エンゲージメントとは
近年の人事領域では「従業員エンゲージメント」という言葉を耳にする機会が多くなっています。
従業員エンゲージメントとは「会社に貢献したい」という従業員の自発的な気持ちを指します。
従業員エンゲージメントには、「従業員の会社や商品への愛着心」「会社と従業員の結びつきや信頼関係」というような意味合いも含まれています。
従業員エンゲージメントに注目する場合、エンゲージメントという概念にどのような期待を抱いているのか、またどの組織の定義するエンゲージメントに近いのかを考える必要があります。
エンゲージメントの定義
エンゲージメント(engagemant)とは直訳すると「約束」「契約」「婚約」などを意味する言葉です。ビジネス用語としてコンサルタント業界で使用され始めました。
ワーク・エンゲイジメントとは、従業員「個人」の仕事に関連するポジティブで充実した心理状態を指す言葉で、「仕事から活力を得ていきいきとしている」(活力)、「仕事に誇りとやりがいを感じている」(熱意)、「仕事に熱心に取り組んでいる」(没頭)の3つが揃った状態として定義されています。
参照:厚生労働省「「働きがい」をもって働くことのできる環境の実現に向けて」
つまりワーク・エンゲイジメントが高い人は、仕事に誇りとやりがいを感じ、熱心に取り組み、仕事から活力を得て、いきいきとしている状態にあるといえます。
ワーク・エンゲイジメントと従業員エンゲージメントの関係を説明すると、従業員エンゲージメントがワーク・エンゲイジメントを内包しています。
ロイヤリティ、従業員満足度、モチベーションとの違い
従業員エンゲージメントと同じ意味であると誤解されがちな言葉として「ロイヤリティ」や「従業員満足度」「モチベーション」などがあります。これらの言葉にはどのような違いがあるのでしょうか。
・ロイヤリティ:忠誠心という意味。従業員の企業に対する忠実度を指す
・従業員満足度:従業員が待遇や環境、報酬に対してどれだけ満足しているかを示す
・モチベーション:動機づけ、の意味で従業員の仕事に対する力の入れ具合を示す
ロイヤリティは、従業員が企業や組織に対して忠誠心を持って行動するという上下の関係性にあります。
従業員満足度は文字通り、従業員の「満足度」を示しており、会社から一方的に与えられた報酬や環境、待遇の上に成り立つものです。福利厚生の充実や労働環境の整備などの施策は従業員満足度を高めることには繋がりますが、従業員の成長や企業の業績アップに必ずしも結び付くとは限りません。
ロイヤリティと従業員満足度に対し、エンゲージメントは、企業と従業員が双方向の関与によって結びつきを強めていく点が大きく異なっています。
モチベーションは、組織の従業員が与えられた職務の遂行や目標の達成に向けて精力的に行動し続けている状態を示しています。エンゲージメントも「地位や収入を上げたい」という動機で仕事を頑張ることを否定しませんが、「周囲のために頑張る」という点でモチベーションと異なります。「組織へ貢献したい」という気持ちが、エンゲージメントの大前提になるからです。
エンゲージメント向上を妨げる要因
上記で日本の従業員エンゲージメントは低い背景について解説しました。その背景から生じる企業の中で起きている現状として下記のようなことが、エンゲージメントの向上を阻害していると考えられています。
- 組織の複雑化
- 仕事の細分化
- 評価への不満
- 将来への不安
- コミュニケーションの少なさ
エンゲージメント向上へ RIZAPウェルネスプログラム
近年、人手不足や離職率の増加、メンタルヘルス不調への課題などから、従業員エンゲージメントを高めることの重要性が増しています。従業員のエンゲージメントを高める方法について、どのように取り組もうか検討しているご担当者様も多いのではないでしょうか?
そこで従業員のエンゲージメントを向上する取り組みとして、法人向け「RIZAPウェルネスプログラム エンゲージメント向上へ」をお届けします。
RIZAPウェルネスプログラムはRIZAPメソッドに基づく座学とトレーニングを組み合わせた各種プログラムで、健康増進や社内コミュニケーション活性化、リフレッシュを促し、組織力の向上、ひいては企業価値向上を目指します。
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エンゲージメントを高めるメリット
エンゲージメントが注目される背景からも見えてきたように、現在会社と従業員との関係性はどんどん変化しており、その変化に対応できないことで人手不足に陥る可能性をどの企業も秘めています。
企業として人手を確保するとともに従業員が「働きがい」をもって働くことができる環境を整え、従業員がより豊かな職業人生を歩みながら健康の増進と労働生産性の向上を同時に実現することで、企業の成長を実現させていくことがますます重要な課題になっていくことが予想されます。
では具体的に、従業員のエンゲージメントを高めるとどのようなメリットがあるのでしょうか。
労働生産性の向上
令和元年版労働経済の分析(厚生労働省)によると、ワーク・エンゲイジメントを向上させることは個人の労働生産性とともに企業全体の労働生産性向上につながる可能性が示唆されています。
また従業員エンゲージメントの調査としても株式会社リンクアンドモチベーションが発表した慶應義塾大学との研究で、従業員エンゲージメントの向上が企業の営業利益率・労働生産性にプラスの影響を与えるという結果がでています。
