メンタルタフネスとは
メンタルタフネスとは、心のコンディションを整えるテクニックを指します。
メンタルタフネスが鍛えられると、困難な状況下でも悪い感情に振り回されず解決に向けて行動できるようになります。自分の能力を最大限に発揮するためには、コンディションを調整する力が必要です。
企業にとっては、従業員のメンタルタフネスを鍛えることで人材の流出を防ぎつつ、企業の健康経営にも役立てることができます。メンタル不調の従業員への対策にも、メンタルタフネスは有効です。
レジリエンスとの違い
レジリエンスとは、困難な状況に陥ったときに、精神的に回復する力のことです。
メンタルタフネスが「悪い考えに振り回されない」+「行動を起こす」の2つの即自的なテクニックとすると、レジリエンスは強いストレスに対する受け取り方を変えていく、意識改革のことを意味します。
メンタル不調に効果的な理由
メンタル不調になると精神障害やストレス・強い悩み・不安などの症状が発生し、ひどいときには退職にまで及ぶこともあります。
メンタルタフネスを鍛えることによって、ストレスに対処できるようになり自己肯定感が高まります。るため、メンタル不調に陥りにくく、万が一不調を感じても回復しやすい体質になるため、メンタルヘルスの一次予防に適しています。
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近年労働者の受けるストレスは拡大する傾向にあり、メンタル不調は重点的な対策が必要とされています。不調を訴える人の数が増えれば部署、事業部、企業全体の生産性の低下を招き、業績不振にも繋がっていきます。自社のメンタルヘルスに課題を感じ対策を模索されているご担当者様も多いのではないでしょうか?
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ビジネスパーソンに必要な理由
ビジネスパーソンが仕事でさまざまなストレスに直面したとき、メンタルタフネスを持つ人はマイナス面にとらわれず、困難な状況を解決するように動くことができます。
メンタルタフネスが一人ひとりのビジネスパーソンにどのようなメリットをもたらすのか、具体的に見てみましょう。
ストレスとの向き合い方がわかる
メンタルタフネスを鍛えることによって、ストレスに対処するさまざまな方法を身に着けることができます。
ストレスとの向き合い方は、人によりさまざまです。メンタルタフネスを鍛えることによって、自分に合ったストレスとの向き合い方ができるようになります。
メンタル不調の予防となる
メンタルタフネスを鍛えることによって、メンタル不調の予防にもつながります。ストレスに対処できるようになるため、小さなストレスを早い段階で解決していけるからです。
ストレスは知らない間に蓄積し、メンタル不調へとつながりがちです。早めの対処が重要ですが、メンタルタフネスを身に付けることにより、ストレスをその日のうちに解消したり、体を休めたりといった的確な判断が可能になります。
関連記事:メンタルヘルス不調とは? 症状や原因について解説
モチベーション高く仕事ができる
メンタルタフネスを身に着けている人は、困難な状況に対処することができ、自己肯定感も高まります。実績が積み上げられてくると仕事へのモチベーションが高まり、さらに個人の生産性が高まります。
精神的な余裕があるので、難しい仕事でも乗り越えて成長につなげることが可能になります。また、イレギュラーな事態が起こっても前向きに対処する自信があるので、新しい仕事に挑戦しやすくなります。
関連記事:【企業事例】仕事のモチベーションを向上させる方法とは?
