。たとえば、年功序列による評価に偏っている企業であれば、表彰制度やインセンティブの導入など、業績に貢献した度合を公正に評価する仕組みを整備することで、向上心の高い従業員の更なるモチベーションの向上が期待できます。

職場環境の整備

働きやすさや働きがいのある職場環境の整備は、従業員の会社での働き方だけでなく、生活のしやすさにもつながるため、その会社を選んで働く理由となります。従業員が立場に関係なく意見を発言できる場があることや有給休暇を取得しやすいこと、オフィス空間が清潔であることや業務効率化に取り組むといった企業風土を築く意識が大切です。

現状の職場環境の確認は、ストレスチェック従業員アンケ―トから行うことができます。
特にストレスチェックは常時50人以上の従業員を雇用する事業所では実施義務があるため、職場環境の確認のためにまず確認すべき指標になります。

法に基づくストレスチェックは以下の3領域を含むことが必要になります。

  • 仕事のストレス要因:職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目
  • 心身のストレス反応:心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目
  • 周囲のサポート:職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目

ストレスチェックの集団分析を職場、各部署などの単位で行うことで、職場環境が整っておらず、高ストレスの従業員が多い職場を特定できます。
働きやすい職場環境は以下の3つの要素で構成されています。

  • 人間関係:コミュニケーションなど
  • 業務環境:空調照明など~設備レイアウトなど
  • 業務内容:裁量権、負荷の量、労働時間

一つの要素だけを改善するだけでは不十分で、どの要素も疎かにはできません。
人間関係が良好であり、物理的な環境が整っており、作業時間を減らすために業務の分担をするなど配慮された職場では、働く人が自己充足感や達成感が得られます。

それだけではなく、企業から見れば企業の人的資本が効率的に活用されている状態とも言え、生産性やパフォーマンスにもポジティブな影響がでることが想定されます。

関連記事:職場環境の改善アイデア|組織向上への取り組みと成功事例

従業員が意欲的に働ける環境の整備

社内公募制や社内ベンチャー制、従業員向けコンテストなどの導入は、上昇志向のある従業員のモチベーション向上にプラスに働きかけるでしょう。また、従業員一人ひとりの適材適所を知るためにそれぞれの能力や特性を把握し、人材配置を最適化するマネジメント能力も必要です。

実際、調査により企業が能力開発に積極的になったと感じる従業員や、能力開発に関連する人材マネジメントの取組みが積極的に実施されている企業で働く従業員は、仕事に対するモチベーションが上昇している者が多いという結果がでています。

(注)
1)左図は正社員を対象に企業の能力開発に対する積極性の評価別に、仕事に対するモチベーションのD.I.(「上昇」の割合から「低下」の割合を引いたもの)をみたもの。

2)右図は企業におけるいわゆる正社員を対象とした教育訓練の実施状況や能力開発に関連する人材マネジメントの取組み個数別に、正社員の仕事に対するモチベーションの D.I.(「上昇」の割合から「低下」の割合を引いたもの)の差をみたもの。なお、企業調査票と正社員調査票を紐付けたデータをもとに集計した結果となっている。

3)能力開発に関連する人材マネジメントの取組個数が相対的に多い企業は、「目標管理制度による動機づけ」「定期的な面談(個別評価・考課)」「指導役や教育係の配置(メンター制度等)」「企業としての人材育成方針・計画の策定」等といった 11 項目のうち、7個以上を一律実施又は限定実施している企業をいう。能力開発に関連する人材マネジメントの取組個数が相対的に少ない企業は、実施個数が7個未満の企業としている。

参照:厚生労働省 平成30年版 労働経済の分析 -働き方の多様化に応じた人材育成の在り方について-

中堅社員や管理職のマネジメント能力を高めていくために、人材育成の一つとしてマネジメント能力の育成が求められます。特に管理職は自らの業務だけでなく、チームメンバーのマネジメントやサポート、組織全体の目標設定や管理などやるべきことは多岐に渡ります。組織として成果を出すため、マネジメント能力を高めていくことが必要です。

また管理職の中でも階層が上がるにつれて求められるスキルの幅は広がり、レベルも上がります。定期的に部下への指導や業務改善など、マネジメントのスキルを強化するための研修を行うことで常に現場のレベルをアップさせるための視野を広げていくことが大切です。

関連記事:人材育成を進めるには|ステップや階級ごとの育成例を紹介

社内コミュニケーションの活性化

社内コミュニケーションの活性化は良好な人間関係の形成に寄与し、モチベーションの向上はもちろん、業務の円滑な遂行や従業員同士の情報共有に寄与します。

まずは自社の社内コミュニケーションの活性化度を確認することが重要です。

具体的に確認する内容としては以下の4つが有効です。

  • 心理的安全性:組織の中で安心して発言できる状態
  • ストレスチェック:ストレス度合い
  • パルスサーベイ:職場への満足度
  • 職場の強みチェックリスト:職場環境