これまで指標とされてくることの多かった福利厚生の充実や労働環境の整備などの施策は従業員満足度を高めることには繋がりますが、従業員の成長や企業の業績アップに必ずしも結び付くとは限りません。
エンゲージメントを指標とした場合、企業の方向性やビジョンに共感している状態が高いことで事業課題に対して積極的に取り組む姿勢が数値に表れます。こうした結果からエンゲージメントが高いことは生産性向上をもたらすことが予想されます。
関連記事:生産性向上とは | 目的や効果、具体的な取り組み方を解説
離職率の低下
離職防止の観点からもエンゲージメントの向上の意欲が高まっています。
ワーク・エンゲイジメントが高いことと、新入社員の定着率(入社3年後)と、従業員の離職率低下には相関があること(参考:令和元年版労働経済の分析)がわかり、エンゲージメントが優秀な人材の流出を防ぎ人材確保に効果的だということが認識されています。
実際、人手不足の企業においても定着率が上昇している企業や離職率が低下している企業が多いといわれています。
年収とワーク・エンゲイジメントには相関がみられないという結果もあることから、人件費の増大といった費用負担が難しい企業であっても、仕事の在り方や職場環境を改善させるような従業員のエンゲージメントを高めるような様々な工夫を重ねることによって、従業員がやりがいをもって働ける環境へ改善することが求められています。
関連記事:定着率とは?低い原因、向上のための効果的な取り組み
組織の活性化
ワーク・エンゲイジメントを向上させることは、仕事に対する自発性や他の従業に対する積極的な支援(役割外のパフォーマンス)の向上につながる可能性が示唆されています。
従業員が自分の業務でのパフォーマンスが最大化されるだけでなく、役割外のパフォーマンスの向上にもつながれば、組織力がぐっと底上げされます。
職場の問題を自ら解決したり積極的に意見を出したり、事業と自身の成長に向かって活発に動きのある組織風土は間接的に売り上げにも影響を及ぼすでしょう。
さらには、好結果がまたさらに自信につながって、最終的には組織全体が活性化していくと考えられます。
関連記事:職場活性化のポイントとは|具体的なアイデアと取り組み方
従業員のモチベーション向上
エンゲージメントの向上は、従業員本人のモチベーションアップにもつながります。自分が現在働いている企業に対しての愛着や信頼が高まると、仕事に対する自発性や他の従業員に対する役割外のパフォーマンスの向上につながります。
企業の方向性やビジョンを理解しているため、より質の高い製品やサービスを提供をできないか自発的に考え行動するようになります。その結果、顧客満足度の向上にもつながるだけでなく、顧客からすると熱意や愛着をもって従業員が仕事をしている姿から企業イメージの向上が期待できます。
関連記事:従業員のモチベーションを向上させるポイントと取り組み事例
企業イメージの向上
最近では、労務問題への社会的関心の高まりやSNSの普及を受けて、職場環境など企業内部の情報も消費者に伝わるようになってきています。それらの情報が企業イメージを大きく左右しており、「ブラック企業」「ホワイト企業」のような言葉も出てきました。
どんなに良い商品やサービスを提供していても、劣悪な環境で従業員を働かせている企業の商品は消費者から選ばれない時代になっています。
エンゲージメントが向上すると、従業員が積極的に業務に参加するようになり、顧客が求める質の高い製品やサービスを提供できるようになります。その結果、企業に対して顧客側は良い感情を持つようになり、企業のイメージも上がるでしょう。
従業員のエンゲージメントの高い職場は雰囲気も良くなり、人材も集まりやすくなります。
関連記事:企業イメージ向上のための3つの方法
従業員の健康増進
ワーク・エンゲイジメントを高めることは、仕事中の過度なストレスや疲労を感じる度合いを低下させる可能性があること示唆されています(参考:令和元年版労働経済の分析)。
ワーク・エンゲイジメントの向上は、労働時間を増加させることなく、一定の労働時間の中で仕事に誇りとやりがいを感じ、熱心に取り組み、使途後から活力を得て生き生きとしている状態にあり、従業員にとって「労働時間の質の向上」が促されることによって、仕事中の過度のストレスや疲労を減少させている可能性があるものと考えられています。
感じるストレスが減れば睡眠の質も上がり、身体の健康増進にも寄与することとなります。
従業員のストレスマネンジメントが注目される今、エンゲージメント向上によるストレス耐性はメンタル疾患などの予防効果も期待でき、ストレスに強い組織づくりに寄与できると期待されています。
関連記事:【健康増進対策】従業員の健康課題に合わせた取り組みとは
エンゲージメントを高めるための取り組み
従業員エンゲージメントを高めるためには、様々な方法があります。
社風や地域性などによって最適な方法は異なるので、課題を見極めながら自社にあったやり方を模索し会社の将来のための施策を考えていきましょう。
定期的にエンゲージメントを測定する
エンゲージメント向上を目指すためには、定期的に状況を把握することが大切です。従業員エンゲージメントを測定する一般的な手法は、インターネットによるアンケート調査です。アンケートであれば手軽に実施できるため、月に1回から半年に1回の頻度で行われている企業が多いようです。
主な質問内容は以下のようなものです。
あなたが勤めている会社を、家族や友人にどのくらい勧めたいですか?