周囲の協力を得られやすい
メンタルタフネスが鍛えられていると、人は人、自分は自分という考え方ができるので、周りの顔色をうかがうということもありません。
意見の異なる人に対しても自信をも持って公平に接することが可能になり、周りの人の信頼を得やすくなります。困ったときは協力を頼みやすく、周囲も気軽に応じてくれるようになります。
自分の能力が最大限発揮されやすい
メンタルタフネスが高いと、自分の能力を最大限に発揮できるようになります。メンタル不調が減り、仕事へのモチベーションがアップし、周囲からも協力を得やすい環境が整うと、その人の能力は最大限に発揮されます。
メンタルタフネスを鍛えることによって、組織への貢献度も上がります。能力を認められることでさらに自己肯定感が向上し、好循環が生まれます。
組織にもたらすメリット
従業員のメンタルタフネス度が高まれば、メンタル不調者が減り、エンゲージメント・生産性の向上につながります。具体的にどのようなメリットがあるのかを解説します。
メンタル不調を未然に防ぎ、不調者の増加防止への手立てとなる
メンタルタフネスを高めることによってストレスに対してうまくに対処できるようになるため、メンタル不調を未然に防ぐことができます。
メンタル不調を訴える従業員が減り、不調者が出にくい環境にもつながります。
関連記事:【まとめ】職場のメンタルヘルス対策の具体例|事例と取り組み方
エンゲージメントの向上につながる
メンタルタフネスがあると自己肯定感が高まり、自信をもって仕事に取り組めるようになります。そうすると、連帯感・組織への愛着といったエンゲージメント向上につながります。
メンタルタフネスを鍛えることによって、自分とは異なる他人の考え方を受け入れやすくなります。さらに、社内のコミュニケーションが円滑になると、人間関係のストレスも軽減します。
関連記事:エンゲージメントを高める方法とは|企業の施策と取り組み事例
生産性向上につながる
メンタル不調が減りエンゲージメントが向上すると、組織としての生産性がアップします。メンタル不調で退職・離職する従業員が減り、人手不足が解消されるからです。
また、一人ひとりが意欲的に業務に取り組めるようになることで、個人の生産性も上がります。メンタルタフネスの向上は、企業や組織にとって大きな力につながります。
関連記事:生産性とは?向上につながる取り組み事例、課題
従業員一人ひとりが実践できるメンタルタフネスの鍛え方
実際に、どのような行動をとるとメンタルタフネスを鍛えることができるのかを解説します。一人ひとりが実践できるメンタルタフネスの鍛え方、組織として支援できることを考えることがポイントです。
ネガティブな表現をポジティブな表現に変換してもらう
ネガティブな表現をポジティブな表現に変えるだけで、メンタルタフネスは鍛えられます。ポジティブな表現を増やすには、その日の出来事を書き出して、表現をポジティブに変えていくことを習慣づけましょう。
誰かに失敗やミスがあったとき、次へのステップになるよう周りの人たちがフォローする意識も重要です。
例えば、タスク漏れがあった場合には、ただ責めるのではなくは「仕事の方法について考えるチャンスだと伝えます。そのような声掛けを重ねることにより、社内にポジティブな表現が根付いていき、従業員一人ひとりの意識が変わっていきます。
次第に、ケアレスミスを指摘された場合にも「工夫を積み重ねることで事前にケアレスミスをうまく回避できるようになる」と自ら考え失敗を次の成功につなげられるようになることが期待できます。
ポジティブな目標設定をしてもらう
メンタルタフネスを鍛える上で、ポジティブ思考であることはとても重要です。ポジティブに物事をとらえられれば、問題が発生しても「成長のチャンス」と考えられるからです。
目標設定の際は、目先の達成しやすい目標になるよう、上司から声かけしたり、チームで取り決めを行ったりしましょう。成功体験を重ねることによってポジティブ思考が定着し、さらに成長する原動力となります。
目標設定の具体例としては「〇〇時までに資料を作る」「メールの返信はなるべく1時間以内に」などが挙げられます。
ポジティブな目標設定をするには、達成可能な目標を設定し、成功体験を積み重ねていくのが効果的です。
小さな成功体験を積み重ねられる環境を作る
小さな成功体験を積み重ねていくには、周りの理解と支援がある環境作りも大きなポイントとなります。
目標を達成したときには褒めてあげることが大切です。そのためには一人ひとりの目標を、周囲の上司や組織が把握する必要があります。いきなり大きな課題を与えるのではなく、個人の目標を周りの人達が把握し、時にはフォローしながら見守ってあげることが大切です。
