従業員の健康への取り組み│必要性とメリット・事例を紹介

近年、日本では企業戦略として従業員の健康管理を行う「健康経営」に取り組む企業が増えています。

本記事では、なぜ今日の企業において健康経営が必要とされているのか、その社会的背景や具体的な取り組み事例などを解説します。

健康経営の導入を検討中の企業はぜひ参考にしてください。

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目次

企業に求められる安全配慮義務

「従業員の健康管理は従業員自身が行うべきだ」という考えがあるかもしれませんが、企業には労働契約法第5条において従業員の心身の健康や安全を守る「安全配慮義務」が課せられています。

<労働者の安全への配慮>
第五条
使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

これは、企業が健康経営に取り組む上で必ず理解しておかなければならない項目です。安全配慮義務に関連する具体的な義務について解説します。

参照元:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=419AC0000000128

適正労働条件措置義務

適正労働条件措置義務は、従業員が過重労働によって心身の健康を損なわないように、労働条件を適正に整備する義務です。

例えば、労働時間・休憩時間・休憩場所・人員配置などの条件が該当します。

健康管理義務

健康管理義務は、従業員の心身における健康状態を企業が把握・管理する義務です。

労働安全衛生法では、雇用時や1年ごとの健康診断を企業に義務づけています。また、健康診断の結果で従業員に何らかの健康問題が発見された場合、企業はその従業員に適切な措置を講じることが求められています。

適正労働義務

適正労働義務は、従業員の健康状態や持病、病歴などに配慮した上で業務を割り振る義務です。

従業員の健康を無視して仕事をさせることは安全配慮義務違反に該当します。心身の不調や持病などを考慮した上で業務を配分する必要があるほか、不測の事態に備えてバックアップ体制を整備することも求められます。

看護・治療義務

看護・治療義務は、従業員が業務によって心身の健康を損なった場合、企業が責任を持って看護や治療を行う義務です。

健康被害と業務の因果関係が明らかな場合はもちろん、その可能性が想定されるだけの場合にも求められます。

従業員の健康管理のメリット

企業が従業員の健康管理を適正に行うことは、法律上の義務であるだけでなく、労働生産性の向上や企業イメージのアップ、株価の向上など、企業にとっても経営上のメリットがあります。

健康経営は、このメリットに着目し、企業戦略として従業員の健康増進を図る施策です。

なぜ現代の日本において健康経営が重要視されているのか、その社会的背景や具体的なメリットについて解説します。

健康経営が推進される社会的背景

健康経営が日本において重要視されるようになった社会的背景としては、急速に進行している少子高齢化問題が第一に挙げられます。

経済産業省が公表する「健康経営の推進について」によれば、このまま少子高齢化が進行していけば、日本の人口は2050年には9,708万人と1億人を割り込み、2100年には4,959万人まで減少する見込みです。高齢者の人口比率も2050年時点で38.8%と、約4割に迫ることが予想されています。

このような状況では当然ながら労働人口が減少するため、企業が今後も生産力を維持して事業を存続していくには、従業員一人あたりの生産性向上が欠かせません。また、高齢の従業員が増加することで、企業が負担する医療費(社会保険料)の増加も懸念されます。

健康経営に取り組む企業が現在増えているのは、このような将来的な社会問題も反映してのことです。

つまり、企業を支える従業員が活力を持って健康的かつ長期的に働き続けることを可能にするための施策として、従業員の健康に「投資」をする必要があるのです。この投資によって企業が得られるメリットとしては、主に以下の点が挙げられます。

【メリット①】アブセンティーイズム・プレゼンティーイズムの解消

健康経営に取り組むメリットとしては、「アブセンティーイズム」と「プレゼンティーズム」の解消がまず挙げられます。

アブセンティーイズムは、健康上の問題によって働けなくなり欠勤に至ることを意味します。プレゼンティーイズムは、健康上の問題を抱えたまま就業することによって生産性に悪影響が出ることを意味します。

以下に挙げる多くのメリットは、この2つの問題の解消から派生して生じるメリットといえるでしょう。

【メリット②】離職率の改善

健康経営に取り組むことで、健康上の理由による欠勤や離職を減少させる効果が見込めます。人員の頻繁な離脱は他の従業員の業務負担を増やし、さらなる離職を招くかもしれません。

離職率の高さから、世間に「ブラック企業」とみなされれば、次の人員を確保するのにも苦労することになるでしょう。健康経営の実施は、こうした悪循環の原因を根本から断ち切ることに寄与します。