職場で自分の意思や意見が尊重されていると感じる
自分が何を期待されているのかを知っている
この1年間で、仕事を通して成長できた
自分の仕事に価値や誇りを見出しているか
このようなサーベイを通して、従業員エンゲージメントの3つの指標を測定します。
- エンゲージメント総合指標:従業員が会社に対してどのような印象を抱いているかについて、総合的な評価を示すもの
- エンゲージメントドライバー指標:今後の従業員エンゲージメントを向上させる要因を示すもの
従業員エンゲージメントは人間関係・成長・仕事内容・職場環境などいくつかの項目が重なり形成されています。そのためエンゲージメントに対する取り組みは、何をどうしたいのか、何が主要な要因となって現状になっているのかを測定で把握し、要因を突き止めることが大切です。
会社全体はもちろん、部署ごと、地域ごと、個人ごとのエンゲージメントの状況を把握していきましょう。現状を把握せずに施策を行ってしまうと、あまり効果が出なかったり、施策の効果が把握できなかったり、逆効果となるケースもあります。
実際に施策を実行した場合の効果検証をすることもできます。会社全体/部署ごとの結果も表せるため、オフィス環境・人材配置・人事制度・研修や教育などの見直しや改善に役立たせることが可能です。
各種ツールを用いた測定
エンゲージメント向上の取り組みを実施する際に、下記に示したようなツールを活用することで何をどう取り組んだらよいのかをツールのサポートを用いて検討することができるでしょう。
どのような角度でどのように課題を抽出するかはツールによって異なりますが、自分たちの見えなかった問題が浮き彫りになったり、優先度をつけるのに役立ったりするだけでなく、エンゲージメント向上以外の組織全体の課題を浮き彫りにするためにも役立つものが多くなっています。
〈エンゲージメント測定ツール例〉
ストレスチェックでの測定
また「新職業性ストレス簡易調査票」、いわゆる「80項目版」のストレスチェック調査票でエンゲージメントを把握することも可能です。
参照:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「職業性ストレス簡易検査表(80項目版)」
一般的なストレスチェック調査票(57項目版)との違いは、個人のストレス反応だけでなく、仕事に対する「エンゲージメント」や、「職場環境」「ハラスメント」についても測定できる内容になっています。
受検にかかる時間は10分程度と、57項目版と比べて長くなりますが、職場環境改善への効果が期待できることから、健康経営を推進している企業ではこの「80項目版」ストレスチェック調査票を導入している例も多いようです。
関連記事:ストレスチェックとは?対象者、目的、メリット、実施方法
ビジョンへの共感を深める
会社のビジョンへの共感は、エンゲージメントを高めるうえで欠かせないでしょう。
企業の理念や方向性に共感している従業員は、自分が勤めている企業に誇りを持ち、その業務に参画できることに喜びを感じていることが多い傾向にあります。
会社のビジョンやミッションを従業員と共有することで、同じ目標に向かい一体感を持って仕事ができるようになるため、従業員のエンゲージメントは向上します。
会社が将来どこに向かおうとしているのか、社長や幹部がどのような考え方や経営理念を持っているのかなどを従業員に伝え続ける必要があります。
ビジョンの浸透には、時間と労力が必要です。定期的かつ継続的に伝え、話し合える場を設けるようにしましょう。従業員の共感度をアップさせるためには、企業は従業員とのコミュニケーションを大切にし、互いの思い・考えを常に理解し合うことが重要です。
ワークライフバランスを整え働きやすい環境をつくる
従業員に働く意欲がどれだけあっても、あまりに多い労働負荷や長時間労働が存在するような環境では個人のエンゲージメント維持は難しくなります。
そのため働きやすい環境づくりとしてのワーク・ライフ・バランスの推進はエンゲージメントにおいても重要視されています。
エンゲージメントの高い職場では従業員はより積極的に仕事にコミットするため、働く意欲やモチベーションが高まる可能性が高いといわれています。
このような、働きやすく働き甲斐のある職場では、働く人にとって自己充足感や達成感が得られるとともに、企業から見れば企業の人的資本が効率的に活用されている状態とも言え、生産性やパフォーマンスにもポジティブな影響がでることが想定されます。
長時間労働対策を実施する
「働き方改革関連法」が2019年に施行されて以来、長時間労働に対する考え方はより厳しいものとなりました。
参照:厚生労働省「「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」について」
そもそも労働時間は労働基準法第32条により、基本的には1日8時間・週40時間以内と定められています。ただし、上限さえ守ればよいのではありません。できるだけ無駄な業務を減らし、業務効率化を図ることで生産性向上にも期待できます。長時間労働をなくせば、従業員のメンタル面の不調解消にもつながり、離職率の低下に資すると考えられます。
対策としては、勤務時間やタスクを見える化し、適正に管理することです。管理者から意識を変え、業務を公平に振り分けたり、本来無駄な業務を潔く省いたりすることも一案です。テレワークやフレックスタイム制を採用することで、ライフワークバランスの実現にもつながります。
参照:厚生労働省 働き方改革関連法等について
関連記事:長時間労働の原因や引き起こす問題とは?具体的な対策ステップ
職場環境を整備する
エンゲージメントを高める職場環境の整備は、従業員の会社での働き方だけでなく、生活のしやすさにもつながるため、その会社を選んで働く理由となります。従業員が立場に関係なく意見を発言できる場があることや有給休暇を取得しやすいこと、オフィス空間が清潔であることや業務効率化に取り組むといった企業風土を築く意識が大切です。
現状の職場環境の確認は、ストレスチェックや従業員アンケ―トから行うことができます。特にストレスチェックは常時50人以上の従業員を雇用する事業所では実施義務があるため、職場環境の確認のためにまず確認すべき指標になります。