さらに、仲間同士で成功体験を喜び合ったり、協力したりすることも非常に有効です。
関連記事:職場活性化の具体的なアイデア|事例、取り組みの進め方とは
自分の思考の癖を知る機会を提供する
自分の思考の癖は、メンタルタフネスに大きく関わります。
完璧を追及してしまったり、ついネガティブ思考に走ってしまったり、周りに影響されやすく人と比べてしまうなど、誰にでも無意識に行っている思考の癖というものがあります。普段からどのような状況で思考の癖が出てしまうのか、向き合うことが大切です。
一人ではわかりづらいので、1on1やグループミーティングなどの際に周囲が指摘してあげる方法も有効です。全員で攻めたり癖を否定したりするのではなく、前向きに考えられるような言葉で伝えることが重要です。
関連記事:セルフケアの具体例|基本、必要性、職場のメンタルヘルス対策
従業員の強みを引き出す管理者の育成をする
企業やグループなどの組織は、従業員のメンタルタフネス向上のため、サポートする管理者の設置を行うことも大切です。管理者の役目は従業員のメンタルタフネスをサポートすることや、モチベーションの引き上げなどです。
従業員の強みを引き出す管理者の設置のためには、人材の育成も必要です。目標設定や達成までの見守り、声かけなどが適切にできる人材は企業にとって強みになります。また、メンタルタフネスに関する情報発信や、スキルアップのトレーニング方法、評価基準の設置なども有効です。
関連記事:モチベーションマネジメントとは|社員を動機づけする施策例
自分の気持ちや状況を言語化する機会を設ける
ストレスの軽減やネガティブ感情の軽減には、感情のラベリングが効果的です。感情のラベリングとは、ひとつひとつの感情にラベルを貼るように名前を付けて区分し、感情を言語化することです。
感情を具体的な言葉にすると「偏桃体(恐怖心や攻撃性を司る脳の部位)」の活性化を抑えることにつながります。紙に書くだけでなく声にして出すと、より自分の気持ちや状況の理解が深まります。
ミーティングの機会を設けるなど、企業側が積極的に感情を言語化する機会を用意することによって、メンタルタフネス開発のサポートにつながります。ミーティング以外にも従業員同士が気軽に話をする時間を設けたり、傾聴の必要性を促すことも有効です。
ストレスの要因を分析・理解する時間を確保する
メンタルタフネスを高めるためには、ストレスの要因を分析・理解することも大事なステップです。人によって何がストレスと感じるかはさまざまです。ストレスを感じやすい環境や状況を分析・理解することで、徐々に自分なりのストレス要因がわ分かってきます。
ストレスを分析するためには、休息やリラックスできる時間が必要です。休日や休憩が少ないとストレスは積み重なってしまうので、就業時間内に自由に休憩を取れる環境づくりや十分な休日の確保を行い、ストレスについて考えたりリラックスできる時間を設けたりすることが大切です。
また、ストレスチェックなどの機会を利用して分析結果を確認してみてもよいでしょう。
関連記事:ストレスチェックとは?対象者、目的、メリット、実施方法
自分に合ったストレス解消法を見つける支援をする
ストレス解消法と言われているものには、運動や散歩、睡眠など、色々なものがあります。しかし、何がストレス解消につながるのかは、人によって異なります。まずは自分に合ったストレスの解消法を見つけることが重要です。
自分に合ったストレス解消法を発見しやすくするためには、情報や場所の提供などを行い支援することが有効です。休日の過ごし方について話し合ったり、職場に本や雑誌、健康グッズなどストレス解消につながるアイテムを備えたりすることもおすすめです。
運動習慣を定着させる
メンタルタフネスを鍛えるために見落としがちなのが、体力づくりになります。精神面のケアにばかり気を取られ、精神を支えるのが身体であることを忘れてしまいがちです。
運動は一時的に行えばよいわけでなく、習慣化させなければ意味がありません。従業員が一定時間以上の運動を長期的に行っていくには、オフィスの環境や制度を整える必要があります。
運動機会の促進と習慣化に向けて、下記のような施策を検討していきましょう。
- 階段の積極利用の促進
- 会議や研修などで身体活動や運動を取り入れる
- 朝礼の際にラジオ体操を取り入れる
- ウォーキングイベントを継続的に実施する
- 運動会などのスポーツイベントの実施を繰り返す
- 運動サークルの運営