【メリット③】労働生産性の向上

健康経営によって、従業員が心身ともに良好な健康状態で業務に当たれるようになれば、労働生産性の向上も期待できます。

心身に不調を抱えたままでは、従業員が能力をフルに発揮することは難しくなるでしょう。健康経営に取り組むことは、従業員が万全の状態で仕事に集中できるコンディションを整えることでもあるのです。

【メリット④】従業員の活力向上

健康経営によって、従業員がより前向きな気持ちで生き生きと働くことも期待できます。従業員の健康に配慮した施策を実施することで、従業員は会社へのエンゲージメントを高めることになるでしょう。

また、健康経営によって従業員が心身ともに余裕を持って働けるようになれば、職場の雰囲気が改善することも期待できます。

【メリット⑤】社会評価と企業イメージ向上

健康経営の実施をPRすることで、自社の社会的評価や企業イメージを高めることも可能です。例えば経済産業省は「健康経営優良法人」の認定制度を設置したり、東京証券取引所と連携して「健康経営銘柄」を認定したりして、健康経営を推進しています。

こうした認定を公的に受けることができれば、社会から「ホワイト企業」として認知されやすくなるでしょう。良い企業イメージは業績の向上や優秀人材の確保にもつながります。

【メリット⑥】医療費の削減

健康経営によって健康状態が改善されることによって、従業員が診療を受ける機会は減っていきます。これにより、企業が負担している従業員の社会保険料をコストダウンすることが可能です。

【メリット⑦】リスクマネジメント

健康経営に取り組むことは、リスクマネジメントの面でも重要です。例えば従業員が心身の不調を抱えたまま仕事をしている場合、集中力などの不足によって重大なミスや事故が生じる可能性は増大します。

また、SNSによって誰もが情報発信できる現代では、不適切な労働条件や職場環境はすぐに拡散され、企業イメージに大きなダメージを受けることも考慮に入れなければなりません。

【メリット⑧】労働災害の予防

リスクマネジメントと関連して重要なのが、労働災害の予防です。業務上の重大な事故や過度な業務負担による過労死などの労働災害は、損害賠償などの訴訟に発展する恐れがあり、経済面においても社会評価の面でも企業に大きな損害をもたらします。

健康経営の実施によって職場に潜む健康や安全上のリスクを早期発見・早期対応することで、こうした労働災害を予防できるのです。

従業員の健康増進のための取り組み

従業員の健康を増進するために、企業は具体的に何をすればよいのでしょうか。続いては、従業員の健康増進に役立つ取り組みを紹介します。

健康診断・ストレスチェックの実施

まず必要なのが、健康診断やストレスチェックの実施の実施です。すでに触れたように、労働安全衛生法において企業は定期的な健康診断の実施が義務づけられています。

従業員の健康状態を的確に把握することで、各個人に応じた施策も実施しやすくなるでしょう。

若年層も含めた特定保健指導の実施

特定保健指導は、主にメタボリックシンドロームの予防・改善を目的として、40歳以上の従業員に実施される保健指導です。健康増進のためには、問題が発生する前に予防することが理想ですが、そのために有効なのが特定保健指導です。

義務化されているのは基本的に40歳以上ですが、40歳未満の若年層にも実施することで問題の早期発見やヘルスリテラシーの向上が可能になり、より効果的な予防が実現できるでしょう。

職場環境の見直し

従業員が健康的かつ安全に働き続けられるように、職場環境や働き方を見直すことも大切です。

時間外労働時間を減らすためにノー残業デーを設定したり、終業時間にPCを強制シャットダウンしたりする施策はその一例です。

また、産業医やカウンセラーを設置することで疾病の早期発見や健康問題への適切な対応につながります。

健康リテラシーの向上

社外から講師を招いて健康問題に関する教育や研修を実施し、従業員の健康リテラシーを向上することも重要です。

これにより、従業員に対する適切なサポートを職場全体で実施したり、従業員が自分の健康状態を自己管理(セルフケア)したりといったことがしやすくなるでしょう。月経不順など、女性特有の健康問題への理解を深めることも重要です。

生活習慣改善のサポート

従業員の健康を増進するには、職場で過ごす時間も含めて、普段の生活習慣から改善することが重要です。健康増進に役立つ生活習慣としては、主に以下のことが挙げられます。

運動機会の増進

適度な運動は肥満や生活習慣病などの予防に役立つほか、精神的なリフレッシュにも役立ちます。例えばスポーツに関する同好会やイベントを社内に設けたり、スポーツクラブの利用料を会社で一部負担したりすることで、従業員の運動を促せるでしょう。