法に基づくストレスチェックは以下の3領域を含むことが必要になります。
- 仕事のストレス要因:職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目
- 心身のストレス反応:心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目
- 周囲のサポート:職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目
ストレスチェックの集団分析を職場、各部署などの単位で行うことで、職場環境が整っておらず、高ストレスの従業員が多い職場を特定できます。働きやすい職場環境は以下の3つの要素で構成されています。
- 人間関係:コミュニケーションなど
- 業務環境:空調照明など~設備レイアウトなど
- 業務内容:裁量権、負荷の量、労働時間
一つの要素だけを改善するだけでは不十分で、どの要素も疎かにはできません。人間関係が良好であり、物理的な環境が整っており、作業時間を減らすために業務の分担をするなど配慮された職場では、働く人が自己充足感や達成感が得られます。
それだけではなく、企業から見れば企業の人的資本が効率的に活用されている状態とも言え、生産性やパフォーマンスにもポジティブな影響がでることが想定されます。
関連記事:職場環境の改善アイデア|組織向上への取り組みと成功事例
適正な人材配置をする
従業員エンゲージメントを高めるためには、適切な人材配置が必要です。人材配置が最適化されていることで、従業員が知識・能力を存分に発揮することにつながり組織の活性化や業績の向上に結びつきます。
また適材適所の人材配置は、従業員が上司に正しく評価・理解されていると実感できるので、仕事へのモチベーション向上にもつながります。
人事評価や上司・部下とのコミュニケーションを通じて従業員の能力や将来的なキャリアプランを把握することで、最適な人員配置につなげることができます。
公平性のある人事制度を整える
従業員エンゲージメントを向上させるには、基準を明確にした公平な人事制度の採用が欠かせません。会社に公正に評価されていないと感じると、従業員の会社に貢献する気持ちは薄れてしまいます。
人事制度を通じて社内の評価制度を整えるだけでなく、適切な人事配置や貢献度に応じたボーナスや報奨金を与えることにもつながります。そうすることで従業員は正しい努力が報われると感じるようになり、従業員エンゲージメントが高まることが期待できます。
着実に従業員エンゲージメントを高めるためには、抜本的な改革が必要です。人事評価制度の整備は、その最たるものとして挙げられます。
どのような人事評価制度がベストかは企業規模、社風、事業内容によっても異なります。ただし、企業が従業員に対して人事評価制度の方針を明確に示すこと、透明性、公平性があることなどは、どの制度においても極めて重要です。
報酬・処遇を見直す
報酬や処遇を見直す上で重要なのは、「従業員にとって、目に見える利益を納得できるレベルで享受できているか」ということです。特に、評価の仕方が不公平だ、成果を出しても報酬や評価につながらない、と感じたりすると、ワーク・エンゲイジメントが下がってしまいます。
適切な評価制度を築くためにはまず評価をされる人に対して、評価基準を伝えておく必要があります。評価基準を明確にしておくことで、評価される側もどの点に注力して業務を行うのかの方向性が定まり、また評価内容に関しての認識の違いも減らすことができます。
評価の内容を決める際には以下の要素を意識すると効果的です。
適切な評価は業務へのモチベーション向上だけでなく、上司との信頼関係の構築にもつながります。信頼関係が構築されることによって働きやすさの向上にも効果的です。
【具体的な施策例】
- 何をすればプラスになるのか、評価の基準を明確化して周知する
- 評価の前提となる達成目標を数値で定める
- 誰がいつどのように評価しているのかを透明化する
- 評価の結果を各従業員へ具体的にフィードバックする
- 金一封の贈呈など、高評価を受けることのメリットを従業員に明示する
社内コミュニケーションを活性化する
社内コミュニケーションの活性化は良好な人間関係の形成に寄与し、エンゲージメントの向上はもちろん、業務の円滑な遂行や従業員同士の情報共有に寄与します。企業ビジョンに共感していても、社内の人間関係が良好でなければ、従業員エンゲージメントは低下してしまいます。
円滑にコミュニケーションがとれていない会社では休暇を取りにくかったり、非効率的な作業によって残業が多くなったりと、労働環境にも悪影響を与えるため、エンゲージメントは低下していく一方です。
まずは自社の社内コミュニケーションの活性化度を確認することが重要です。具体的に確認する内容としては以下の4つが有効です。
- 心理的安全性:組織の中で安心して発言できる状態
- ストレスチェック:ストレス度合い
- パルスサーベイ:職場への満足度
- 職場の強みチェックリスト:職場環境
職場の社内コミュニケーションを活性化させるにはいくつかのポイントがあります。
まずは、社内報や社内SNSを通して、お互いを知る機会をつくりましょう。どんな社員がいて、どんな仕事をしているのかを知ることで、コミュニケーションを持つ第一歩とすることができます。
▼社内SNSの関連情報
・Microsoft Yammerの特徴・レビュー紹介
・Chatterの特徴・レビュー紹介
また、コミュニケーションの質を高めるためには心理的安全性を確保することが必要になります。心理的安全性がなければ、いくらコミュニケーションの機会を設けても従業員は本音で交流することはできません。十分確保できていない場合は、個別のヒアリングや配置換えなどを検討する必要があるかもしれません。
コミュニケーションを活性化させるためには、交流を促進する環境作りや、業務に関わらない環境を企業が従業員に対して提供することが重要になります。業務時間内であれば、フリーアドレス制の導入やリフレッシュスペースを確保したり、業務時間外であれば、社内サークルやイベントなどを実施することも有効な手段になります。