- 徒歩や自転車での通勤環境の整備
- スポーツクラブへの補助金、福利厚生の整備
関連記事:運動不足解消の3ステップ!デスクワークの健康問題と対策筋トレ
企業でのメンタルタフネスの取り入れ方
企業がメンタルタフネスを取り入れていくには、どのような方法や施策があるのかを解説します。
研修・セミナー
メンタルタフネスの考え方を社内に周知させるために、研修やセミナーを開催する方法があります。社内外の講師による解説を聞くことで、より具体的に理解できます。
従業員向けの研修・セミナー以外にも、管理者が自分のチームでメンタルタフネス開発を実践していくためのコースもあります。短いコースなら1日で完結するものもあり、他にも3カ月、6カ月、通学コースなどさまざまな選択肢があります。予算・人数などにあわせて選ぶのがおすすめです。
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RIZAPメソッドに基づく座学とトレーニングを組み合わせたセミナープログラムを実施することで、メンタルヘルスの課題解決だけでなく健康増進や社内コミュニケーション活性化、リフレッシュを促し、組織力の向上、ひいては企業価値向上を目指します。
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運動機会の増進
従業員が個人的に行う運動以外に、企業が支援して運動機会を設けることも有効です。個人で続けることが難しくても会社のサポートがあると、運動機会が自然に増進します。
ジム通いをサポートするために平日の定時退社を促したり、社内の運動スペースを設置したりするのはもちろん、会社周辺のジムや施設を紹介するのもおすすめです。
定期的に社内で運動に関するイベントを企画することで、楽しみながら運動する機会を設けることも効果的です。ジム通いが辛いという人も、遊びながら運動をすることで苦手意識の改善につながります。
関連記事:健康経営を推進する運動の取り組み|企業事例と具体例
福利厚生で運動の定着・習慣化を後押しする
運動のキッカケとしてイベントやセミナーの開催、機器の配布などをするだけでなく、運動が習慣化しやすい環境整備をすることが長期的な運動不足解消の施策として欠かせないでしょう。
その一つの方法として、福利厚生での運動機会促進が考えられます。運動不足の解消のためにジムに通う従業員は積極的な一部の社員にとどまることが多いですが、福利厚生としてスポーツジムにお得に通える環境整備を行うことで、一人でも多くの従業員がスポーツジムに通うことを後押しすることにつながります。
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コラム等の情報配信
社内報やコラム、自社ホームページでの情報発信も大切です。メンタルタフネスに関する基本的な情報から、メンタルタフネスを向上させるメリット、鍛え方をわかりやすく発信しましょう。常に正しい認識を促すことによって、従業員の実践に役立てることができます。
常に目が入る場所に、メンタルタフネスに関する書籍や雑誌を置いておくこともおすすめです。従業員がその気になった時に、必要な情報が手に入る環境作りが重要です。
1on1やチームミーティングでの実践
1on1やチームミーティングで、メンタルタフネスについての時間を設けることもサポートにつながります。個人それぞれの目標設定や成果発表だけでなく、悩みの相談などを気軽に行える雰囲気作りが大切です。
ミーティングの場で問題を共有することで、他の従業員の意欲向上に貢献できる可能性もあります。お互いに結果を讃えあったり、意見を交換しあったり、社内全体でメンタルタフネスに取り組んでいるのだと実感することが、大きな成果につながります。
メンタル不調を未然に防ぐ施策例
メンタルヘルス不調を未然に防止、予防することを一次予防といいます。メンタルヘルスに不調をきたすことのないよう、職場や業務に起因するストレスを未然に防止する段階です。
従業員がメンタルヘルスケアを必要とする状況になる前に、企業としてメンタルヘルス不調を未然に防ぐことが大切です。メンタルヘルス不調の予防につながる取り組みを紹介します。
解決すべき課題を特定・目標設定・実施計画を練る
効果的なメンタルヘルス対策を実施するためには、まずはどこに問題があるのかを特定することから始めます。ストレスチェックや従業員サーベイなどを活用すると、解決すべき課題を客観的に見つけることが可能です。課題を特定したら終わりではなく、課題を踏まえて目標設定・実施計画まで行い対策を実施しましょう。