職場の社内コミュニケーションを活性化させるにはいくつかのポイントがあります。
まずは、社内報や1on1ミーティングを通して、お互いを知る機会をつくりましょう。どんな社員がいて、どんな仕事をしているのかを知ることで、コミュニケーションを持つ第一歩とすることができます。

また、コミュニケーションの質を高めるためには心理的安全性を確保することが必要になります。心理的安全性がなければ、いくらコミュニケーションの機会を設けても従業員は本音で交流することはできません。十分確保できていない場合は、個別のヒアリングや配置換えなどを検討する必要があるかもしれません。

コミュニケーションを活性化させるためには、交流を促進する環境作りや、業務に関わらない環境を企業が従業員に対して提供することが重要になります。

業務時間内であれば、フリーアドレス制の導入リフレッシュスペースを確保したり、業務時間外であれば、社内サークルイベントなどを実施することも有効な手段になります。

ワーク・エンゲイジメントの高い従業員は、業務やほかの従業員との関わりも積極的で、役割以外の仕事への取り組みや、部下への指導など、リーダーシップを発揮した行動を取れます。そのため、社内コミュニケーションを活性化させるために積極的に協力を依頼しましょう。

関連記事:社内コミュニケーションを活性化させるポイント

ワークライフバランスの充実

ワークライフバランスを整えることで、労働時間の適切な管理による疲労の減少や、働き方の選択が与えられることで仕事への納得感が増し、モチベーション向上につながります。ワークライフバランスの実現には、育児休暇や有給休暇の取得促進、福利厚生の充実といった施策が不可欠です。また、テレワークやフレックスタイム制を導入することで、育児や介護などの事情を抱える従業員のモチベーション向上や雇用維持が期待できます。

従業員の健康への投資

従業員の健康悪化は、生産性の低下や離職率の増加を招きます。いつ体調を壊してもおかしくない労働環境で働くことは従業員の心身をすり減らします。

一方で、従業員の健康へ気を配る企業の対応があれば従業員も企業へ信頼感を持ち、業務への内的な動機付けにつながります。

そのため人的資源の心身を健康に保つための仕組みが必要です。健康診断やストレスチェックといった従来の方法に加え、専門家による研修の実施や専任部署を設置するといった施策が求められます。

健康的な生活習慣の重要性を伝えるために、健康リテラシー向上を図る健康セミナーの開催や、定期的な健康情報の配信なども有効です。

健康経営を推進するステップ

健康経営は、アメリカで生まれたヘルシーカンパニー思想に基づき、「健康な従業員こそが収益性の高い会社を作る」という考えのもと、従業員の健康管理に積極的な投資を行うという経営戦略です。

健康経営の目的は、従業員の健康づくりを通して、企業の業績や価値を向上させることにあります。というのも、健康経営の実践によって、企業には下記のメリットがもたらされることが期待できるからです。

  • 従業員の健康増進
  • 従業員の活力向上
  • 労働生産性の向上
  • 企業イメージの向上

健康経営と聞くと、取り組みが難しいのでは?と思う方もいるかもしれません。ここでは、4つのステップに分け、健康経営の取り組み方を解説していきます。

【ステップ1. 準備】

健康経営に取り組むために、まずは自社の「健康課題」の把握をする必要があります。また、課題を解決することで、会社・従業員がどのような姿になることがゴールなのか「目標設定」。本格的に健康経営を行うことを告知するための「健康宣言」。実際に実行するための「社内体制の構築」が準備として必要となります。

【ステップ2. 実行】

ステップ1. で抽出した健康課題や、健康経営の認定要件から、取り組む項目を選定していきます。
■健康課題の把握と必要な対策の検討:例)定期健康診断受診率100%を目指す
■実践に向けた土台作りとワークエンゲージメント:例)職場の活性化
■従業員の心と身体の健康づくりに向けた具体的対策:例)メンタルヘルス不調者への対応

【ステップ3. 振り返り評価】

開始時に定めた目標に対して、現状を評価し、次の施策に向けて改善を継続的に実施していく事が重要になります。
健康経営の最終的な目的である企業業績アップにどうつなげられるのか、健康投資の見える化を進めるため、2021年3月、経産省により「健康経営管理会計ガイドライン」が作成されました。PDCAサイクルを確立させるためにも、参考になるガイドラインとなります。

【ステップ4. 改善】

振り返り評価のあとは改善のステップになります。健康施策の単純な結果だけを見るのではなく、従業員がどのような反応を示しているのか考察し、短期的・長期的な改善施策を練りましょう。

関連記事:【徹底解説】健康経営とは?