エンゲージメントの高い従業員は、業務やほかの従業員との関わりも積極的で、役割以外の仕事への取り組みや、部下への指導など、リーダーシップを発揮した行動を取れます。そのため、社内コミュニケーションを活性化させるために積極的に協力を依頼しましょう。
関連記事:社内コミュニケーションを活性化させるポイント
1on1ミーティングを実施する
1on1ミーティングは1on1とも略されます。
一般的に上司と部下の1対1の会議をさし、困っていることを共有してもらったり注意すべき箇所をフィードバックしたりして部下の成長を促します。
1on1は上司と部下だけの空間でコミュニケーションでき、従業員エンゲージメントに必要な要素3つを満たしやすい特徴があります。
・ビジョンとミッションの確認
・コミュニケーションの活性化
・成果の明示、努力の把握
エンゲージメントの観点から考えると、上記の中でも「コミュニケーション」を重要視していきましょう。
エンゲージメントが低い企業ほど「管理目的」で1on1ミーティングを実施しようとしています。
いきなり育成や管理について実務的な話をしても、相互の(上司と部下)信頼関係がなく、距離が遠い状態では本音が出てきません。
「1on1ミーティング」は部下のために使う対話の時間です。もっとも大切なことは、上司部下の信頼関係づくりができるということです。「ヒアリングを中心にすえること」「部下の考え方を受け入れること」を意識していきましょう。
多様化する価値観や働き方に配慮をする
グローバル化やICTの普及等により、現代では様々な価値観が生まれ、それに伴って働き方へのニーズも多様化してきています。これに伴い、企業にも多様性を認め、一人ひとりに合った働き方ができる就労環境をつくる姿勢が求められるようになりました。また、上記のような価値観の多様化に伴い、投資家のあいだでもESG(SDGs)に取り組む企業に優先的に融資(ESG投資)をする傾向が高まっています。
こうした社会的背景の影響を受けて、いまの企業には利益の向上だけでなく個々の従業員を尊重した経営をすることが求められています。
安心できる職場の仕組みづくり
従業員の家庭環境などはそれぞれ異なるため、誰もが安心して業務に取り組めるような仕組みを整えることが大切です。育児や介護の必要が生じても、この職場で働き続けたいと感じやすくなります。
まず、業務負荷を最適化するようにします。そのため、従業員それぞれが抱えている業務と進捗を可視化できる仕組みをつくりましょう。また、子どもがいる従業員は、子どもの体調不良や学級閉鎖などによって、欠勤・早退などが多くなりがちです。その際、他の従業員が同僚をフォローすることになり、不公平感が生じることがあります。会社が率先して間に入り、別の機会に他の従業員が休めるようにするなど、適切なサポートをしなければなりません。
実際のところ、イレギュラーな欠勤は誰にでも起こり得ることです。そのようなときでも業務が滞りなく進むよう、「各顧客の対応履歴はすべて共有システム上に残す」といった仕組みを事前につくっておく必要があります。
さらに、有給休暇や育児休暇、介護休暇、子の看護休暇を取ることに対し、上司が積極的な姿勢を示すことで、休暇を取りやすい雰囲気を醸成することも必要です。そのほか、時短勤務など柔軟な働き方を可能にするなら、仕事を辞めずに済む人も増えるでしょう。
【具体的な施策例】
- 定時的なミーティングにより、各従業員が抱える業務内容と量を報告する
- プライバシーに関わらない範囲で、育児や介護、持病といった事情を共有する
- 特定の従業員のみに負担が行かないようなフォロー体制を構築する
- 上司が率先して有給休暇や育児・介護休暇などを取得する姿勢を示す
- フォローやサポートがしやすいように、顧客への対応履歴をデータベース化する
成長実感を向上させる
社員ひとりひとりの成長を大切にすることもエンゲージメントを高めることにつながります。自分のキャリアの見通しがつかないような会社に対して、エンゲージメントを高めることは難しいからです。
従業員ひとりひとりが理想のキャリアを築けるよう、今後のステップアップについて明らかにしたり、スキルアップを促すような制度を作ることが大切です。
単に報酬を得る場ではなく自身のスキルアップにつながる職場は、従業員の意欲を高めていきます。
新しいプロジェクトに挑戦できたり、別の分野で新しい経験を積んだり、またはこれまでのスキルを活かせる仕事を任されることで、従業員の自信を育てることができます。
特にテレワークはコミュニケーションが希薄になるほか、周囲に会社関係の目が届かない場所で黙々と業務に取り組むため、従業員エンゲージメントが低下しやすい傾向にもあります。
どの社員も自分の仕事ぶりが認められずフィードバックも得られない状況が続けば、徐々に従業員エンゲージメントは低下していきます。
また、上司からのフィードバックの頻度と働きやすさの関係をみると、フィードバックが全く実施されない場合は働きにくいと感じている者が働きやすいと感じている者より多く、半年に1度よりも高い頻度でフィードバックが行われる場合は、働きやすいと感じている者の割合は横ばいとなっています(令和元年版労働経済の分析)。
今後の行動に関するアドバイスや、行動した内容の重要性や意義についての説明など、よりきめ細やかに充実した内容のフィードバックを行うことにより働きやすさが向上する可能性が示唆されています。
マネジメント層向けにラインケア研修を行う
ラインケア研修は、管理監督者が職場のメンタルヘルスを改善・強化するための方法を学ぶ研修です。厚生労働省は、職場におけるメンタルヘルス対策を推進するため「労働者の心の健康の保持増進のための指針」を策定・公開しました。この指針では、4種類のメンタルヘルスケアとして、「ラインケア」「セルフケア」「事業場外資源によるケア」「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」を紹介しています。このように、ラインケアは、労働者の心の健康の保つために必要不可欠なケアのひとつとして認知されています。