課題を特定する
課題を特定する方法としては、ストレスチェックや従業員サーベイ等が考えられます。
心の病を抱えるのは若手だけではありません。そのため、健康診断の結果分析だけでなく、全従業員を対象としたアンケートを実施し、その結果を活用し現状把握を正しく行う必要があります。
健康計画・目標設定をする
メンタルヘルス対策は、中長期的視点に立って、継続的かつ計画的に行われるようにすることが重要でその推進に当たっては、事業者が従業員の意見を聞きつつ事業場の実態に則した取り組みを行うことが必要です。
事業場内産業保健スタッフ等が一次予防~三次予防まで気を配り、中心的な役割をしながら実施していくために、衛生委員会等において十分調査審議を行い、「心の健康づくり計画」を策定することが必要です。
セルフケアを強化する
従業員のメンタルヘルスを考える中で最も重要なのがセルフケアです。「セルフケア」は、従業員が自分自身で行うメンタルヘルス対策を指します。
セルフケアは従業員一人ひとりが自らのストレスを予防し、気付いた時に適切に対処することです。簡単そうですが実は正しい知識がないと適切に対処できません。
例えば、体や気持ちに異変が生じていても「今の自分は、うつ病かもしれない」と、自発的に気付いて対応できる従業員ばかりではありません。また異変の度合いや、生じる症状や頻度は、人によってそれぞれであるため、判断が難しい場合があります。
このセルフケアが十分にできれば、不調を未然に防いだり、重度に至る前に対処でき、組織全体でストレスへの対応力が強化されることとなります。また不調を感じた場合も重症化することなく改善できれば、企業にとってのダメージも軽減できます。
ストレスの認知や、その反応に自ら気付くためには、従業員一人ひとりがストレス要因に対する反応や、心の健康について理解するとともに、気付こうとする姿勢が必要です。自ら気付き、対応する「セルフケア」を適切にできるようになるには、教育研修の機会を設けて、意識を高めていくことが重要です。
関連記事:企業で実践するセルフケアとは?個人・職場での取り組み例
健康リテラシーを高める
全ての健康問題に影響すると考えられている健康リテラシーを高めることは、メンタルヘルス対策にも有効です。健康リテラシーを高めることで「健康意識を高めること」につながるのです。
メンタルヘルス対策を実施する際にも健康リテラシーの高い従業員に対して施策を実施することで効果が最大限に高まります。
健康リテラシーとは、「自分に必要な健康情報を入手し活用する能力のこと」です。健康リテラシーが高いと正しい情報を理解でき、自身の健康状態に応じて活用することができます。
例えば、健康診断などで疾病の早期発見や、重症化する前に軽症の段階で治療できることもあるでしょう。あるいは健康な方の場合は、維持増進のために、積極的な取り組みを行うなどの工夫ができます。
健康リテラシーを身につけ、セルフケアを従業員自身がすすめられることで健康状態が改善されアブセンティーイズムやプレゼンティーイズムの改善につながり、結果的には労働生産性の向上にもつながります。
高い健康リテラシーを身に着け、適切な行動ができる従業員が増えることで、社内全体の健康レベルは底上げされます。
関連記事:従業員の健康リテラシー向上策を知ろう
運動習慣を定着させる
運動することでセロトニンの分泌が増加し、興奮やイライラを鎮めることで心の安定につながります。また、睡眠の質を向上させるメラトニンも分泌されるため、運動の継続はメンタルヘルス対策に効果をもたらすことが期待されるのです。
また運動で体を動かすことは、精神的ストレスの発散にもつながります。「疾病予防および健康に対する身体活動・運動の効用と実効性に影響する要因」で記載されている身体的な効果は2つあります。
- ストレスの解消、うつ病の予防・改善に有効
- シェイプアップし、自己イメージが改善
運動によってストレス発散やセルフイメージ・自信の向上ができると、仕事面においても、集中力や目標達成能力の向上といった良い影響を及ぼします。また、従業員同士で運動不足解消に取り組むことは、従業員同士のメンタルヘルス維持やコミュニケーション促進にも効果的です。
関連記事:運動とメンタルヘルスの関係とは?有効性と従業員への取組み
運動機会の促進にあたり、研修会内での運動イベントの実施など単発の施策に加えて、運動習慣の定着に向けた継続的な施策も同時に行うことが重要となります。
▼実施施策例
- ウォーキングイベントへの実施
- 運動会などのスポーツイベントの実施
- ラジオ体操の実施