また、同じ姿勢を長時間にわたって続けることは健康に悪いため、昇降式のスタンディングデスクなどを導入し、姿勢を変えて働けるようにする方法も有効です。

食生活の見直し

食生活は健康と密接に関係しています。不規則な食事リズムや栄養バランスの悪い食生活は肥満やさまざまな生活習慣病の原因になります。

対策例としては、社員食堂のメニューや量を見直したり、栄養やカロリーなどの情報をメニューに載せたりすることで、従業員の食生活や食のリテラシーを改善できるでしょう。

禁煙対策

喫煙は各種のがんの罹患リスクをはじめ、さまざまな健康被害をもたらします。

企業の禁煙対策としては、受動喫煙を防ぐために屋内での喫煙を全面禁止し、屋外への喫煙所を設置することや、喫煙者の従業員に禁煙外来への受診を勧めることなどが挙げられます。同時に、たばこの健康リスクを周知するための教育・啓発活動なども大切です。

睡眠の質の向上

健康を維持するには、十分な時間の質の良い睡眠も必要です。睡眠不足の状態では仕事に必要な集中力を保てません。

企業ができる睡眠対策としては、睡眠の重要性を全社的に教育したり、仮眠スペースを設けたりすることが挙げられます。また、十分な睡眠時間を確保するために、退勤時刻から翌日の出社時刻までの間に一定時間以上を空ける「勤務間インターバル制度」の導入も効果が得られるでしょう。

メンタルヘルス対策

企業は身体面ばかりでなく、従業員の精神面にも気を使わなければなりません。

企業ができるメンタルヘルス対策としては、ストレスチェックの定期的な実施や、ストレス負荷の低い職場環境づくり、メンタルヘルスに関する研修の実施などが挙げられます。他にも、相談窓口やカウンセラーなどを導入することも有効です。

従業員向け健康管理の取り組み事例

健康への取り組みが定着|株式会社ベネッセホールディングスの事例

ベネッセグループは、比較的若い従業員が多く、病気の人が多いわけではありませんが、生活習慣病予備軍については気を付ける必要があり、生活習慣病の予防としてポピュレーションアプローチをいろいろ実施してきた過去がありました。

しかし、健康無関心層が集まらず毎回関心のあるメンバーしか集まらないなど健康施策に関して苦戦を強いられている現状を変えるため、RIZAPの健康セミナーの導入を実施しました。

参加申し込み人数は翌年に4倍、翌々年には9倍もの推移を遂げる結果となりました。

2年間で9倍の参加申込数の増加を達成し、健康風土醸成につながっていると考えられます。また、健康や運動への取り組みが定着し自発的な動きがでてきました。

2021年、ベネッセグループでは健康施策の取組みの多くをオンラインで行い、様々な施策を通して従業員の健康増進を図りました。

その取り組みが評価され『健康経営優良法人2021』の「大規模法人部門」1,801法人のうち、さらに上位500法人である「ホワイト500」企業としての認定となりました。

ホワイト500への認定に対してRIZAPが少しでも携わることができたのはもちろんですが、ベネッセグループの従業員さまの健康増進にお役立てできたことは、とても嬉しく思っております。

ベネッセグループの詳しい事例はこちら 

健康増進月間でテレワーク中の運動不足解消 │ NTTテクノクロス株式会社様

運動不足の解消と同時に、テレワークにより従業員同士もなかなか会えない時期だからこそコミュニケーションの促進を目的に「健康増進月間」を企画しました。

LIVE形式のRIZAP健康セミナーを含め、延べ200名以上が参加し、想定以上の盛り上がりとなりました。

『健康増進月間』ではオフィスに出社している従業員は会議室から参加し、テレワークのためオンラインで参加している従業員とともにセミナーを視聴したり、5minトレーニング動画をみるなどしてイベント形式でトレーニングを行う企画を複数回立てて実施しています。

健康セミナーや5minトレーニングに参加した人も、参加できなかった人もRIZAPの共通話題で盛り上がり、運動不足の解消だけでなく社内コミュニケーションの活性化にも繋がりました。

まとめ

企業が従業員の健康を守ることは、法的に定められた義務であると同時に、さまざまな経営上のメリットをもたらします。健康経営は、そのメリットを最大化し、企業戦略として従業員の健康管理を行う取り組みです。少子高齢化がさらに深刻化することが確実視されている現在、健康経営の重要性は今後ますます高まっていくことでしょう。

初めての方に「RIZAP健康経営スタートガイド」

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