具体的には、ラインケアとは管理監督者が部下のメンタル不調にいち早く気づき、問題が発生している場合に行うケアのことです。管理監督者には、部下からの相談に対応する、心の問題により休職していた部下の職場復帰を支援する、ストレスの多い職場環境を改善するなど、職場のメンタル不調者の増加防止・予防対策の実施が求められています。
職場のメンタルヘルス対策では、問題の早期発見と迅速な対応による改善が重要です。ラインケア研修の主な目的は、職場環境を適切に管理して従業員の心の健康を維持するために、管理監督者がメンタルヘルスに関する知識を習得することです。
ラインケア研修では、メンタルヘルスの基礎知識以外にも、部下の小さな変化からメンタル不調を早い時期に発見する方法や、日々のコミュニケーションで気をつけるべき点、部下の相談に対応する際の注意点などについても学べます。このため、研修によりラインケアを効果的に行うための総合的なスキルが習得できます。
マネジメント層がその状況に適した対応をしなければ却って部下からの信頼を失ってしまうこともあります。マネジメント層向けのラインケア研修も従業員のエンゲージメントを高めるための一つの方法と言えるでしょう。
関連記事:ラインケア研修とは|特徴やメリット、アウトソーシング先一覧
福利厚生を充実させる
従業員が心身ともに健康を維持することで仕事とプライベートを充実させることができると、業務のやりがいを感じられることにもつながります。高いパフォーマンスを保つためには上記のような健康経営の充実をはかるとともに、心身のリフレッシュを福利厚生の面からも支えることができます。
さらに従業員自身の自己肯定感の高まりにも影響を与え、結果的には会社へのエンゲージメントが芽生え、組織に所属して貢献しているという意識が強くなり、職場への定着率が上がります。
また十分な福利厚生があることにより、私生活とのワークライフバランスが充実できることで、さらに人材の定着は見込めます。意欲的に業務に取り組むというゴールに向けて、社員の健康維持を福利厚生でもささえていきましょう。
健康管理
健康管理は従業員からのニーズが高い福利厚生です。従業員満足度の向上が福利厚生導入の目的なら、健康管理を自社の制度に盛り込むことが欠かせません。従業員の健康管理を行い、健康状態を良好に保つことは生産性の向上というメリットにもつながります。
日本経済団体連合会「2019年度福利厚生費調査結果の概要」を見ても、健康・医療関連費の占める割合が多く、健康管理に力を入れている企業が多いことがうかがえます。
健康管理の例として挙げられるのは、以下のようなものです。
- 人間ドックの費用補助
- 健康管理室の設置
- スポーツジムや運動施設の無料または割引での利用 など
【RIZAPの福利厚生サービス】
RIZAPにも福利厚生として利用できる「chocoZAPステーション」というサービスがあります。
chocoZAPだけでなくパーソナルトレーニングジム「RIZAP」、「RIZAP GOLF」や「RIZAP ENGLISH」などRIZAPが展開するブランドに従業員がお得に通うことができるサービスで、多くの企業にご利用いただいています。
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休暇制度
十分に休暇が取れる職場環境は、従業員が心身ともに元気な状態で働くために欠かせません。休暇によって従業員はプライベートな時間を充実して過ごせるようになり、仕事ではやる気やモチベーションがアップするという好循環が生まれます。その結果、従業員満足度や企業全体の生産性向上が期待できます。有給休暇は法律で企業に義務付けられている休暇のため、それ以外の休暇を法定外福利厚生として用意しましょう。
休暇制度の例として挙げられるのは、以下のようなものです。
- 病気休暇
- 慶弔休暇
- 法定日数よりも多い有給休暇
- リフレッシュ休暇
- ボランティア休暇
- 年末年始や夏季の特別休暇
- アニバーサリー休暇 など
エンゲージメントを高める健康経営の取り組み
健康経営を推進することで、従業員の心身の健康につながるだけでなく、企業と従業員間の信頼関係が構築できるため、従業員エンゲージメントの向上につながります。
健康経営とは、健康施策にかかる支出をコストと考えるのではなく、『投資』としてとらえ、従業員の健康を促進することで、組織の活性化や生産性の向上、最終的には業績向上、企業価値の向上を目指します。
従業員一人一人の健康度は働き方と密接に関係しています。残業が多く帰宅時間がおそければ、睡眠時間の減少や食生活の乱れが慢性化し、生活習慣病やメタボリックシンドロームを生み出すリスクは急激に高まります。
企業全体の取り組みとして帰宅時間を早めることにつながれば、睡眠だけでなく家族との時間が確保できたり趣味が充実するなど、心の充実も図ることができます。健康でいきいきとした状態は顧客やサービスへの高いパフォーマンスの発揮につながります。
企業として健康経営に取り組むことは、公私にわたり従業員のQOLに配慮していることを目に見える形にし、従業員自身が実感できる形で示す機会にもなります。
心身ともに健康で生き生きと長く働けることは、従業員のみならず家族や周りの人間関係等にも、豊かな人生を作り出すメリットをもたらします。
そうしたメリットの実感は、従業員が所属する企業や経営陣への信頼を築いていくことにつながります。
そして健康度が高く心が充実している従業員は、自分の能力やスキルを十分に発揮し、新しいことや困難な状況に挑戦する余裕も生まれます。毎日の仕事におけるこれらの積み重ねが、生活習慣病やメンタルヘルス不調の予防に加え、エンゲージメントの向上にもつながります。
ウェルネスプログラムの導入
健康維持・促進や病気の予防を目的とした制度はウェルネス・プログラムと呼ばれ、海外では多くの企業が導入しています。職場のウェルネス市場は近年急成長しており、従業員エンゲージメントを上げるための方法として認識されつつあります。
ウェルネスというのは体だけでなく心の健康も指しますが、心身共に健康になることで幸福度が増幅し、それが生産性や従業員エンゲージメントの向上へとつながり、結果企業の持続的成長をもたらすことがさまざまな研究や事例から分かっているため、経営の柱の一つとして捉えるところが多いようです。