モチベーションを左右する管理職

従業員のモチベーションを大きく左右するのが、管理職のモチベーションマネジメント能力です。

モチベーションマネジメントとは、外発的動機付け、内発的動機付けの両方に働きかけ、従業員が高い意欲を持って業務に取り組めるように動機づけをし、サポートするマネジメントのことです。

モチベーションマネジメントを実施するにあたって報酬や罰則といった外的動機付けだけでは個人のモチベーションの維持が難しく、従業員の能力や生産性向上の促進には限界があると考えられます。

そのため、外発的動機付けに取り組むと同時に従業員の内発的動機付けにアプローチし、従業員自身がやる気や意欲が高められる土台を構築していくことで、組織全体での高い生産性を生み出すことにつながります。

実際に、レッドフォックス株式会社の「若者の組織への意識に関する調査」によると、若手社員のモチベーションが変化した理由は1位「業務内容」に次いで、「上司との関係」が2位にあげられています。

人材マネジメントを最適化するためには、モチベーション管理における管理職の役割を認識しておいてください。

管理職の役割を理解する

モチベーション管理における管理職の主な役割は「情報収集」「判断行動」「支援行動」の3つです。従業員のモチベーションを高く保つためには、この3つの領域を意識して人材マネジメントに取り組む必要があります。

  • 情報収集:部下とコミュニケーションを図り、人材の強みや持ち味を把握しているか
  • 判断行動:管理職として適切な判断や迅速な意思決定を実行できているか
  • 支援行動:困っている部下に手を差し伸べ、適切な支援ができているか

取り組み事例

情報収集・判断行動・支援行動の取り組み事例として、「1on1ミーティング」と「チームMTG」の実施が挙げられます。この2つを定期的に実施することでコミュニケーションが活性化され、人材マネジメントの最適化につながります。

1on1ミーティングの実施

上司と部下が1対1でミーティングします。その際どのようなキャリアを描いているのか、悩みを抱えているのかなどを一方的に聞く・話すのではなく、対話型のコミュニケーションにすることで信頼関係を構築し、従業員一人ひとりのモチベーション向上を促します。

チームMTGの実施

プロジェクトメンバーや部署内のグループでミーティングを実施します。その場においては企業やチームが掲げるビジョンの浸透、コミュニケーションの活性化に取り組み、個人単位とチーム単位におけるモチベーション向上を目指します。

生産性向上や離職率低下につながった事例

従業員のモチベーション向上に取り組み、生産性の向上や離職率の低下を実現した企業の取り組み事例を紹介します。

ベネッセ

通信教育や出版事業を展開するベネッセは、ニューノーマル時代における運動不足やストレスを新たな課題と認識し、健康経営の推進に着手しています。具体的には運動習慣の定着を目的としたオンラインセミナーや、食生活の改善をテーマにした講義などを開催し、グループ全体の健康づくりに取り組んだ結果、64.7%だった働きがいスコアが、68.2%にまで上昇しました。

サイボウズ

ソフトウェア開発企業のサイボウズは、2005年に離職率が過去最高となり、経営体制の抜本的な改革が急務となりました。そこで同社は職場環境や人事評価制度を見直し、ワークライフバランスの実現に向けた取り組みに着手。在宅勤務制度や育児・介護休暇制度などを導入し、多様な働き方を可能にする職場環境を構築しました。その結果、28%あった離職率は約3%(2020年時点)にまで低下しました。

ビースタイル

人材派遣事業や求人媒体の運営に携わるビースタイルは、リーマンショックによる低迷期を乗り越えた直後、従業員が大量に離職する事態に陥りました。当時は経営ビジョンが曖昧で社内コミュニケーションも希薄化していました。そこで組織体制を変革すべく、管理職とのランダムな1on1、幹部に率直な意見を伝える全社日報といった制度を導入します。全方位コミュニケーションが実現した結果、離職率は20%から8%にまで改善しました。

ライフル

住宅・不動産のポータルサイトを運営するライフルは、売上拡大に尽力するあまり仕事の意義を見失い、メンバーのモチベーションが低下したことが懸念事項でした。そこでビジョンや理念の共有と浸透を目的として、1on1の時間を増加しました。チームにおける信頼関係の構築に取り組み、ビジョンが浸透しチームの結束力が向上した結果、売上が前年比300%となりました。

まとめ

企業にとって従業員は貴重な経営資源であり、そのパフォーマンスを最大化するためにはモチベーション管理が不可欠です。職場環境の整備や人事評価制度の見直し、ワークライフバランスの充実や健康経営の推進などを実施し、従業員のモチベーションとエンゲージメントの向上に取り組んでみてください。

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