- 運動サークルの運営
- 徒歩や自転車での通勤環境の整備
- スポーツクラブへの補助金
- 福利厚生の整備
- 運動セミナーの実施
関連記事:健康経営を推進する運動の取り組み|企業事例と具体例
食生活の改善を後押しする
適切な量とバランスの良い食事は運動習慣と並んで従業員の心身を活性化し、業務のパフォーマンスをあげる取り組みとして欠かせません。職場において、従業員が自ら正しい食事を選べるように、継続的な情報提供や実践活動、サポートが必要になります。
▼実施施策例
- 社食などで健康づくり支援メニューを提供・栄養素やカロリー等の表示
- 健康に配慮した食事・飲料の提供や補助
- 外部事業者等の栄養指導・相談窓口の設置
- 食生活改善アプリ提供等のサポートの実施
- 特定保健指導の実施
- 食事セミナーの実施
関連記事:健康経営を左右する食生活改善の取り組み、企業事例
休養を見直す
長時間労働は過労死やメンタルヘルス不調につながります。企業はリスクマネジメントの視点からも、長時間労働によって従業員の健康が損なわれないように、時間外労働の削減や、有給休暇の取得促進、福利厚生の充実等を行う必要があります。
▼実施施策例
- 有給休暇取得目標の設定
- ノー残業デーの導入
- 残業を事前承認制にする
- 勤務間インターバル制度を導入する
- 業務繁閑に応じた営業時間を設定する
- 健康増進となる福利厚生を導入する
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職場環境を改善する
従業員が1日の多くの時間を過ごす職場環境が悪いと従業員に大きな負担がかかり、企業の生産性低下にもつながりかねません。上記の点で改善を図り、従業員が働きやすい快適な職場環境を形成する配慮義務が事業主にあると「労働安全衛生法」には定められています。
職場環境とは、単に作業をする場所そのものに限られません。作業方法や疲労回復するための設備なども、職場環境に含まれています。
- 人間関係:コミュニケーションなど
- 業務環境:空調照明など~設備レイアウトなど
- 業務内容:裁量権、負荷の量、労働時間
ストレスチェックの結果によって、これらの職場環境の必要性と改善のための対策が浮き彫りになります。ストレスチェックを形骸化することなくメンタルヘルス対策の一次予防として生かすことで働く環境が整い、従業員一人ひとりがパフォーマンスを最大限発揮できるようになります。
関連記事:職場環境とは|改善するアイデアと具体例、取り組み事例
健康経営を推進する
ここまで見てきたようなメンタルヘルス対策に加え、より効果的に対策を実施するために、近年重視されている「健康経営」の視点を取り入れることも大いに役立ちます。
健康経営とは、『従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する経営手法』です。
参照:経済産業省「健康経営」
あくまで企業が用いる経営手法ですので、従業員の健康を促進することは手段であり、目的は組織の活性化・生産性の向上であり、最終的には業績向上、企業価値の向上を目指します。
職場で健康プログラムを実施することで従業員の行動変容をもたらします。最も効果を発揮するのは各施策の単発での実施ではなくに提供されるのではなく、組織の戦略の中心に位置づけられ継続的に実施されているときです。
健康経営として健康プログラムの推進やメンタルヘルス対策を練ることで、事故や傷病予防だけでなく、ストレスの要因への対処や適切なワークライフバランスの達成が可能になります。
健康経営の取組みとして、「メンタルヘルス不調者への対応」や「特定保健指導の推進」など従業員の健康増進につながる項目が含まれています。そのため、健康経営と併せてメンタルヘルス対策を推進することで、より効率的に従業員の健康を保持・増進ができ、生産性の向上へ取り組み効果を最大化することができます。
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関連記事:【徹底解説】健康経営とは?
まとめ
メンタルタフネスは困難な状況に陥ったときに、悪い感情に左右されずに解決に向けて行動できる能力です。また、メンタルタフネスを高めることはストレスを軽減するだけでなく、仕事へのモチベーションアップや、企業の生産性にもつながります。
この記事を参考に、メンタルタフネスの向上にぜひ取り組んでみてください。
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