ウェルネスプログラムを導入するにあたり、従業員の時間不足・関心不足による参加率の低さが原因で形式的な制度で終わってしまっているケースが多く見受けられます。仕事で忙しい従業員が継続的にプログラムに参加するためには、「利便性」や「楽しさ」「モチベーション」が欠かせません。
まずは健康セミナーのような参加型のイベントを業務時間内に開催したり、定期的に従業員の興味関心に合わせた健康情報の発信から始めてみるとよいでしょう。
関連記事:ウェルネスプログラムとは?他の健康施策との違い、企業事例
健康セミナーの実施
従業員一人一人の健康度が上がることは組織全体のパフォーマンス向上にもつながります。すでに疾病状態にある層だけでなく生活習慣病の予備軍、健康には問題がなくても身体のコンディションを高めていくなど目的意識を分け、それぞれに合ったセミナー内容を組み立てていくことが可能です。
また、健康に関心のある層だけでなく無関心層にも取り組みを広げていく過程で従業員一人ひとりが健康や運動の重要性を理解し自発的な行動につながるなど、主体性を育むこと効果も期待できます。
また、従業員の健康に本気で向き合ってくれているという企業の姿勢は従業員のエンゲージメント向上の効果をさらに高めることにつながります。
関連記事:健康課題に合わせたセミナーを ❘ 企画~効果検証までを解説
ウェアラブルデバイスやITツールの活用
日本でも様々なウェルネスプログラムを導入しているところが多いですが、従業員の時間不足・関心不足による参加率の低さが原因で形式的な制度で終わってしまっているケースが多く見受けられます。
仕事で忙しい従業員が継続的にプログラムに参加するためには、「利便性」や「楽しさ」「モチベーション」が欠かせません。
そこでウェアラブルデバイスやITツールをを活用することで、ウェルネスプログラムの持続をサポートしてくれます。ウェアラブルデバイスを装着するだけで簡単に健康管理ができる上に、ゴールや進歩が明瞭で持続しやすいため、ウェルネスプログラムを毎日の習慣にすることも可能です。またプログラムの達成度や1日で上った階段数、運動時間などに応じて、インセンティブポイントを獲得する取り組みなどにもつなげていくことができます。
健康機器の提供
従業員が自ら健康状態を把握することで、自然に自己管理できるようになり、健康意識を高めるきっかけになります。運動や健康に役立つ機器を提供することで、きっかけ作りやモチベーションの維持、生活習慣の改善、体力の向上などに役立ちます。運動や健康に役立つ機器を提供することで、きっかけ作りやモチベーションの維持、生活習慣の改善、体力の向上などに役立ちます。
【健康機器の例】
- 体重計
- 歩数計
- ウェアラブル端末(スマートウォッチ等)
- ジム用品(ダンベル等)
健康管理サイト・アプリの提供
健康管理を目的としたサイトやアプリを活用すると、自分で体重や体脂肪などの情報を測定して記録できます。従業員が自ら健康状態を把握することで、自然に自己管理できるようになり、健康意識を高めるきっかけになります。
このようなサイトやアプリは既存のものが豊富にあるので、自社で開発する必要はありません。健康状態だけでなくストレスチェックが行えるものなど、アプリによってさまざまな機能があるので、自社に適したものを選びましょう。
オンラインプログラムの実施
テレワークやコロナ禍といった環境・状況の変化に、従業員はこれまでにない心的ストレスや身体的不調を感じていても、業務優先で体調管理が二の次になってしまうなど、個人では対処しきれていない現実も伺えます。
加えて外出制限などによって、運動やリフレッシュをすることが難しいという側面もあるでしょう。
コロナ収束後もリモートでの働き方が常態化していくと考え、テレワークでも運用できる健康経営のあり方を打ち出し対応する必要があります。
そんな中、有効な施策として認知されつつあるのがオンラインプログラムです。
オンラインプログラムは現在、セミナー形式にとどまらず従業員が自宅にいても講義やアプリ、グループトレーニングを兼ね備えた短期間目標達成グループワークであったり、仕事の合間に5~10分体を動かすトレーニングプログラム、配信型のE-learningなど昨今のテレワーク事情にも対応できるプログラムが増えてきています。
※RIZAPのウェルネスプログラムはこちら:https://business.rizap.jp/service/wellness/
若年層への特定保健指導を推進
平成20年から始まった特定健診・特定保健指導の取り組みは年々実施する企業が増えているものの、2019年度には特定健診は55.6%、特定保健指導は23.2%とそれぞれの目標にはまだまだ及んでいません。
参照:厚生労働省「2022年度 特定健康診査・特定保健指導の実施状況について」
特定保健指導は、生活習慣病の予防のため個人個人を対象に実施されるプログラムですが、40歳になってから実施するよりも、若年層に対しても実施を検討することで「企業の健康施策」を検討するなかで重要な視点を手に入れることができます。
40歳以上の特定保健指導であっても、健康数値の悪化の原因を個人のいち状況にとどめず全体の傾向として把握・対策につなげていくことは可能ですが、すでに若年層のうちから健康数値悪化の傾向がでていることは多々あり、数値の悪化の度合は少数であっても生活習慣として改善していくことは年々難しくなっていく傾向にあります。
若年層の特定保健指導を実施することで、健康数値が悪化する瞬間をつかむことができるだけでなく、その傾向を今後の組織の施策全体に活かすことできる一助になる可能性が高いと考えられます。
特定保健指導資料(無料)のダウンロードはこちら
RIZAP特定保健指導の導入事例①:改善率89.7%・特保対象からの脱却率75.9% シチズン健康保険組合様の事例
RIZAP特定保健指導の導入事例②:本気で生活習慣を改善したい対象者に向けて導入 株式会社ダイキン工業健康保険組合様の事例
RIZAP特定保健指導の導入事例③:特定保健指導実施率が3年で2.5倍 コスモスイニシアグループ健康保険組合様の事例
エンゲージメントを高めるための取り組み事例
ここでは、様々な企業でエンゲージメントを高めることに成功した事例をご紹介します。
株式会社ベネッセホールディングスの事例
ベネッセホールディングスでは健康経営を推進しており、その取り組みの効果もありエンゲージメントである「社員の働きがい」スコアが3年間で約4ポイント増加しています。
ベネッセホールディングスは、比較的若い従業員が多く、病気の人が多いわけではありませんが、生活習慣病予備軍については気を付ける必要があり、生活習慣病の予防としてポピュレーションアプローチをいろいろ実施してきた過去がありました。
しかし、健康無関心層が集まらず毎回関心のあるメンバーしか集まらないなど健康施策に関して苦戦を強いられている現状を変えるため、RIZAPの健康セミナーの導入を実施しました。
参加申し込み人数は翌年に4倍、翌々年には9倍もの推移を遂げる結果となりました。
2年間で9倍の参加申込数の増加を達成し、健康風土醸成につながっていると考えられます。また、健康や運動への取り組みが定着し自発的な動きがでてきました。
健康施策の推進等の効果の指標として、組織風土調査における「社員の働きがい」のスコアを現在の60%から70%への改善を志向していますが、2018~2021年の3年間で64.7から68.2に向上していることから、従業員のウェルネスプログラムを推進することは従業員のエンゲージメントの向上にも寄与できてきているものと考えられます。
ベネッセホールディングス様の事例紹介のダウンロードはこちら
株式会社 福井の事例
大阪府堺市に本社を構える「株式会社福井」は、創業100年を越える金物製造卸売業の老舗企業で、金物店やホームセンターへの卸売りに加えて、近年はインターネット等での販売を中心に農業用ハサミ等の農業園芸資材を主力商品とした事業活動を進めており、従業員は65名(うち正社員は37名)となっています。
2016年以降離職者が断続的に発生する状況に強い危機感を覚えたため、ビジョンの策定やワーク・エンゲイジメントの測定システムを導入しました。
すると物流センターの従業員のスコアが相対的に低いことに気づき従業員の増員を実施したところ、物流センターの離職が止まるなどの効果が得られたそうです。
また階層別に「1on1」を多く実施し始めた結果、ワーク・エンゲイジメント・スコアの改善としても表れ、さらに離職率が急激に低下する結果になりました。
株式会社 FICCの事例
東京都港区赤坂に本社を構える「株式会社FICC」は、データに基づくブランドマーケティングを提供するデジタルエージェンシーで、戦略立案から施策実行まで一貫してサービスを提供しています(従業員は正社員53名)。
同社が、ワーク・エンゲイジメントという概念に着目するようになったきっかけは、当時の現場社員からの経営陣への提案でした。
ワーク・エンゲイジメントをしっかりと考えていくことで、離職率が低下する効果に加えて、会社の生産性も向上し、企業の成長にもつながる可能性があることについて、同社の取締役に対するプレゼンテーションを行いました。
結果として、経営陣からの賛同を得て、ワーク・エンゲイジメントの向上を社内プロジェクトとして進めることが決定され、2017年8月よりワーク・エンゲイジメントの測定システムが導入されました。
ワーク・エンゲイジメントを向上させるための取組の一つとして、現場社員全員が参加可能である「ワークショップ」を実施しています。
ワークショップにおいて最優秀となったプロジェクトについては、会社から資金を提供し実際に事業として実行に移しており、現場社員に裁量性を持たせています。また、全社横断的な取組は「みんなで会社を作っている」という仲間意識の醸成とともに、会社として、社員一人ひとりの提案・意見に耳を傾け、内容次第で採用していく姿勢にあることを改めて共有するための機会となっています。
結果的に課題であった離職率については改善傾向がみられるようになりました。さらに、現場社員からは、「チームが良くなっている」といった声も聞こえてきています。
Sansan株式会社の事例
東京都渋谷区神宮前に本社を構える「Sansan株式会社」は、名刺を主軸とし、法人向けクラウド名刺管理サービスと個人向け名刺アプリの2つのサービスで事業を展開しています(従業員は477名、うち正社員422名)。
2017年4月よりワーク・エンゲイジメントの測定システムを導入し、チーム単位でみたワーク・エンゲイジメントの測定を始めたことを契機に「チャージ休暇」といった取組を開始しました。
チャージ休暇は、生産性を向上させるための休み方に着目した制度で、日々の疲れを回復させ、エネルギーをチャージすることを目的として、7~9月の間に連続3日間の休暇が取得できる制度です。取得対象者の取得率は9割を超えています。
チャージ休暇の取得期間後の8月から10月における「健康」「組織風土」をみると1~2%ポイントのスコア上昇が確認され、休暇取得によって疲労が回復し、エネルギーがチャージされたことと、休暇取得に向けて、チーム内での相互の協力体制が整備されたことによる影響があると考察しています。
企業規模が拡大する中で、従業員を「点(個人)」としてだけではなく、「面(チーム単位)」としても捉えていくことが、ひいては、組織としてのパフォーマンスの向上につながっていくと考え、定期的にワーク・エンゲイジメントを測定し、課題が生じている点を「見える化」することで、組織に今足りないものに向き合い、更なる組織改革に挑戦しています。
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近年、人手不足や離職率の増加、メンタルヘルス不調への課題などから、従業員エンゲージメントを高めることの重要性が増しています。従業員のエンゲージメントを高める方法について、どのように取り組もうか検討しているご担当者様も多いのではないでしょうか?
そこで従業員のエンゲージメントを向上する取り組みとして、法人向け「RIZAPウェルネスプログラム エンゲージメント向上へ」をお届けします。
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